3-4.作品内用語説明
この作品は、タイトルに執筆裏話とあるように、全37話で完結しているアクション小説「ゲームに侵食された世界で、今日も俺は空を飛ぶ」の設定集になります。本編を読まれていない方は、先ずはそちらへ。単行本一冊程度なのでサクサク読めると思います。
【夢幻戦闘領域】
発生国:世界中どこでも発生している。ただし発生地域、頻度にはかなりの偏りがある。
発生頻度:人口密集地ほど高いが、単に人口が高いのではなくゲーム人口の多さが重要。
エリア:基本的に市区町村単位。難度が上がると複数地域に跨ることもある。
備考:ゲーム人口と言っても人(かそれに類する者)を操作して敵を倒す、といったアクション、射撃要素のあるゲームでないと、発生頻度には影響を与えないようだ。スマホで遊ぶゲームの殆どはこれに該当しない。
2000年から発生している特殊現象。初期10年は混乱期と呼ばれており、その名の通り、ご当地戦士として人々が受け入れるまでには多くの混乱が生じることとなった。発生した戦闘の影響は記憶以外何も残らないと言われている。
名称が特定の地域を指す、と取れるのは、ご当地戦士が戦闘領域を市区町村レベルに限定されていて、そこから出ると、逃亡扱いとなってミッションが失敗してしまうこと、出現する敵もいくつかの例外パターンはあるものの、基本的に作戦領域とされる地域内しか移動せず、その中にしか攻撃も行わなかったことから、この名が定着していった。
ただ、敵は出現するものの、人々は普段の日常との違いは感じられず、実際、戦闘領域との出入りも特に制限されることはない。その地域だけ隔離される、といったような演出もないので、戦闘が始まっても、気付かず出入りする市民も多いだろう。
ミッション中に、領域の外からミサイルを撃ち込むなどしても、ミッションが終わると、領域の外もまた、撃ったという記憶は残っているが、実際にはミサイルは撃たれた形跡はない。
戦闘に関する情報を様々な手段で外部に通信した場合も、それを聞いた者は、聞いた記憶はあるものの、記憶を書き留めたメモ等は何も残っておらず、そもそも戦闘開始時刻に全ての記憶を思い出すと、その記憶は時間軸的には未来のものであり、実際の世の中の動きとは違っているのだ。
それらの事から、ミッションの対象となる地域だけを特別と意識させる、夢幻戦闘領域という用語は妥当ではない、とする意見も根強いのだが、ここまで定着してしまうと、今更変えようがなく、そのまま継続して使用している状況だ。
ゲームチックなのは、突然出現する敵とご当地戦士だけであり、それ以外のゲーム的な要素、例えば移動不可の空間閉鎖であるとか、非破壊オブジェクトといった存在は確認されていないとされる。
【ご当地戦士】
敵と戦う、ゲームのような装備、能力を持った戦士達は、担当地域が決まっていることもあり、いつの頃からか、ご当地戦士と呼ばれるようになり、その名称が定着した。上手くミッションを解決することが続くと、市民からの応援、協力も得られるようになり、担当地域の役所とコラボ活動をするなど、ご当地キャラのような活動も増えていく。戦乙女などは正にそれで、彼女が担当している東京都板橋区は、世界で最も訓練された市民達とまで言われており、市民もその呼び名を誇らしく思ってたりする。
応援する熱心な支援者が増えると、ファンクラブが運営されるようになり、より組織的な支援、啓蒙活動が行われていくことになる。ご当地戦士達の有名さ、支援者の数を競う世界ランキングなんてものもあったりする。担当地区の人口が多いほど支援者の獲得数は多い傾向があるが、支援者の定着率の高さも影響してくるので、一概に人口が多いのがいいとは限らない。
支援者の活動は、直接的にご当地戦士に何かを提供できる訳ではないが、市民の協力を促すといった啓蒙活動を通じて、間接的には恩恵も得られており、なかなか馬鹿にはできないモノなのだ。
彼らの戦闘力はあくまでも個人単位、歩兵ベースであり、敵との戦いもテロリスト集団との戦闘といった規模に留まるとされる。ただし、装甲服を着たFPS系戦士や、戦乙女のようなメカ&少女系戦士となると、装甲車両レベルの強さがあり、敵もそれに見合ったモノが出てくることになる。
彼らは飲食不要で疲労もせず、用いる武装も弾切れなしと、その在り方はゲームチックだ。また、その戦闘能力も、見た目は人のように見えても、明らかに大きく上回っており、防御エネルギーを用いてダメージを相殺するなど、人外の能力も発揮する。
また、ミッションを通じてポイントを入手し、そのポイントを支払うことで装備を整えることもできる。本編でもあったように、高性能なパーツや武器は入手に必要なポイントも多く必要となり、ボムのように高効果な品は使い捨てであってもやはり多くのポイント必要とする。
戦士の間で譲渡は不可能なので、装備を整えるには自分で稼ぐしかない。敵を倒せばポイントが多く得られるので、本編でもやってたように、熟練の戦士が共闘しつつ、他の戦士にポイントを稼がせて装備充実を手伝う、なんてことも行われている。ただ、ソレをやり過ぎると、装備に実力が追い付かないという状況に陥ることにもなるのが悩ましいところである。
【ミッション】
ミッション難度:易しい~希望なしの7段階。
備考:希望なしのミッション発生は、本編の首都決戦が初。
戦闘領域、難度、時間制限、エリアボスなどの情報が表示されたブリーフィング画面が現れ、命令書にサインすると、ミッション開始となり、該当地域に敵とご当地戦士が配置されることになる。
ミッションをクリアすると、入手ポイントなどの達成状況画面が表示され、その後、何もしなければ数分後にはミッション終了となり、全ては記憶だけが残って終わることになる。
ただし、時短クリアボーナスは失うものの、ミッション予定時刻まで終わりにせず、戦闘領域で活動し続けることもできる。本編で戦乙女達が時間ギリギリまで空を飛んだりしてたのがソレである。また、ポイントを支払うことで、ミッション終了時刻を伸ばすこともできる。
難度は時間経過で変化し、また限度に達すると自動スタートしてしまう。その場合、敵は配置されるが、対応するご当地戦士がいないので、制限時間一杯まで敵が暴れまわることになる。混乱期にはそういったミッションも多く発生し、ご当地戦士を受け入れる下地となっていった。
途中でご当地戦士が全滅しても、指定時間が終わるまで、敵の破壊活動は続く。
この状態を戦士達はバッドエンドと呼んでおり、ブリーフィング画面のように身体が無いにも関わらず見聞きできる状態のまま、延々と蹂躙されるシーンを見せられることになるので、これを体験すると、戦士はかなり凹むようだ。
【戦域マップ】
情報戦や索敵の能力によって、扱える情報量は変わってくるが、敵の位置が表示されるだけでなく、投票機能があったり、敵だけでなく、電車やバスなどの公共機関を表示するなど、その多機能っぷりは半端ない。AIの支援により、その時必要な情報だけを上手く抽出して表示してくれるからこそ使える機能と言えるだろう。
【ご当地戦士の種類】
FPS系、メカ&少女系、魔法少女系の三つに分かれる。ただし、このようにグルーピングできるほど分かれているのは日本だけで、他の国々では、FPS系が大半を占めるのが実情だ。
FPS系は、リアル兵士と装甲服の二種類に分かれる。前者の見た目は、先進国の各種装備を身に付けた兵士と変わらず、後者はSFチックな外見で、装甲だけでなく補助動力も付いていることから、人のように動いて戦うこともできる。ただし、見た目通り装甲服は人のような柔軟性がなく、重量もかなりのものがあるので、火力と防御力の高さはあるものの、行動には色々と制限も入る。
メカ&少女は、本編の戦乙女や運命であり、空を飛ぶ機動歩兵といったところだ。装甲服と同様、SFチックな外見、能力であり、自在に空を飛ぶ様は、FPS系戦士達とは大きく異なる。
魔法少女系は、その名に反して、ごった煮の闇鍋状態であって、不思議パワーを使う、FPS系でもメカ&少女でもない戦士達がとりあえず、ここにカテゴライズされているという状況だった。
なので、本編でも描写されていたように、砲台タイプの♰預言戦士♰、バトルメイジ系の勇敢な心、古典的なローブを纏った魔法使いスタイルの知を欲す者といったようにバリエーションは豊富だ。
【空中静止飛行】
戦乙女や運命が良くやってるが、彼女達の飛行は反動推進系ではないので、暴風を撒き散らすようなことはない。本編でも路面電車の隣で空中静止飛行しているシーンがあったが、目の前で飛行することによる影響は何も無かった。
【ご当地戦士のランク分け】
公式機関がある訳ではないので、事実上の標準ではあるが、初心者は活動が確認されてから数年目までを指すことが多い。期間に幅があるのは、地域によって夢幻戦闘領域の発生頻度に違いがあるので、場合によっては三年で一回しか戦ったことがない、なんて場合もあるからだ。熟練者は、その戦士が出てくればミッション解決は確実、と思えるくらい実力と実績を兼ね備えている場合に用いられる。初心者の中でも、突出した実力、実績を叩き出している者は、期待の新人と呼ばれる。
安定した強さを発揮できる、成長時期を過ぎた戦士は中堅だ。
そして、熟練者が担当地域を手放し、出撃も稀になってくると伝説枠となる。そこまでの実力がなく、出撃しなくなった者は、引退組と呼ばれて区別される。ただ、明確な基準はないので、ご当地戦士の支援者の間でも、論争になりやすいネタだ。
【担当地域を持たないご当地戦士】
活動は活発でありながら、担当地域を持たない、そんな戦士もいる。本編で言えば運命がそれで、十分な実力を持つ期待の新人でありながら、担当地域を持たず、他の戦士から支援依頼があると、それを受けて共闘する、といったスタイルである。あくまでも支援という立場なので、地域担当の指示に従う必要もあり、あまり前面に出過ぎては地域担当の顔を潰すことになるし、だからといって積極性がない、当てにならないと思われれば、支援依頼に手を上げても、相手に採用されないということにもなる。なので、火消し役といった立ち位置でもあり、こういったスタイルで安定した出撃を行える戦士はあまり多くない。
運命は、支援依頼の報酬で先払いされるポイントがあれば、別に自分で倒さなくてもいいし、高空から戦域の管制と支援攻撃をするだけでも、それでいいと考えてるところもあり、その姿勢を好ましく思う者が多いのだろう。
あと、運命の場合、戦乙女が装備が揃うまでずっと共闘していたこともあって、実力と戦い方を他の戦士にアピールする期間が十分にあったということも大きい。やはり、戦闘スタイルがわかってる相手なら、戦闘時の役割分担などもイメージしやすく、支援依頼を受けやすくもなるのだ。
【情報連携】
ご当地戦士が互いの情報を共有する機能であり、リンクを確立する為には相手からの許可が必要だ。一番簡単なのは戦域マップの情報共有だが、高度になると相手に機体制御を全部お任せ、なんてこともできたりする。互いのセンサーを共有して、発見と攻撃を別の戦士が担うといったネットワーク戦も可能となる。……のだが、そんな真似ができるのは情報戦機能を強化している戦士だけである。
連携も、必ずしも地域担当に直接繋げるとは限らない。実際、首都決戦の際には、戦乙女は各地域を纏める伝説枠達との情報連携はしていたが、各地域の戦士達は、同地域の伝説枠と情報連携をする、という多層構造を形成していた。
これは、戦乙女の持つ23区全域に及ぶ広域情報を、地下に潜ってる前線の戦士達が知ったからといって、あまり意味がないからだ。不要な情報を除外する処理で、自身の情報戦ユニットに無駄な負荷を与えるだけでもあり、何でも共有すればいいというものではないのだ。
【AIによるナビゲーション】
戦乙女があまり土地勘のない新宿区での戦いで活用していたAIの支援である。敵の位置は広域レーダーで常に把握できるものの、ビルが林立する都市部においては、敵と戦うにしても、敵と自機の移動それぞれを考慮した上で、移動ルート、戦乙女の場合なら移動高度も含めて選定していく必要が出てくる。下手に動けば、あちこちから撃たれてしまうので、可能なら敵の少数とだけ戦う、といったパターンを繰り返したいところだ。敵が少数なら戦乙女なら倒すのは容易い。
……とまぁ、言葉にすれば簡単だが、数の多いファンファンがそれなりの速度で動く中、戦乙女の高機動戦闘に合わせて、必要なナビゲーションを邪魔にならない程度に行うというのは、人間の限界を軽く超えており、AIだからこそ行える凄技である。
【戦闘経過予想】
彼我の戦力を元に、戦闘の推移をシミュレートする機能だ。運命と始めて共闘した時にも、初心者ペースで戦うとどうなるか予測させていた。戦乙女はさらっと行っているが、高度な情報処理能力とAIの柔軟性がないと実現できない高度な機能であり、ある程度、情報戦、AIユニットの能力を強化していないと手が届かない。
【夢幻戦闘領域と被災認定】
通勤中を含めて、夢幻戦闘領域に巻き込まれた社員に対して、手厚い福祉を行うのが、本作の日本での風潮だ。定期健診に補助金を付けてがん検診、他にも活動量計を配って睡眠を含めた心身健全化に向けた施策が目白押しだ。
まぁ、ここまで充実しているのは大手企業ならでは、ではあるが、そうしなければならないほど、まともな社員というのは、熾烈な争奪戦が行われている世相なのだ。
【補給ポイント】
本体や盾のエネルギー回復や、大技(例:戦乙女のボム)の弾数を再チャージできる。ただし、一度に一人ずつ。回復にはそこそこ時間もかかるが大変便利なサービスだ。
ただ、これがあって喜ぶ戦士はいない。無いと話にならない激戦が待っている事が確定しているからだ。
補給には60~300秒必要で、補給中は動くことはできない。
普通は床面に設置されるのだが、実はある程度平らで、広さが合えば、装甲車両の上にも設置できることが首都決戦で明らかになった。本編でも語られているように、そもそも高難度ミッションでなければ設置可能とならないため、こういった応用部分の知見は進んでいなかったのだ。
【実体弾とエネルギー弾】
エネルギー弾は弾速が速く、実体弾は命中すると衝撃が入る。戦乙女の武器は大半がエネルギー弾であり、FPS系戦士の場合は実体弾であることが殆どだ。
永田町大戦で、ビル屋上に設置されていた敵陣地には、12.7㎜重機関銃が設置されており対空射撃を行ってきたのもコレだった。
運命が一発、大盾で受けて、衝撃に驚いていたが、大盾のエネルギーが若干減った程度で済むのだから、撃ってる方は泣けてくるだろう。
ただ、なら彼女達の大盾が装甲車並みかというと、防御エネルギーで相殺しているだけで、装甲のように一定以下の火力を無効化しているのではないので、同じとは言えない。
装甲車両なら、装甲を抜けない小火器の射撃なぞ、いくら受けても被害とはならないのだ。
【装甲服】
ダークSFとも呼ばれるジャンルの戦士が身に付ける装備であり、その名の通り、補助動力付きで、全身に装甲を纏っていながらも歩兵のように動いて戦える、というモノだ。
装甲はある程度までの火力であれば無効化できるので、装甲車両的な戦い方を行うこともできる。
装甲を抜けたとして、防御エネルギーで相殺してくる上に、エネルギーの回復ペースも一番早い。戦乙女が移動・機動にジェネレータのかなりの出力を回しているのに対して、装甲服なら歩く動力程度で済むので、余剰エネルギー量が桁違いなのだ。
敵とガチで削り合うような過酷な戦場でこそ強みを発揮する兵種である。
かなりの重量となるため、床面の強度が必要になり、人ほどの柔軟性もないので狭い通路には入れないなど、その運用には独自のノウハウが必要となる。強力な火力と防御力があるから、地上戦闘はぜんぶ彼らだけでいいか、と言えばそんなことはないのだ。人に比べれば目立つので隠密行動にも向かない。
一応、短距離飛行能力も付いているので、高低差はさほど苦にならない。ただし、さほど軽快に飛べる訳ではなく、短距離ジャンプ的な使い方が殆どだろう。
【他のFPS系戦士達との戦闘連携】
永田町大戦で、戦乙女が行っていた直接火力支援であり、単なる情報連携を超えた強力な効果を発揮した。
地上戦を繰り広げているFPS勢戦士達からは、上空から叩いて欲しい敵の位置座標や状況が提供され、上空に待機している戦乙女のAIが該当位置の敵をロックオンして射撃までを行う、統合作戦だ。
ロックオン情報まで連携している訳ではないが正確な戦域マップと、それに基づいた正確な位置情報のリアルタイム共有のおかげで、迅速な火力支援が可能となった。
敵からすれば、正面の敵と撃ち合いをしている最中に、上空から対地ホーミングショットが降ってくるのだから、悪夢としか言いようがない状況だった事だろう。
戦乙女のホーミングショットは、撃ってしまえば、すぐに次の敵をロックオンできるので、その攻撃ペースはかなり早い。連射速度こそマシンガン系には劣るが、撃ってくるのは誘導エネルギー弾だ。戦乙女は、アーチャーフィッシュのホーミングショットを地形を活かして回避に成功していたが、それを普通と思ってはいけない。そんな戦乙女でさえ、アーチャーフィッシュと距離を離してなければ避けるのは難しい、と言ってたくらいだ。
<作者コメント>
現実世界だと、統合末端攻撃統制官(joint terminal attack controller)=JTAC、と呼ばれる敵目標に空爆を要請する訓練を受けた兵が、専用の機材を用いて、航空戦力との連携を行う。必要なところに必要なタイミングで届ける、というトヨタのジャストインタイム方式の戦場バージョンといったところ。
本作では、戦士達は基本能力としてJTACのような事を行えてるが、それは現実世界からすれば十分、SF世界な話であり、ご当地戦士達がゲームチックだと呼ばれる所以でもある。
【エネルギー弾の迎撃】
エネルギー弾は、高速回転する現代の銃弾と違い、回転はしていないので、エネルギー弾同士が衝突するといったことも起こる。火縄銃同士の猛烈な撃ち合いで発生していた「かちあい弾」のエネルギー弾バージョンだ。狙って当てるのは戦乙女にも無理で、撃たれたエネルギー弾の予測弾道に対して、AIが自動射撃を行い、確率論的に迎撃が成功する、といった事になる。戦乙女の撃つ対空ホーミングショットがたまに敵の撃破に失敗するのは、迎撃されたためである。戦乙女が戦う敵に高機動タイプはいないので、誘導しきれず外れるというパターンはないのだ。
なお、戦乙女も昔は、撃つタイミングを間違えて、敵がビルなどの陰に隠れてしまい、ホーミングショットを外すことはあった。今は撃てば当たるタイミングでないとそもそも撃たないので、そういうパターンは発生しなくなった。
<作者コメント>
現代の銃弾はライフリングによって高速回転している為、銃弾同士が空中で衝突しても、駒が弾き飛ばすように互いの弾道が曲がるだけで、弾同士が圧着された「かちあい弾」にはならない。一応、ライフル弾同士が完全に正面衝突して「かちあい弾」になった例もないではない。ただその発生確率は10億分の1といったレベルだ。
【ご当地戦士は惹かれ合う】
羊の群れの中に狼がいれば自然と目立つように、幾多の死線を潜り抜けてきた、ご当地戦士の中の人は、他の戦士の中の人のことも、やはり、それとなくわかるらしい。本編でも語られているようにFPS勢はチーム戦を行うことも多く、閉所でのチーム戦が増えれば、互いの理解も深まる、といった具合だ。
【各種チケット】
夢幻戦闘領域の戦闘では、地域担当が出撃するのが基本だが、他の戦士の力を借りることができる。本編でも語られていたように、支援依頼(条件付き)、支援依頼(指名)、代行依頼、強制召喚という各種チケットによってそれは実現される。ただし、強制召喚を除けば、依頼を受けるかどうかは全て、相手側に委ねられているので、いくらポイントを積み上げても、信用を失っている戦士に対して、手を差し伸べる者は多くないだろう。何せ、夢幻戦闘領域の戦いは衆人環視の元で行われるのだ。下種な戦い方をする戦士と共闘しても、広まるのは悪名だけであり、そこまでして助ける義理も義務もないのだ。
支援依頼(条件付き)は、依頼を出す際に条件を付けて、それに該当する戦士が立候補し、それを地域担当が選ぶ、という形式である。報酬は前払い、後払い、固定制、歩合制など多様だ。
支援依頼(指名)は、特定の戦士を予め指名して、それ以外の戦士は受けられない形式だ。報酬の形式は多様だが、指名の場合、どうしても受けて欲しい、といった前提があるので、前払いとされることが多いようだ。
代行依頼は、何らかの理由で地域担当が受けられない場合に、他の戦士に地域担当を代わって貰う形式だ。この場合、担当する戦士によって、レーティングや出てくる敵ががらりと変わるので、本編で戦乙女が行ったように、代行依頼を引き受ける際の条件などを提示して、一定時間、周知時間を置くのが通例だ。
強制召喚は、使われたら拒否権なしで、渡した戦士をミッションに参加させることができる、という破格のチケットであり、よほどの信頼を得てなければ、渡されることはない代物である。何せ、自分の状況がどうであろうと、どんなミッションであろうと参加する、一緒に地獄に行ってやるよ、という意味なのだから。ちなみにこのチケットを相手に渡せるのは、中堅以上の実力者であること、という縛りがあるようだ。選択肢が出る条件は不明だが、初心者では渡したいと思っても、選択肢に出てきた事例は今のところ確認されていない。
そして、非戦闘系では「戦士達の休日」チケットがある。これは、戦士自身とそれに直接関係する事象のみを改変するという、敵の配置されない夢幻戦闘領域を発生させる異色の内容だ。
戦闘領域と言いながら地区は限定されず、時間は最大1日。ただし、発動中はどんどんポイントを消費していくので要注意。
戦の日々に疲れた歴戦の戦士がオフを楽しむ、といった趣旨なので、僚機派遣よりも高額だったりする。チケット自体が高額で、更に発動中もポイント消費が継続するとあって、このチケットに手が届くのは、熟練者になった頃だろう。
一応、オフらしく、人目につかない服装などにすれば消費ポイントを抑える事も可能だ。
本編でも、髪色を変えて一般人の服装をしていた戦乙女はどこかのファッションモデルでもしてる子とは思われ、目を惹くことはあっても戦乙女と認識されてなければ、改変対象にならなかった。
【レイティング】
戦闘時の表現だが、PG-12、R-15、R-18の三種類が確認されている。街中での射撃戦がメインということもあって、制限なしのGは存在しないようである。PG-12では部位欠損がなく、死ぬと一部の例外を除いて絶命の演出が出た後、消えていくことになる。戦乙女の戦場において、激しい銃撃戦の跡や事故、破壊があるのに死体が転がってないのはその為だ。勇敢な心も同レイティングだが、氷妖精に殺害されると凍結の演出後に氷の彫像となって死体が残る。死体といっても損傷はない。
R-15は出血表現が増え、傷口などもリアルに表現される。ただし部位欠損はないのでまだマイルドだろう。
R-18は部位欠損あり、出血ありだ。運命がヘリの兵員輸送室に乗っていた敵兵達を撃った時に、派手に引きちぎれ、血しぶきを上げながら倒れていく演出があり、倒れた後も暫く死体は残っている、といった具合に、現実と区別のつかないレベルで殺害されたので、運命が恐慌状態に陥ることにもなった。何せ、運命も使っている多機能ロングライフルのシングルショットの威力は、重機関銃(12.7㎜弾)相当、ボディアーマーも役に立たず、被弾すれば体がバラバラにはじけ飛ぶのだから、敵兵死亡時の演出としては間違ってはいなかった。
いいね、ありがとうございます。執筆意欲がチャージされました。
誤字・脱字の指摘ありがとうございます。自分ではなかなか気付けないので助かります。
2022年10月8日(土)までは毎日7:05に投稿していきます。
次パート、終章です。




