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『33話 ギルドに5』

『33話 ギルドに5』



 エルフ国アスカが魔族に連れて行かれた事件はギルドでも依頼となっていて、冒険者も依頼をみていたようで、犠牲者になったAランク冒険者のイカットは依頼を見て行ったのだろうか。


 彼の事も伝えなければならないのが辛いが、犠牲者が一人で済んだのは、良かったと思うべきな強さだからだ。


「あ、あのエルフ皇女でしたか、すみませんでした、そしたらエルフ国に帰るのですよね。エルフの国王もさぞかし心配していますからね、早く帰るといいです」


「またか! ロメーロ様と私を引き離す気か!」


「いい、いい、いいえ、そんなつもりはありません!」


「じゃあどういうつもり!」


「違います、アスカ皇女の国王が」


 なぜかアスカは受付嬢に対抗意識があるようで、一緒にいる俺も悪いなと思うが、アスカを止める方法が思いつかないのだった。


「わかった、アスカ、俺といたらいい。アスカだけ国に帰すことはしない」


「ロメーロ様、アスカ嬉しいです!」


「わかっているアスカ」


「ロメーロ、それではアスカ皇女がいたのを救出したのがグールマスターやオークジェネラルの魔石ということ?」


「そうだな、始めから話そう。俺はAランク冒険者が行方不明者と王都で聞いたのだ。何もすることなかった俺は、それならとAランク冒険者の行ったと思われるダンジョンに向かった。そのダンジョンは未調査のダンジョンだった」


「未調査のダンジョンが王都の近くに。変ですね。王都付近なら直ぐに騎士団が調査します」


「きっとグールマスターが作ったのだな。グールマスターがダンジョン奥にいた。オークジェネラルやオークを従えていたからな。そしてグールは勇者パーティーにいる聖女が目当て。聖女を食すのが目的であった、それでアスカはダンジョンに連れて行かれた」


「なぜ聖女を食すのでしょう、アンデッドだからかな」


 受付嬢が混乱していたのは仕方ないとして、あのバカなグールマスターが変な考えを起こすからだ。


 それを理解できる方に無理があるのだから、俺は怒りでグールをボコボコにして死なせた。


「グールは老いていた。まあアンデッドに老いとかあるのかとなるが、グールは老いていた自分を若くさせたくて、そのために聖女が必要だったのだ。それで勇者パーティーを誘うために、エルフ国皇女を誘拐した。そうすれば勇者パーティーにも依頼が行くだろうし、それを待っていた。つまりはアスカは聖女を食すための罠だった」


「そんな、グールは若くなりたいだけでアスカ皇女を誘拐して、オークジェネラルらをダンジョンに配置したと。それだけで我が国を滅ぼす戦力があるのに、恐ろしい」


「ロメーロ様はグールも倒して私を誘拐犯から救ってくれたのです。私はロメーロ様に忠誠して一緒に行動する。おわかり?」


「はあ、わかりました」


 受付嬢は納得して返事をしたが、本当に納得したかというと、俺から見たら納得してないと思う。

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