1-6.♰預言戦士♰《ガブリエル》の紹介
この作品は、タイトルに執筆裏話とあるように、全37話で完結しているアクション小説「ゲームに侵食された世界で、今日も俺は空を飛ぶ」の設定集になります。本編を読まれていない方は、先ずはそちらへ。単行本一冊程度なのでサクサク読めると思います。
【♰預言戦士♰】
兵科:砲兵
分類:魔法少女系ご当地戦士
ランク:伝説級
レーティング:R-15
備考:鉄壁スカート装備
彼女は力量を限界まで伸ばした伝説級なので、チャートは一種類のみ。
見ての通り、攻撃力、防御力が極大で、その代わり、移動と機動は最低レベル、索敵こそ、攻撃の射程を活かせるよう強化しているものの、AI、情報戦は不自由しない程度に伸ばした感じだ。
彼女が常時展開している不可視の球状防御は、空間歪曲領域と呼ばれる魔術で、あらゆる攻撃は捻じ曲がって外れてしまう効果がある。おかげで戦乙女なら真っ青になる、大渋滞を起こしていたテクニカル達からの猛烈な対空砲火も、その全てを防ぎきっていた。……ただ、名称の通り、捻じ曲げて外す効果なので、周辺被害が洒落にならず、集団戦の中では下手な立ち位置だと味方に被害続出となったりするし、近接戦に持ち込まれれば、攻撃を曲げきれず、ダメージを受けるなど、弱点もある。それでも常時展開、遠距離攻撃無効、集中砲火でも破れない耐久力と、防御の極限に位置しており、この護りを超える防御技は、夜の風の次元バリアだけである。
また、彼女が放っていた詠唱呪文「血の閃光」は、チャージ系の攻撃呪文であり、黒い光が通過したエリアを鉄すら溶ける火炎地獄に変える効果がある。射程距離も長く、火力も圧倒的ではあるのだが、強過ぎるが故の問題点もある。新宿のバス要塞撃破の際には威力過剰でコアルームをぶち抜いて、貫通した炎が空を染めることになったし、池袋の駅要塞攻略時には、フロア単位で火炎地獄を生じさせて、崩落が危ぶまれるほどだった。
移動力は本編でも描写されているように飛行はできるがその速度は小走り程度、機動力は最低限の実用レベルはあるのだが、あらゆる攻撃を捻じ曲げて防げるせいで、避けるよりも攻撃対象に意識を向けて反撃準備に入る方を優先する、そんなスタイルが染みついているのと、悠然と動いてこそ、♰預言戦士♰らしい、と演技を優先してるせいで、その機動力が日の目を見ることはなさそうだ。
一応、戦乙女で言うところのシングルショットやホーミングショット系の技もあるのだが、極大防御で悠然と受けつつ、反撃の大技で一掃する、というスタイルが本人の性格に合い過ぎてて、すっかり使わなくなってしまった。
実は、ラスト、アーチャーフィッシュの視界を遮った炎の壁も、血の閃光の薙ぎ払い撃ちをしただけだったりする。
戦乙女のボムや身代わり、僚機派遣に相当する術具もあるのだが、本編でも推測されているように、ポイント貧乏なせいで、それらを持って出撃した頃など記憶の彼方といった有様だった。
<一般的な魔法少女との違い>
……というか、そもそも魔法少女系=その他、というくらい闇鍋状態なので、カテゴリー分けもしにくい状況ではあるが、強いて言えば、砲台タイプの魔法少女であり、前衛がいて、十全にその火力を活かせてこそ輝く、そんな特徴があると言えそうだ。
細かいことは気にせず、敵が集まったところで纏めでぶっ飛ばす、とまぁなんとも豪気な戦い方であり、使い処さえ間違わなければ、鬼札らしく、勝負を決めてくれるだろう。
<唯一無二スキル>
伝説級なだけあって、極大火力と極大防御を駆使する彼女の戦績(と被害)はそれはもう立派なモノなのだが、彼女が人外域に踏み込んでいるのは、急所を見抜く戦略眼と、最高のタイミングまでじっくり耐えて一撃で決める胆力だったりする。
その極大火力は使い処が難しく、極大防御もその特性故にいい加減な立ち位置では自分以外は死屍累々となってしまう。そんな尖った自分の特性を理解した上で、一撃で勝負を決める、そんな行動スタイルは、人生に一度や二度ならまだしも、それが常態化している、というのは極めて異質と言えるだろう。
では単なる異常者かと言えば、そんなことはない。同じ伝説枠の仲間達からも、強制召喚チケットを渡されているくらいに信頼関係を築けているのだから。
<創作分野への影響>
徹底したゴシック風の装い、化粧、それに常に余裕を持って、相手の攻撃を受けてから一発の反撃で殲滅するスタイルは、黒の女王様として、コスプレ業界で根強い人気を博するに至った。姿を見せなくなってからもう結構経つが、それでもイベント会場のコスプレエリアで、入り口を飾ったりするくらいだ。まぁこれだけ特徴的な外見と化粧であれば、誰がコスプレしても、すぐ元ネタが解る、というのも人気の秘密だろう。夏コミでこんな格好をしたら暑さでダウンしそうではあるが。
<作者コメント>
主人公がメカ&少女系ということもあり、残り2つ、FPS系と魔法少女系なら、ヒロインのジャンルは魔法少女だろう、ということで決めて行ったものの、若い時の勢いでキャラが決まった後も役割を演じるが下手だとか、極大火力と極大防御を持つ女王様、な筈がポイント貧乏だったりと、いろんな意味で特徴的なキャラになり果てた。
行動スタイルは中の人に準拠しつつも、夢幻戦闘領域でまで、現実のようにチマチマしたことはやりたくない、と言わせて、現実ではちゃんと生活できている、とフォローしてみたりと、色々と後輩クンの性格付けも捗ることになった。有能だが扱いが難しい子、という側面と、新人ちゃんの面倒見が良かったり、主任の健康に心を砕いたりする優しい面を持たせるなど、良い意味でキャラに厚みが出たと思う。
広大な戦闘領域を所狭しと飛び回る戦乙女に対して、火力は極大だけど代替の移動手段がないと戦場に投入できない♰預言戦士♰は、シナリオの展開上も深みが出て良かった。空をびゅんびゅん飛んでいく戦乙女や運命だけでは、壊れかけた橋を通り、低い視点からボロボロの街並みを見上げながら、96式装輪装甲車II型に運ばれていく、なんて演出もできなかっただろうから。
2022年10月5日(水)までは毎日7:05に投稿していきます。
第一章は全11パート、ご当地戦士達の紹介です。