1-3.戦乙女(ワルキューレ)の武装
この作品は、タイトルに執筆裏話とあるように、全37話で完結しているアクション小説「ゲームに侵食された世界で、今日も俺は空を飛ぶ」の設定集になります。本編を読まれていない方は、先ずはそちらへ。単行本一冊程度なのでサクサク読めると思います。
<作者コメント>
戦乙女、つまり、戦乙女、運命が使っていた武器のこと。
◆主力武器
【ライフル】
威力:一般敵は一撃で倒せる
弾種:エネルギー弾
射程:まぁまぁ長い
連射速度:秒間2発程度
攻撃種類:シングルショット、対地ホーミングショット
全長:850㎜。一般的なアサルトライフルくらいの大きさ。
取り回し:ライフル系では一番軽い
運命が初回登場時にだけ装備していた主力武器。シングルショットは狙ったところに対して最速で攻撃できるので何気に使い勝手はいい。威力もファンファンなら一撃で倒せるだけのものがある。
ホーミングショットは対地用のみ、ロックオン数も最大1だが、テクニカルを山形弾道で上面を撃ち抜くことで確実に撃破できる火力がある。撃ちっぱなし機能があるのも利点だ。威力はシングルショット2発分に相当するので、動きが遅いエリアボスや、要塞の固定施設に対しては対地ホーミングショットを用いることも多かった。
近距離戦では、ライフル系武器で一番軽いだけあって、取り回しが良く戦いやすい。これだけでも中盤くらいまでなら戦えるくらいの良武器である。
【ロングライフル】
射程:ライフルより有効射程が長い
弾種:エネルギー弾
全長:1108㎜。ライフルの長銃身バージョン。
重さ:ライフルの2割増し程度
備考:威力、連射速度、攻撃種類はライフルと同じ。銃身が長くなり取り回しは悪化した
戦乙女が主力武器の基本に据えているのがこちら。標準のライフルよりも銃身が長くなり、有効射程が伸びた。これにより見晴らしのいい場所では、敵に対して長射程を活かして先制射撃を行えるようになった。ただし、ライフルより長くなった分、取り回しは悪くなり、扱いには慣れが必要となった。戦乙女はこれで乱戦も戦っているが、それでも彼我の距離は最短時でも数十メートルは離れている状況であり、第一話のように天井に覆われたアーケード商店街では、敵との距離が離せず、武器の長さが邪魔になってしまう恐れもある。戦乙女は難度が易しいで、敵の数が少なく、交戦距離をコントロールできるので、慣れているこの武器を選んでいた。
<作者コメント>
ロングライフルと言うと、19世紀頃に狩猟用で活躍したケンタッキー・ロングライフル(1400㎜くらい)を指すが、それだと銃が長過ぎて、片手で持つと地面に引き摺る感じになってしまう。ただ、いちいち長銃身バージョンだとか説明するのもどうかと思い、語感で決めた。まぁ意味は通じていると思う。
【ライフル改】
攻撃種類:シングルショット、対地/対空ホーミングショット
弾種:エネルギー弾
全長:ライフルと同じ
備考:対空ホーミングショットが使える分、ライフルに比べて重さは3割増し
運命が低難度時の主力武器として使うようになったのがこちら。標準のライフルに対空ホーミングショットの機能を拡張したもの。ロックオン数最大1は変わらない。シングルショットのように敵の動きを予測して未来位置に向けて撃たなくていい分、対空ホーミングショットの方が楽と感じているようだ。戦乙女の場合、射程の長いロングライフルを使っているのと飛行性能が高いので、ホーミングショットを1発ロックオンするのを待つくらいなら、距離を詰めて撃つ方が手っ取り早いせいで、ライフル改に魅力を感じなかった。
対空ホーミングショットは敵に向けて最短で軌道を曲げながら自立誘導していくのが特徴で、威力自体はシングルショットと変わらず、弾速度はシングルショットより若干遅い。またロックオンが終わるまでは撃てない。撃ちっぱなし機能があるのは対地ホーミングショットと一緒。
【多機能ロングライフル】
威力:シングルショット、対空/対地ショットの威力は同じ
チャージショットは最大でシングルショット16発分の威力で撃てる
弾種:エネルギー弾
射程:ロングライフルと同じ
連射速度:ライフルと同じ
ロックオン数:最大8
全長:1448㎜。ただしこちらの重量は対物ライフル相当=ライフルの2~3倍の重さ。
備考:対空/対地のホーミングショットは切り替えて使う。
チャージショットは最大チャージ状態を数秒だけ保てる。
機能を満載してとても大きくなり、取り回しはかなり悪い。
敵の数が多くなってきた中盤戦以降、戦乙女、運命の主力武器だ。ロックオン数も増えて、射撃の種類も4と大きく増加、加えてチャージショットであれば、かなりの火力を期待できるようにもなった。……とまぁ攻撃だけを見れば、十分過ぎるのだが、それらを全て帳消しにしかねないほど全体がごつく重く、扱いづらくなってしまった。開けて見晴らしのいい戦域であれば、その射程と手数で敵を圧倒できるだろうが、狭い戦場では、敵の動きに銃口を向ける遅さに閉口するに違いない。この武器を使う場合、そもそも相手が正面方向かつある程度離れた位置にくるよう、上手く立ち回らなければ、その大火力も活かせないという訳だ。
<作者コメント>
このサイズ、重量では片手撃ちなど人類には不可能であり、更に銃の下側に追加武装(例:ボム投擲器)なんて重量物を付けた日には、両手持ちでも銃口を揺らさないように持つだけでも一苦労で、普通なら二脚銃架を使って伏せ撃ちする代物だ。なので、いくら補助アームが支持してくれると言っても、こんなデカ物を持っての近距離射撃戦なんてやれるものではない。
戦乙女も、ロングライフル装備時と、多機能ロングライフル装備時では飛び方にはかなりの違いが出ていることだろう。特にボム投擲器まで付けてる時は体ごと振り回すような機動をしてるので、薙ぎ払ってる感が増してると思う。
◆ピカティニーシステム
規格化されたレールを用いて、射撃武器に様々な装備を追加できる。これを用いて色々と武器をカスタマイズして、目的に沿うよう工夫することで、戦いにより柔軟に対応できるようになるだろう。
実銃と違い、メカ&少女の場合、銃自体は補助アームが保持するので、両手で持ちやすくするハンドグリップは不要であり、人のように目で照準を狙う必要もないので、照準を補佐するレーザーポインタや暗視装置といったモノも不要だ。
では、メカ&少女が同システムを用いて主力武器に何を取り付けるかというと、メイン火器とは異なる特性を持つ副火器を選ぶことになる。実銃で銃下部に40mmグレネードランチャーを取り付けると同銃用の引き金が付いていて、弾も1発しか装填できず、右手でライフルを持つなら、左手でグレネードランチャーの装填を行う必要が出てくる。グレネードランチャーの引き金を引く場合は弾倉をグリップ代わりにして撃つ=持ち位置を変える、ので小銃との同時撃ちはできない。
しかし、メカ&少女の場合、追加武装用の引き金はなく、再装填するたびに、新たな実弾が装填される不思議仕様で、その動作自体も手の補助を必要としなかったりする。
<作者コメント>
小銃の前下側に筒状のグレネードランチャーを装備してる兵士を見る事がある。射撃ができて、場合によっては40㎜グレネード弾も発射できる、ということで戦闘力は各段に跳ね上がるのだが、それならどの兵士もソレかと言えば、しっかり両手打ちしやすいようにハンドグリップを取り付けるなどしてる場合も多い。何故かと言うと、グレネードランチャー(例:M26 MASS)の場合、重さが1.5kgもあるのだ。銃本体が3.0kgとかなのに、これはかなりの重量増である。兵士は自分の装備を持って歩くのが基本であり、各国は新銃を少しでも軽くしようと頑張ってるくらいだ。火力増=重量増となるのは避けられず、どんな場合も火力増がベストとはならない訳である。
本編でも描写してるように、銃が重くなれば取り回しが悪くなる。射撃戦をするだけなら、使わないグレネードランチャーなど死荷重に過ぎない。
なので、任務の性格に応じて何を取り付けるか、或いは何も取りつけずレールも外すか考えることになるのだ。誰だって荷物は軽い方が良いのだから。
【散弾発射器】
弾種:バックショット(6粒の実弾)
連射速度:秒間1発程度
一度に6粒の散弾を広がるように撃ち、着弾すると相手をのけぞらせる効果が期待できる。ただし、一粒の威力はせいぜい拳銃弾程度であり、しかも球状なので貫通力もなく、射程も短く、散らばり方は完全にランダムなので二次被害も多い。本編では永田町大戦の時に装備していったが、これはFPS系戦士が地域担当となることから、地上で敵と近い距離で戦う事態に陥ることを考慮したためである。至近距離の相手に叩き込んで、相手がのけぞっている間に距離を離す、という緊急避難用だ。
幸い、そのような状況とはならなかった。
戦乙女の戦場で使うと、ダメージを期待できるのは室内専用スパイダーくらいだが、それとて非装甲部分への命中を期待するしかなく、それ以外の一般敵、ファンファンやテクニカル相手では表面を傷つけて気を惹く程度の意味しか期待できそうにない。
<作者コメント>
散弾は、上でも書いた通り、弾が火縄銃のそれのように球状で、貫通力がなく、威力も拳銃弾程度なので、現在の布製防弾チョッキでも十分止めることができる。なので今後、要人は防弾チョッキを着るのがデフォになるかも。カバーしてる部分に当たるかどうかは運だけど、着てないよりはだいぶ安心できる。ただ、布製の場合、布の繊維が回転する弾丸に絡まることで止める原理なので、尖った刃物(例:アイスピック)の突き刺しなどは防げないし、貫通力の高い弾丸(例:トカレフ)だと止まらないこともある。それらも防ごうとするとどうしても強化樹脂や金属のプレートが必要になってきて、ごつい、重い、動きにくい、という問題も出てくるのが実状である。
【グレネード発射器】
弾種:40㎜対人グレネード弾
連射速度:秒間1発程度
信管:着発/時限
備考:本編では登場せず
永田町大戦で、持っていけば良かったなぁ、と話題に出た40㎜グレネード弾発射器だ。撃ちだすグレネード弾は一般的な対人用弾と変わらないが、発射器自体はそっと放り込むような弱さから、一般的なグレネードランチャーと同じ76m/秒まで、発射速度を変えられる、という何気に超性能だったりする。ただ、あくまでもグレネード弾は対人用であって、敵兵相手なら効果が期待できるが、戦乙女の戦場で、これでダメージを期待できるのは、室内戦専用のスパイダーくらいなものだ。
【ボム投擲器】
弾種:ボム(実体弾)
連射速度:秒間1発程度
信管:着発/時限
備考:弾数は最大3。しかも弾代はかなり高額。
フライングオクトパスやアーチャーフィッシュ相手に大活躍した武器だ。撃ちだす弾は40㎜グレネード弾よりも一回り大きい程度だが、その火力はボス全体を覆うほどの範囲まで広がり、威力もボス級に対して、耐久を削る効果が期待できる。また、時限信管の精度は高く、アーチャーフィッシュ戦のラストでは、4機×3回=合計12発の同時起爆を見せた。投擲器は本編でも見せたように、目の前に広がるアーチャーフィッシュの船内の近、中、遠の位置にちょうどよく放り込める程度に優しく撃ちだしたり、かと思えば、市ヶ谷の塔要塞撃破時のように、地下深く、コアまで続く多くの壁を一直線に貫いた直径10cm程度の穴を通すよう、高速射出をしたりと、やはり超性能だった。
◆その他
【サブマシンガン】
弾種:エネルギー弾
威力:氷妖精なら一撃
射程:せいぜい100m程度
連射速度:秒間20発程度と実銃と違いかなり遅い。
弾倉:20発。まぁ再装填すれば弾数は全回復するので連続射撃上限の意味。
全長:550㎜。重量はライフルの2割減程度。
備考:ライフルよりも短く軽いので取り回しはとても良い
笑う雪ダルマ戦で用いられた武器。低威力、高連射速度、取り回しの良さから選ばれた。数多く配置され、ボスが召喚もしてくる氷妖精を殲滅するのには打ってつけの性能だった。
動きが素早く、大きさも手乗りサイズな氷妖精に対しても、素早く照準して撃つことができ、しかも威力も氷妖精に当てれば、その背後にエネルギー弾が抜けて副次被害が出てしまうこともない丁度良さだった。
運命、というか血讐の自動射撃では、人間がサブマシンガンを使う、一定範囲に向けて弾をばら撒くといった使い方ではなく、高精度な射撃を連射のように続けることで、笑う雪ダルマが召喚した12体の氷妖精が動きだす前に全て撃破する凄技をやってみせた。無造作に手を回すように連射しているように見えて、その全ての射撃が的確に氷妖精を撃ち抜いているのだから、人間には到底真似のできない射撃だった。二、三体くらいまでなら戦乙女にもやれなくはないが、十二体確実に、となるとお手上げだった。
戦乙女の戦場では、一般敵として配置されるファンファンやテクニカルに対して、射程が大きく劣り、数多く撃ち込まないと倒せないので、この武器が選ばれることはないだろう。
本編でも語られていたように、笑う雪ダルマに対して、サブマシンガンの低火力では、表面を覆う雪装甲を突破できず意味がない。また、戦乙女のロングライフルでも雪装甲はともかく、その奥の陶器製の本体まで纏めて貫通とはいかず、戦うのはかなり難しかっただろう。それと、ロングライフルでは氷妖精に対して威力過多で副次被害が避けられず、取り回しの悪さから敵を捉えるのにも難儀し、サブマシンガンのように気軽に掃討戦を行うこともできなかったに違いない。
<作者コメント>
サブマシンガンは、弾種は拳銃弾だが、拳銃より長い銃身と、弾倉、握手、肩当の三点保持することによる安定性向上、それと銃自体の重さによる安定性向上によって、拳銃よりも長い射程、威力、精密な射撃を可能とする。なので実は小銃に比べると銃弾の威力はずっと弱いのに、銃自体の重さは小銃に比べても若干軽い程度だったりする。勿論、携帯性を重視したサブマシンガンなら2kgなんて軽さのモノもあるけれど、肩当がないとか、あってもオマケ程度だったりして、使い方が弾をばら撒くこと重視って感じになる。
【エネルギーソード】
種類:エネルギー武器
エネルギーの刃を展開していない時は、懐中電灯くらいのサイズの柄だけであり、普段は大盾の後ろにセットされている。展開されたエネルギーの刃は長さ1m程度であり、その威力はシングルショットに匹敵する。またエネルギー弾と違い、刃を突き刺す、斬り割くといった形で持続的にダメージを与え続けることも可能だ。
ただ、戦乙女の場合、よほどのことがない限り、敵に近接されても射撃で倒すほうが楽であり、わざわざこれを使うのは、第一話のような事態くらいなものだろう。また、それくらい使用頻度が低いので、戦乙女の近接戦能力はお世辞にも「使える」レベルとは言い難く、素人が短刀で相手に体ごと突っ込んでいくような、相打ち狙いがせいぜいといったところだ。
<作者コメント>
相手を大盾で押しのけるような接敵距離では、右手のロングライフルを相手に付きつけるのも大変だろう、ということと、絵的に映えるだろうということで持たせてみたお守り装備。結局、途中、言及が一か所だけあったものの、その後は使われることは無かった。
まぁ、撃てば必中なエネルギー弾を弾切れなしにいくらでも撃てる時点で、わざわざ近接戦闘距離に機動歩兵が近付く必要性もないので、これくらいの扱いで妥当だったと思う。
それでも近接されると武器がない、というのと、一応、武器はある、というのは雲泥の差があるので、持たせて正解だっただろう。
何より高機動戦闘とエネルギーソードの相性は最悪だ。そのリーチはほぼ接触する距離までと異様に短く、共に高速飛行する機体同士が掠りでもすれば大ダメージであり、正面衝突でもすれば墜落は免れない。となると、敵を斬る為には、射撃を掻い潜って距離を詰めつつ、でも衝突しないように、それに相対速度も合わせて、といった配慮が必要となる。猛禽類が獲物に空で襲い掛かる時にも、爪で掴むタイミングでは相対速度をほぼゼロにしているような工夫だ。下手に速度差があると掴んだ爪が折れかねない。……なので、本作では、絵的には映えるものの、空戦での斬り合い演出は避けることとした。戦闘の見せ方がリアル寄りなのに、そこだけ演出優先というのは無いよなぁ、と。
ちなみに同じエネルギー系武器なので、エネルギーソードで、敵のエネルギー弾を受けることもできなくもないが、それは狙って行うことはできない偶然レベルの話だ。ジェダイの騎士がライトセイバーで撃たれるエネルギー弾を偏向しまくれるのは、フォースの未来予知があればこそ。本作の戦乙女にも超反応はあるものの、後から動くので、それでエネルギー弾を細い棒状の武器で防ぐ、というのは無理筋だった。
2022年10月5日(水)までは毎日7:05に投稿していきます。
第一章は全11パート、ご当地戦士達の紹介です。




