1-5.運命(ノルン)の紹介
この作品は、タイトルに執筆裏話とあるように、全37話で完結しているアクション小説「ゲームに侵食された世界で、今日も俺は空を飛ぶ」の設定集になります。本編を読まれていない方は、先ずはそちらへ。単行本一冊程度なのでサクサク読めると思います。
【運命】
兵科:機動歩兵
分類:メカ&少女系ご当地戦士
ランク:活躍期間の短さは期待の新人級だが、実力は中堅級
レーティング:PG-12
重量:着地して見えても常時浮遊の為、着地面への荷重は発生しない
備考:車両並みの前面投影比なので狭い通路は侵入不可
比較の為、運命の初回登場時と、成長後のレーダーチャートを並べてみた。
初登場時と比較するとわかりやすいが、運命は情報戦とAIを限界まで伸ばし、戦域内に分布する敵を素早く狩り回れるよう移動力を伸ばし、機動力は自身が制御できる範囲で強化、攻撃、防御、索敵は戦乙女に準拠する方向で成長させたことがわかる。
これは、索敵能力の広さで敵分布を把握、接敵までの移動力強化で時間短縮、情報戦で敵の索敵、照準、ロックオンを阻害しつつ、AIとの二人三脚で各個撃破する、といった戦闘スタイルを確立していったことによるものだ。ジェネレーターは戦乙女と同じ高出力なものだが、その出力の多くを情報戦、AIの方に回しているのは特筆すべきところだろう。
情報戦能力の高さを利用した情報欺瞞と、経験不足を補うAI、血讐と制御を分担することで、期待の新人ではあるが中堅クラスの実力を発揮している。
その戦い方は堅実で、情報欺瞞によって、相対的に相手より長い射程を確保し、先制攻撃でこれを仕留めるという、ステルス機風の戦い方に徹底している。その為、彼女の戦場では敵の動きが鈍く、攻撃頻度も減り、結果として被害も減る好循環が生まれている。
<一般的なメカ&少女との違い>
やはり、一般化できるほど人数がいないが、強いて言うなら、運命は情報戦特化型であり、メカ&少女系で、彼女ほど情報戦に長けた者はいないと言える。
情報欺瞞で徹底して敵の目を潰し、ロックオンを解除し、場合によっては電子身代わりを展開するなど、惑わすことで、敵の実力を大きく削ぎ落すことができている。その為、結果だけ見れば、戦乙女並みに被弾率が低く、その為、戦乙女と同様、防御能力は初期と変わらなかったりする。一方的に先制して敵を撃破できてもいるので、火力にも不満はないが、血讐お任せの自動戦闘時に便利なので、射程は伸びないものの、対空ホーミングショットを使えるライフル改を選ぶなど、多少の違いはあったりする。いずれにせよ大軍相手の時には多機能ロングライフルを使う点は変わらない。
まぁ運命の場合、戦乙女が過保護に育てて装備だけ先に揃えたり、共闘と言っても、後方支援を担当させるなど、嵌った戦いにおいては強みを発揮できるが、ギリギリの戦いを経験する機会はなく、その辺りが伸びしろとも言えそうだ。
なお、本人は他のFPS系戦士と共闘する時も、上空から戦域全体を把握して管制と支援に徹するなど、そもそも戦乙女のように限界まで飛び回るような戦い方を求めておらず、行動パターン抽出作業が終わって同じ事を繰り返して倒せるなら、血讐にお任せするといったように、同じメカ&少女系と言っても、その行動パターンは大きく異なる。おかげで飛んでる二人は外見だけ見ればよく似ているが、熱狂的愛好者ならその飛び方だけで区別できたりする。
<唯一無二スキル>
まだ彼女の戦績自体は伝説級には達していないが、AIの血讐と自身のあらゆる動作を分担する二人三脚モードは、明らかに人外域に片足を突っ込んでいる。普通の人なら、自分が考えたのと違う発言をしたり、身体が勝手に動いたりすれば強烈な違和感を感じそうなものだが、二人三脚時の彼女は、脚本は書いても本番は演者達の自主性に任せる監督のようであり、外面を血讐に任せて、運命というキャラクターの振舞いを楽しんでるようでもある。
任せられるところはスパッと一任して、自分の手を空けて別のことを始める、そんな彼女だからこそ成立する凄技と言えるだろう。
戦乙女がオフモードで、理想的な可愛い少女を演出したいなどと言ってきた際には、女は生まれながらにして女優であるとか言って、装い、振舞い、話し方に至るまで自然に見えつつ、最も効果的になるための工夫などを伝授したりもした。ただ、その際には「他の女にいいとこ見せたい!?」などとすっごく拗ねたり、綺麗だよ、可愛いよと言われたいから努力もするけど、素の自分も見て欲しい、気付いて欲しい、それが乙女心なのだとか、運命は血讐が一分の隙もなく制御してるから、どこから観ても偶像的だけど、現実にそんな女はいない、とかそれはもう丁寧かつ誤解を生じないように頑張ったりもしてた。
<創作祭り>
運命の外見は戦乙女よりも一、二歳幼く見えて、その振舞いや表情、発言なども戦士としての鋭さも持ちつつ、元気さ、可愛らしさを魅せるといったように、戦乙女とは明確な差別化が為されていた。髪の色も蛍光ピンクとあって、全身の装備はアーチャーフィッシュが最後まで誤解したくらいには似通っていても、戦乙女は孤高の戦士としての凛々しさを、運命はそんな姉に寄り添う可愛い妹、といったように違いを出しやすかった。
おかげで創作業界は、十年間の活動の殆どをソロで行っていた戦乙女関連商品に新たなラインナップを加えることができる、と大いに盛り上がっている状況だ。
それに、運命なら、魔法少女系やFPS系の戦士とセットにして、後方から応援してる感じにしても何も違和感がないので、コラボもやりやすい利点もあった。戦乙女はどうしても主人公属性が強過ぎて、後方に配しても主役を食ってしまうところがあるので、この違いも業界の運命推しに繋がることへとなった。
<血讐>
AIなのだが、戦乙女のAIと区別を付けたいのと、演出上、運命の中の人が混乱してて、AIに指示して一時戦線離脱させる(永田町大戦のこと)必要もあり、名前を付けることになった。名前を付けるくらいだから愛着があるだろうとか、戦乙女との違いを出すためにも、情報戦特化型にしよう、それならAI=血讐も性格付けをして前面に出そう、なんてしているうちに、本編の大活躍となった。良く化けた子だったと思う。
演技指導などで、戦乙女のAIとも交流を深めるなど、何気にあちこちに影響を与えていたりする。それに運命の外面の良さは、血讐の奮闘があればこそだ。中の人は結構、脇が甘いので、運命としては鉄壁ガードでも、ボロボロと漏れてく感じではあるが、漏れる相手を考えれば問題なし、なんて判断してそうである。
本編でも♰預言戦士♰にイーッと歯を食いしばった顔を見せたり、R-18の演出に錯乱した運命の振舞いを素で出したりと何でも介入する感じではなかった。
情報連携を用いて、戦乙女を遠隔制御したり、戦乙女や僚機達も纏めて統制射撃をしたりと、血讐の能力が無ければ実現できなかった戦略も多かった。
<特徴的な戦闘シーン>
運命は、以下のように、高度な処理能力を活用した特徴的な戦闘シーンが多い。また戦闘シーンではないが、血讐×2によるネットの活用は首都決戦に多大な恩恵を与えることともなった。
氷妖精に対しては、行動パターン抽出作業を行い、血讐に任せた自動射撃で効率よく掃討作戦を実施していた。
新宿の夜戦では、高層ビル群を登るクレイフィッシュ×6に対して、電子的身代わりを展開することによって、近接戦時のクレイフィッシュの行動パターン抽出作業を行い、これが次の遠隔操作と合わせ技とすることで、面白いように撃破することができた。
上記夜戦において、電子的身代わりが接近した際のクレイフィッシュの動きを完全に見切ったことから、電子的身代わりを近付けてクレイフィッシュのアームの護りを抉じ開けて、そこにタイミングを合わせて、戦乙女が対地ホーミングショットを放り込む、という連携攻撃を行った。これは動きを見てからでは間に合わないので、血讐が戦乙女の射撃トリガーを遠隔操作することで、完璧なコンビネーション攻撃を成立させたのだった。
渋谷駅上空に、雲霞の如く埋め尽くすファンファン達に対して、合計六機の戦乙女達の制御を纏めた統制射撃を行うことで、全ての対空ホーミングショットを、対象の重複なしに効率よく叩き込むことで、短時間でこれの大半を撃ち落とす事に成功した。これは戦乙女達が情報連携することによって処理能力を大幅に拡大していたこと、それらを統括する二人の血讐が制御を行うことで実現できた凄技であった。前提としてファンファン達の攻撃を引き受けてくれる地上の戦士達がいてくれたからできた、というのもある。
なお、射撃面は最高効率だったが、統制射撃中は上空で空中静止飛行している状態だったので、いつフライングオクトパスから長距離狙撃をされないか、と内心冷や冷やだった。
市ヶ谷の塔要塞においても、四機の戦乙女達の動作、射撃を完全制御下におくことで、地上からコアまで届くルートを連続射撃で作り出し、その細い穴のようなルートにボム×4発を通してコアルーム内で起爆させる、という作戦を成功させた。
ラスボスのアーチャーフィッシュ戦では、砲撃の為に開いていた船体が閉じるまでの僅かな時間に、4機の戦乙女達の統制射撃を実施、起爆時刻を同期させたボム×3を近距離、中距離、遠距離に向けて適切に放り込むことに成功した。
そして、アーチャーフィッシュ戦ラストでは、情報欺瞞によって、戦乙女と運命の姿を隠蔽し、その逃亡も成功させたのだった。
列挙してみるわかるように、重要なシーンでは運命&血讐、大活躍だった。
<作者コメント>
最初期プロットでは存在しない子だったものの、戦乙女の熟達者としての力量をわかりやすく示す為にも、初心者で戦乙女と同系統装備な子を出す必要があって加えることにしてみたが、加えてみて大成功。……というか、彼女がいなければ話自体が成立しないだろうというくらい、重要なポジションを占めることになった。ほんとよく育ってくれた。
主任と後輩クンの二人だけでは、関係に波が生じにくく、♰預言戦士♰は色々と尖った性格、性能なせいでここぞという時にしか出せなかったので、新人ちゃん、運命がいてくれて大いに助かることとなった。若さゆえの未熟さ、素直さ、熟練者達にはない新鮮な感性は、とてもよく物語を彩ってくれた。やっぱり比較できる存在は大事。
2022年10月5日(水)までは毎日7:05に投稿していきます。
第一章は全11パート、ご当地戦士達の紹介です。