『5話 カイザール国2』
『5話 カイザール国2』
カイザール国の王都に瞬間移動した。
住んでいたエピック国から近い国だ。
王都だけに人の数は多い、賑わいがある。
冒険者の姿もあり、剣を腰にさげていたことから、この国も冒険者が盛んなのが伝わる。
ぶらっと、王都の街を歩いていて、時間を過ごした。
誰も俺が勇者パーティーにいたとは気づくことはないから、気楽なものだ。
勇者オリオンが今頃は俺を追放し、気楽にしているのかと考えてみると、不安にもなる。
『器用富豪』スキルの力を彼らは補助スキルとしか認識していなかったのなら、残念な結果に向かうからだ。
つまるところ、俺が気づいたのは、『器用富豪』スキルこそ世界最強のスキルであり、どんな剣術、魔剣や伝説の武器を使うのも含めて、敵わないのだ。
さらに魔法においても最上位の上級魔法を連続しても『器用富豪』スキルには勝てないのだ。
そのことを追放する時に、理解していたのかと問うと、オリオン達は大笑いしていたのだ。
世界最強の『器用富豪』スキルを追放したのだ。
飲食店に入り、ゆったりと時間を過ごしていたら、近くのテーブルにいた人が会話していた。
「なあ、聞いた話ではよ、近くの森あるだろ、そこでAランク冒険者が行方不明らしいぜ」
「マジかよ、Aランクって、あのイカットだろ、あの無敵の剣使いのイカットが行方不明かよ!」
会話が偶然にも聞こえたら、Aランクの冒険者に何かあったらしい。
イカットという名前は聞いたことはないけど、Aランクが通常の戦いにおいて負ける可能性は低い。
Aランク魔物が敵として戦うのなら話は別だが、Aランク魔物が王都付近にいるはずもなく、いたら騎士団や冒険者が駆除に行くだろう。
それも大軍を率いて、即座に向かうのは、王都には国王、王女、貴族も多く住むのだ。
近くにAランク冒険者を負かす魔物を野放しにするはずもないが。
しかし会話からすると、未だに原因不明な感じだ。
まあ俺には関係ないのであるのは、追放された身である、忙しく暮らすよりも、のんびりと暮らすのもいい。
だがAランクが本当にトラブルったなら、かなりの危険性があるし、王都にいる俺にも危害が起こり得るな。
まあやることもないし、ちょっとだけ関わるのもいいか。
会話をしている人に詳しい場所を聞いた俺は、王都から出て、その森に向かうのだった。
俺って親切だよな。
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森は王都から馬車で行ける距離だったので、俺はもちろん馬車は使わずに瞬間移動した。
一瞬で森に到着した。
森は特に変わりない森に思えたが、他に冒険者の姿はないのは、気になった。
この距離の森なら、冒険者が一人くらいはいるものだが、全くいないのは不自然だった。
やはり街の人が話していたのが影響しているとみていいのか、冒険者はこの森を敬遠しているのかもだ。
パーティーを追放されて、最初の冒険が先の読めないものになるとは、俺も変わっているな。
オリオンに力を貸したのも、俺の気まぐれな部分が大きかったとも言えるので、これは俺のおせっかいな性格もある。
森に来て、まずはスキルを使用しておくのは用心のためだ。
「スキル、全方位結界」
スキル全方位結界は、魔物が近くに来るのを拒むスキルだ。
魔物には魔石があり、魔石に反応して防御する。
見張り『器用貧乏』
↓
全方位結界『器用富豪』
に進化したスキルで、たいていの弱い魔物を拒否れる優れものだ。
見張りスキルは、単に魔物が接近してきたら目視で察知する程度の初級スキルだった。
全方位結界は見えない魔物や隠れている魔物、さらに遠くにいる魔物も察知可能だ。
だが強い魔物は結界を超えてくるので、注意が必要となる。
これは常時発動系のスキルで、消すまで自動で持続可能だ。
持続可能時間はあるが、魔力を使うものもあり、時間切れの心配はある。
もっとも最強に感じるこの『器用富豪』スキルにも、弱点はあり、一つのスキルを使用している時は、膨大な力を必要とするため、複数のスキルを使うのは困難となる。
まぁ、一つでも最強なスキルなので、問題はないが。
勇者オリオンに俺はこのスキルを使用してあげていたのだが、あいつは全方位結界スキルを感じていたのかどうか。
勇者なら感じるはずだが、あいつの会話からは、やや疑問であったのは、俺としても不安に思える部分だ。
全方位結界したことで、森にいる最弱の魔物などはまず近寄らないし、中級魔物ですら、入って来れない壁となり得る。
この結界は俺が臆病者なのが影響しているとも言えて、『器用富豪』スキルのおかげで助かる。
なにせ俺は自分で魔王を倒したいとは思わない性格をしている。
『器用富豪』スキルがあれば、確かにAランク魔族、Aランク魔物とも一人で戦いに行くのは、無理ではない。
でも俺がそうしなかったのは、それが俺の性格で、臆病者というか、面倒というか、積極的ではないのだ。
だからオリオンのパーティーに入って、オリオンを勇者にして、魔王に向かうようにしていたのだった。
どちらかというと、オリオンは積極的な性格だが、俺は消極的な性格で、対象的であろう。
その点は俺は積極的なオリオンを認めてしまう。
俺は一生無理だろうな。
性格てのは変えれるかというと、なかなか変えられないからな。
結界をして歩くと、魔物はいないのは当然なのに、俺の結界にヒビが入ったのは、めったにないことで、歩くのを止めるのに十分だった。
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