『勇者オリオン 視点』
『勇者オリオン 視点』
ええっ、どうしたのハニー?
早く回復してあげてくれ、俺が魔物からの攻撃を防ぐから。
「回復魔法したけど、めちゃくちゃ弱いみたいなの、クランクを完全回復させたのに、回復してないの!」
回復魔法が弱い?
弱いとはなにと聞くと、いつもの体力完全回復魔法を使ったのに、クランクの体力は少ししか回復しなかったと。
本当かと疑いながらクランクに聞くと、クランクは頷く。
どうやらハニーの回復魔法が弱いらしい。
それならボーデンにもお願いした。
彼はクランクを助けるために接近した際に、クランクの身代わりに体力を減らしていたからだ。
「ボーデンにも回復を!」
ハニーは気を取り直して回復魔法をしたところ、
「ボーデンどうだい?」
「全く体力回復してないわけではなくて、初級のヒール魔法くらいの回復量だ。俺の減った体力量を回復させるのは無理だ」
回復しない!
いつものように回復しない?
なぜかとハニーに聞くと、
「わからない!」
ハニーもわからないと言った
わからない理由で回復魔法が弱いとなっていて、回復はするが、ほんと少しらしい。
なぜなのか?
このダンジョンに来てから、みんなの様子に変化があった。
ならば俺が行けばわかることだな。
傷ついたクランクは休ませて、勇者の俺が剣術で望む。
一瞬で片付くな。
余計な考えは要らない!
俺は剣術を準備して、魔神炎天剣!
魔神炎天剣は、俺の剣術スキルでも最強を誇る一つだ。
他の冒険者、AランクやBランクが100年たっても追いつけない剣術だ。
Bランクのダンジョンに出て来る魔物など、相手ではないのだ。
剣術を魔物に向かわしたときに、異変が起きた。
剣術が発動しない。
なぜだ?
おれの最強の剣術が出来ない?
もう一度、魔神炎天剣!
だめだ、なぜなんだ!
ハニーが心配してくるも、俺にも理由がわからない。
最強の勇者になり、失敗はなかった剣術だった。
そこへ聖女のリアンが応援に来た。
そうだった、俺のパーティーには彼女がいたのだ。
あせることはないのだ。
聖女リアンは回復魔法、攻撃魔法にもバランスが、取れている。
リアンに魔法の一掃を頼む。
そしてクランクとボーデンの回復も重ねて頼むと、いつもなら何のためらいもなくしてくれるのに、リアンは立ったままだ。
「どうしたリアン?」
「…………必然かな」
リアン、早くしてよ?
リアン、お願いだ?
みんなから応援を頼まれていたが、リアンは何もしなくて、こうなったのは必然だと言った。
必然?
何を言っているのだろうか?
リアンはこうなることを予言のように予想していたのかよ。
だめだ、リアンが応援しないなら、とにかくこの場から撤退をするしかない。
なぜリアンが協力しなかったのかは、不明だが依頼の失敗となった。
破滅の団にとって成功して当たり前で、失敗など考えられないし、余裕だと思っていたから、ショックが大きい。
帰りも魔物と遭遇するが、流れから逃げるしかなく、結成以来初めて逃げる選択もした。
冒険者ギルドに帰還すると、依頼の失敗に、受付嬢は驚いていた。
さらにギルド内にも聞こえて、ざわめきが起きた。
なんだよ、ロメーロがいたら、この場で全部ロメーロの失敗にしてやるのに!
全部ロメーロが悪くしてやったのによ!
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