3-1.現代兵器群(銃器、地上車両)
この作品は、タイトルに執筆裏話とあるように、全37話で完結しているアクション小説「ゲームに侵食された世界で、今日も俺は空を飛ぶ」の設定集になります。本編を読まれていない方は、先ずはそちらへ。単行本一冊程度なのでサクサク読めると思います。
◆銃器
【12.7㎜重機関銃】
重量:38.1kg(本体のみ)
全長:1.645m
発射速度:485~1200発/分
射程:2,000m
アメリカ製の西側陣営のスタンダードな重機関銃である。改良型のM2ですら採用年が1933年と大変古いのだが、高い信頼性と性能、完成度の高さのおかげで、未だに各国で生産と配備が行われており、配備数が多過ぎて、後継機関銃のトライアルは行われているものの、結局は採用されないことが続いている。車両の装備としてとりあえずこれを乗っけて置け、といったところだ。
その火力は建物を壁ごと蜂の巣にして、軽車両なら簡単に撃破できる。使っている弾丸は12.7×99㎜NATO弾であり、これは対物ライフル(12.7㎜)と同じである。歩兵なら一発ずつでかい反動に耐えながら撃つことになるが、重機関銃は上の性能にあるようなペースで大量かつ遠距離までばら撒いてくるのだから、こんなのが据え付けらえた陣地は、歩兵にとっては悪夢である。
<本編では>
市ヶ谷駐屯地のビルの屋上に構築された陣地に備え付けて運用され、塔要塞から発進するファンファンを撃ち落とすのに活躍していた。自衛隊では歩兵の運用ではミニミ軽機関銃(5.56㎜)の運用が基本だが、戦乙女の戦場に出てくる敵は、7.62㎜弾でもパワー不足と言われる状況だったため、即応部隊には対物ライフル(12.7mm)や重機関銃(12.7㎜)も配備されている。
また、猛威を振るうことはなかったが市ヶ谷大戦でビルの上に設置された敵陣地にもやはりコレが設置されていた。上から撃ち降ろされる掃射が開始されれば、いくらFPS系戦士達でも撃破には手間取ったことだろう。
【01式軽対戦車誘導弾(軽MAT)】
重量:11.4kg
全長:0.97m
発射速度:4発/分
昨今、有名な対戦車ミサイルのジャベリンと比べると、少し軽くて、発射前の赤外線センサー冷却不要な特徴がある。ジャベリンと同様、撃ちっぱなし能力(Fire&Forget)ができる。
ただ、せっかくの高性能だけど、熱源を持つ車両以外には撃てない(熱源への赤外線誘導なので、熱源がないと誘導できない)ので補完を目的に84㎜無反動砲(カールグスタフM2)も調達されることになった。
<本編では>
各地のテクニカルの撃破に使用された。対物ライフル(12.7mm)では何発か撃ち込まないと倒せないテクニカルもこいつなら余裕で倒せる。というか威力過剰だったりする。
【携帯対戦車ロケット(パンツァーファウスト)】
全重量:13.9kg
全長:1.4m
カウンターマスと呼ばれる重量物を後方に打ち出して反動を相殺する形式なので、建物の中からも発射することができる。名称の通り、ロケット推進弾頭であり、ミサイルではないので誘導機能はない。固定目標なら500mくらい先でも狙えたりする。
弾頭は対戦車用の成形炸薬弾であり、均質圧延鋼板換算で700㎜程度の貫通能力が期待できる。命中すると装甲に小さな穴を穿って中にメタルジェットや爆風を叩き込むので、内部に可燃物が無ければ爆発、炎上したりはしない。また、射手を守る為、信管が有効になる最短距離があって、10m程度飛行してからでないと信管は有効にならない点も注意。いくら近い方が命中すると言っても、あまり近付き過ぎると信管が不発となって意味がないのだ。
<本編では>
市ヶ谷駐屯地において、ペトリオット対空システム破壊の為に降りてきたフライングオクトパスに対して建物内からばんばん撃ち込んで、それなりのダメージは与えたようである。ただ、命中後もフライングオクトパスは動きを止めず、建物に絡みついてきたので、実際のところ、どの程度効果があったのかは判断が分かれるところだ。
【スティンガー携帯地対空ミサイル】
重量:15.66kg
全長:1.5m
備考:本編では発射されず。
主にヘリコプター狩りに活用される歩兵用の対空ミサイルシステムである。有効射高3,500m、有効射程4,000mの赤外線誘導ミサイルであり、西側陣営での定番装備である。見ての通りとても重く、普通は部隊単位で1発配備するかどうかといったところだ。ウクライナvsロシアの戦いでは、一発目を撃って、敵ヘリがフレアをばら撒きながら回避運動に入ったところに、二発目を叩き込んで撃破するといった贅沢な運用も行われている。対ヘリ用としては十分な性能なのだが、戦闘用ドローンのファンファンに対しては、威力が過剰で配備数も少なく、ファンファンの飛行高度がビル同じか少し高い程度ということもあって、狙いにくく、気軽に撃てず、配備数も少ない、というように、対ファンファン用にはとことん向いていなかった。
市ヶ谷大戦においては、ビル群の屋上に設置された敵陣地の部隊も、対空武器として携帯型対空ミサイル(赤外線誘導ではない)を配備していた。しかし、運命の情報欺瞞によって、ロックオンが阻害されてしまい、発射することができなかった。
<おまけ>
これを使って歩兵が低空飛行している航空機を撃ち落とす為には、相手がくるタイミング、方向、高度を全て把握している必要がある。それだけ情報が揃ってなければ、敵機を認識してスティンガーを構える頃にはもう相手は飛び去った後である。何せ相手は遅く飛んでても秒速200m近いのだ。しかもスティンガーは射高も射程も短いのだから、撃って当てられるタイミングはかなり限定されてしまう。ウクライナ軍がロシアの戦闘機を歩兵用の携帯型対空ミサイルで撃ち落とせているのは、空中管制機などから詳細な情報を得ているからである。
◆地上車両
【軽装甲機動車】
兵科:装輪装甲車
サイズ:全長4.4m、全幅2.04m、全高1.85m、重量4.5t、乗員数4名
懸架・駆動:装輪式4輪
小銃に耐える程度の装甲を持ち、軽快に走り回れる隊員の足として使われる車両である。固定武装はないが、歩兵の各種武装を天井ハッチから身を乗り出すことで使えるようになっている。ただ、完全武装の4名が乗ろうとすると荷物が載せきらなかったりする。
<本編では>
各地のテクニカル狩りに精を出すことになった。
【82式指揮通信車】
兵科:指揮通信車
サイズ:全長5.72m、全幅2.48m、全高2.38m、重量13.6t、乗員数8名
武装:12.7㎜重機関銃、7.62㎜機銃、5.56㎜機関銃MINIMI
懸架・駆動:装輪式6輪
六輪式の指揮通信車であり、その名の通り、小銃弾に耐える程度の装甲を持ち、指揮通信機能を持つ車両である。
<本編では>
運命がネットとの通信を行う為に利用することになった。ちなみに運命は小さいと言ってるが、サイズ的には7人乗りSUVを更に一回り大きくしたようなサイズであり、人が乗る車両としてみた場合は十分大きい。ただ、大盾と多機能ロングライフルを持ち、バックパックを背負った運命にとっては、上に乗るとギリギリサイズといった感じとなった。
【96式装輪装甲車II型】
兵科:装輪装甲車
武装:40㎜自動擲弾銃か12.7㎜重機関銃
懸架・駆動式:装輪式8輪
八輪の装輪式装甲車であり、乗員を含むフル装備の10名を運ぶことができる。中が広いので、指揮通信車の代わりに指揮車両として使われたりもする。本当はII型まで含めたルビにしたいのだが、なろうではルビは10文字までの制限があるので、上記の表記となっている。
<本編では>
上面に広さがあり、ハッチなどの凹凸はあるものの、補給ポイントを設置することができた。その為、ご当地戦士達の輸送だけでなく、補給ポイントとしても各地で活躍することとなった。
【89式装甲戦闘車】
兵科:歩兵戦闘車(輸送車両に火力と装甲を追加)
武装:35㎜機関砲、重MAT、7.62㎜機関銃
サイズ:全長6.8m、全幅3.2m、全高2.5m、重量26.5t
懸架・駆動:装軌式
戦車に随伴する装甲兵員輸送車に武装と装甲を足すことで、兵員を最大7名運べて、対装甲車両戦闘もできる、そんな車両である。米軍のブラッドレー歩兵戦闘車相当といったところで、戦車に随伴して、それなりに戦うこともできて歩兵も運べる、というそんな立ち位置だ。
<本編では>
塔要塞からわらわらと湧いて出てくるテクニカルをちぎっては投げ、ちぎっては投げ、と孤軍奮闘して抑え込む活躍を見せた。フライングオクトパスの襲撃で戦闘不能状態に陥ったものの、乗員達は後部ハッチから脱出することができ、装甲の厚さが功を奏したと言えるだろう。装備していた重MAT(=79式対舟艇対戦車誘導弾)も威力や射程は十分だったのだが、市ヶ谷駐屯地にいきなり降ってきたフライングオクトパス相手では、彼我の距離が近過ぎて発射タイミングを逃すことになった。
【16式機動戦闘車】
兵科:機動戦闘車
武装:105㎜ライフル砲、12.7㎜機関銃、7.62㎜機関銃
サイズ:全長8.45m、全幅2.98m、全高2.87m、重量26t、乗員4名
懸架・駆動:装輪式8輪
八輪式の装輪装甲車両で、52口径105㎜ライフル砲を搭載しており、戦車以外の全ての装甲車両を撃破できる。戦車も側面、後面なら撃ち抜ける。陸自を扱う様々な書籍でもトップを飾る花形車両だ。
時速100km以上で走れる。重量は26トンなので、戦車ほどの防御力はない。
主砲は、74式戦車の砲と同じクラスであり、よくある無反動砲とか、低圧滑腔砲ではない。
無反動砲=撃ちだす砲弾と同量のカウンターマスを撃ちだして反動を相殺する砲。
低圧滑腔砲=撃ちだす火薬量を減らすことで軽量化した砲。
→どちらも砲への負担を軽減することで軽量化している。その代わり砲弾の速度が落ちる。
<本編では>
一応、即応部隊と共に移動していたものの、戦闘自体は墜落しつつあるアーチャーフィッシュに砲撃を行ったのみだった。空にいるとはいえゆっくりと墜落している相手に砲弾を当てるのは、本車両の火器管制システムなら容易な話だった。……のだが、もうすでに相手は墜落しつつあり、命中はしていたのだが、どの程度の効果があったのかは意見の分かれるところである。ちなみにテクニカル相手に砲撃しなかったのは火力が過剰過ぎるため。撃つとしたらクレイフィッシュ相手だろうが、撃つタイミングが無かった。
【99式自走砲】
兵科:自走榴弾砲
武装:155㎜榴弾砲、12.7㎜重機関銃
サイズ:全長12.2m、全幅3.2m、全高3.9m、重量40t、乗員4名
懸架・駆動:装軌式
攻撃後、すぐに移動できて、砲弾の装填も自動で、装填も任意の角度で行うことができて、発射速度も3分間に18発以上と使い勝手の良い車両である。まぁ愛称の通り、52口径155㎜榴弾砲の砲身がめっちゃ長いので、非戦闘時には砲身をトラベリングクランプというつっかえ棒のような器具で、砲身を下から支え固定している。ただ、高額なこともあって調達数が少なかったりする。正式名称は「99式自走155mm榴弾砲」なのだが、ルビを振れるのが10文字までなので、上記の表記とした。
<本編では>
遠距離から移動するアーチャーフィッシュに対して155㎜榴弾を撃ちまくった。命中しそうな榴弾は全て撃墜されてしまったものの、戦乙女達による砲塔撃破への一助となった。アーチャーフィッシュによる反撃で三両とも撃破されたが、砲撃を終えた時点で、乗員達は脱出しており全員無事だった。
【八七式偵察警戒車】
兵科:偵察戦闘車(偵察車両に火力と装甲を追加)
武装:25mm機関砲、7.62㎜機関銃
サイズ:全長5.99m、全幅2.48m、全高2.8m、重量15.0t
懸架・駆動:装輪式6輪
備考:本編では登場せず。
名前の通り、装輪式の素早さを活用して、25mm機関砲の火力も活用して、それなりに戦闘力があって偵察できる車両として配備されている。それ以前のトラックや偵察用オートバイにはない火力と装甲防御力を持つ。
<本編では>
89式装甲戦闘車と役割が被るのでどちらにしようか悩んだ。ただ、市ヶ谷の塔要塞からどんどん出てくるテクニカル相手に少数で抑え込む役割を担当させたかったので、本車両は装甲面が弱いイメージもあり、不採用となった。
【10式戦車】
兵科:主力戦車
武装:120㎜滑腔砲、12.7㎜重機関銃、7.62㎜機関銃
サイズ:全長9.42m、全幅3.24m、全高2.3m、重量44t、乗員3名
備考:本編では登場せず。
日本が誇る4代目となる3.5世代主力戦車である。一つ前の90式戦車と同等の装甲を持ち、より高い威力の主砲を持ち、しかも軽くて、移動しながらでもバンバン命中させる火器管制システムがあって、10式戦車同士でデータリンクできることで集団戦闘が得意、しかも他国戦車が60t級なのに、40t台と驚きの軽さ、前進・後進どっちも時速70km、ピタッと停まれる殺人ブレーキ、あと比較的安価と文句のつけようがない花形戦車、陸上自衛隊の顔となる……筈だった。
ただ、予算不足や、今後想定される戦場では素早く戦地に駆けつけて戦える16式機動戦闘車の方が使い勝手が良いとして、配備数が減らされることになり、いつのまにやら各種書籍でも後塵を拝するようになってしまった。ただ、ウクライナvsロシアの戦いでは、やはり敵戦力に対する突破力として戦車は必要、との見直し論もちょこちょこ出てきたりはしている。
<本編では>
首都圏に配備されてる車両ではないのと、即応部隊に配備されてもいないのと、何より歩兵ベースの戦闘が基本の本作においては、あまりにも過剰火力過ぎて出しどころがないので、登場させないことになった。では、登場したなら地上では敵戦力相手に無双な活躍ができたかというと、それほど単純な話ではない。敵のエネルギー弾は、戦車程度の動きであれば、狙ったところに正確に着弾させることができる。砲塔上面のセンサー部や操縦席の潜望鏡、砲塔上面にある車長用の潜望鏡といった、外部に対する目に相当する部分を早々に潰され、砲塔上部に搭載している12.7㎜重機関銃も給弾箱を破壊され、といったように、破壊されずとも、事実上、戦力として使えなくなることだろう。無線が使えず、センサー類も壊れ、潜望鏡も着弾で視野が無くなり、走れるし、撃てるし、装甲も貫通されないだろうが、ただの鉄の棺桶状態となる訳だ。そして外部を確認しようとハッチから身を乗り出せば、狙撃されて殺されるだけである。
【パトリオットPAC-3システム】
構成:射撃管制、レーダー、アンテナ、情報調整、無線中継、ミサイル発射機、電源等
10台以上の車両によって構成される対空システムである。車両式で移動できるといっても、対空車両のように撃ってすぐ移動できるようなものではなく、任意の地域まで移動して、そこに対空陣地を構築できるといったものとなる。配備が終わってしまえば、人員が必要なのは射撃管制車だけで済む。
PAC-3は、弾道ミサイルの終端時点での迎撃を目的としたミサイルであり、射程は30kmと短いが、弾頭を直撃させることで対象を撃墜するという仕組みを取る。これは迎撃対象の弾道ミサイルの速度がマッハ7と速く、破片を撒き散らす爆発弾頭では、撃破しきれないと考えられた為だ。
<本編では>
市ヶ谷、習志野駐屯地に配備され、フライングマンタ迎撃に大活躍した。市ヶ谷の部隊はフライングオクトパスによって、習志野の部隊はアーチャーフィッシュによって壊滅した。
いいね、ありがとうございます。執筆意欲がチャージされました。
誤字・脱字の指摘ありがとうございます。自分ではなかなか気付けないので助かります。
2022年10月7日(金)までは毎日7:05に投稿していきます。
第三章は全4パート、その他の紹介です。




