『41話 古城4』
『41話 古城4』
器用富豪スキルで瞬間移動スキルを使用したものの、俺も実際にするまでは、本当に600人もの人を瞬間移動できるのかは、不確かだったのだが、やってみたら問題はなかった。
「あははははは、早く移動してみろよ、ロメーロ!」
もう目的の古城付近に着いているのを知らないのか?
見たらわかるのに、なぜわからないのか俺には理解不能だなアスティは。
「もう古城だ。見てみろ」
「そうか、そうか、古城か、えええええええええっ、古城だあああああああああああああ!」
アスティは一瞬で移動した自分が信じられないのか、顔色が悪い。
「あああああああああ、古城にいる、なぜ俺は古城に!」
「信じられないぞおおおおおお!」
「ロメーロて凄いぜえええええええ!」
冒険者や王国騎士団からは俺の器用富豪スキルを絶賛する声が止まらないのであるが、俺はというと、この程度は軽くできるもので、特別に驚くことではないと思っている。
「さすがロメーロ様です。アスカは驚くしかないです。今回で二度目ですけど、驚きます」
「もう離れていいぞアスカ」
「そうでしたね」
移動してもまだ密着していたアスカだった。
「アスティよ、わかったろ俺は嘘を言わないと。イカットについても同じだ。信じろ俺を」
「こ、こ、こ、こ、これはどうやって移動したのだ?」
「また説明させるのか。俺の器用富豪スキルだ。全ては俺のスキルだ。古城は完全に占拠されているのだろ。説明している暇はない」
「まぁいいだろうロメーロ。今のは認める。とにかく古城と街を守るのが先だ、いいな」
「そのつもりだ」
アスティは瞬間移動スキルは認めるとは言っても、俺を完全に信じてはいないようだったのは、俺のスキルがレア過ぎるからアスティの理解を超えていたのだ。
人はあまりにも理解を超えたものを出会うとアスティのように混乱し、思考が停止するものである。
俺という存在がAランクパーティーや王国騎士団のレベルの人間が理解できる範囲を超えていたのが問題であって、決して彼らが悪いのではない。
瞬間移動スキルによる移動で時間のロスは完全になくなり、犠牲者を極限まで減らせたのだが、王国騎士団の500人の騎士は混乱していている様子に。
「ロメーロ様。さすがの瞬間移動ですが、皆さん戸惑っています。周りを見渡しているし、中には頭を抱えている人もいる」
「瞬間移動スキルは、SSSランクのスキルとなる俺の器用富豪スキルだ。器用富豪スキルはあまりにも上級過ぎて、一般の騎士団の騎士には少々戸惑うところもあっただろう。そこは俺という存在といる限りは、慣れていってもらうしかないな。アスカは慣れただろ?」
「慣れませんよ、もうびっくりしてますので」




