静かな忍び音
ヂリヂリヂリ と大きな音を鳴らして緊急の知らせが来た。
私はすぐさま受話器を取り「こちら第三艦隊司令 火急の用かと答えた」
相手は、海軍作戦本部長官であった。「失礼しました それでご用件は?」
「決まっておるだろう。君の艦隊をすぐさま皆嶋援護に向かわせてほしい。」
「私の艦隊はまだドックに入っているものも多い為、今すぐにというのは困難だと考えます」
「どのくらいだ?」おそらく、ドックに入っている艦のことを聞いているのだろう。
「月島、中波、隈野の計三隻です」
「三隻か… よし分かった工兵をお前のとこに派遣するからそれでどうにかしてもらえ」
「いいな?」と吐き捨てるように言い電話を切られてしまった。
長官出撃ですか?部下数人が嬉しそうに訪ねてきた。そんなにお前たちは戦いたいのかよ…
「いいや、まだだ。私たちはすぐに出れる艦隊を持っていない。しかしドックに入っている艦が直れば直ちに出撃するぞ」
私の部下にはいろいろな奴がいる。戦いと聞いて目をルンルンにするやつもいれば、あ~あ上陸もこの一
週間で終わりかというやつもいるまた、若い少尉や二等兵などは、戦いが怖いのか青ざめた顔をするようなものもいる。
蒼鳥沖
「撃ち~か~た用意。 てぇっ」
ドンともバンとも聞こえるこの船を割ってしまうのではないかというような音が一発の弾丸を砲身より押し出し敵艦めがけて飛んで行く。ぴゅーと独特な音を発し、また、この澄んだ空を割るのでないかと思わせる轟音と重なり敵の百数名の命を一瞬にして奪った。
一方、艦上では一発の弾丸にして大歓声に包まれている。
作戦指揮所では将校たちがやりましたねとばかりに互いに手を取り合い喜んでいる。
そんなときであった。突如、伝令の兵士が叫んだ。
「距離15マイル敵の潜水艦を補足!」
指揮所内に緊張が走った。艦長は直ちに命令を発した。
「対潜戦闘用意!」艦長は落ち着いた声でしかし焦りの混じった声で命令を発した。