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『3話 勇者パーティーを追放3』

『3話 勇者パーティーを追放3』



 見識ある賢者の次はタンカー役のクランクだった。


「オリオンとボーデンが言ったのと同じ。ロメーロは戦闘力があまりにも弱すぎだ。戦力外だ。盾役に徹しているのをキミはどう思う。いつも危険をおかしているのだ。だがロメーロは安全運転だ。傷つかない安全だ。だがね、今後は魔王にも相対する危険性は比じゃない。これはロメーロに忠告しておく、キミは死ぬよ、器用貧乏な戦闘力と肉体では必ず死ぬよ。だからここで追放するのはキミのためなのさ。つまりは危険だから、もう家に帰ってお母さんにご飯を作ってもらいなさい。その方がロメーロの為なんだよ、あははははははははは!」


 何が面白いのか、クランクは笑いだし、ハニー、オリオンとボーデンも笑いだした。

 ただし聖女のリアンは下を向いている。


 彼女は追放したのだから、これ以上の悪口は無用て感じ。

 聖女はいつも俺に優しかった。


 本当は今までお世話になったから、お礼を言いたいところを、聖女リアンにだけお礼するのも変である。


 お礼は、無しとした。

 ただお世話になったのは事実だ。


 今までの分は感謝したいし、そうあるべきだ。

 冒険者としての最低限のマナーだ。


 そこで最後に俺から俺のユニークスキルについて話をしておくべきと考える。


「オリオン、ボーデン、ハニー、クランク、リアン。みんなには感謝しているし、俺は最後に話をしておくのが人として大切だと思った」


「なんだよ、まだ何か言いたいのか、まさか金か?」


「金?」


「そうだよ、追放したからには、今後の保証金をだせとか。そういうの俺はしないか手切れ金も出すつもりはない。言っておくが、金は出さないぜ!」


「金や保証金など要求しない。俺の言いたいのは、俺のユニークスキルについてだが」


 まさか俺が最後に金を要求すると思ったなら、それこそ失望する。

 もちろん保証金など要求はしないし、考えもなかったのは、そもそもお金にあまり興味がなかった。


 そんな風に俺を見ていることに、多少なりともショックである。

 仮にも金が本当になく一文無しとしても、要求はないと言えた。


 違うのだ、俺が言いたいことは他にあるのに、なぜ誰も気づかない。


「ユニークスキルについて?」


「あははははははははは、お前のユニークスキルは『器用貧乏』だろ、そんなの戦闘で何の役に立つのだ。器用なスキルで魔物を気持ち良くさせる気か!」


「最高、魔物を気持ちよくさせるの、めっちゃ笑える、ロメーロ、あなたさ、芸者しなよ。冒険者辞めて、街で芸者しな、あははははははははは」


「ロメーロ。みんなそう言ったのは、あなたが破滅の団には要らないからよ。あなたにはふさわしくない」


「聖女………」


「あははははははははは、聖女のリアンからも言われたな、もう最高だよロメーロ。面白過ぎる」


 リアン以外はみんな大笑いした。

 短期間ではあったが、俺はこの破滅の団に所属して、精一杯に貢献したつもりだった。


 最初は確かCランクくらいだったかな。

 あまり覚えていないが、Sランクになるまで、俺は自分のユニークスキルを使い、貢献したのだ。


 しかし誰もそのことに気づかなかった。

 それどころかユニークスキルについて聞く耳を持たなかったわけで、説明せずに追放されたのは残念だ。


 これで破滅の団から俺は追放となり、俺はどこにも所属しないフリーの冒険者だ。


 フリーもいいか、案外と楽でいいかも知れないしな。

 うるさいオリオンは居ないし、逆にやりやすいのもあるが、本当に俺をぬきで、オリオン達は安全にダンジョンをこなせるか。


 追放されて俺はギルドの受付けの前を通った。

 冒険者ギルドとは、主に冒険者に依頼を紹介する場だ。


 冒険者の登録をして、ギルドと依頼を確信し受付ける。

 依頼はランクによって報酬も変わり、高いランク程に報酬も高くなる仕組みだ。


 受付嬢は俺と目が合うと、


「ロメーロ、お話があります」


「はい?」


「あなたは破滅の団を追放されたのですね。そうなるとギルドからも邪魔です」


「邪魔とは?」


 なぜ邪魔なのか?

 別に危害を加えたわけでもなく、ギルドに登録しているのも邪魔ということか。


「邪魔なのです。なぜなら勇者パーティーから追放された人がいると問題なのです」


「意味がわからない。わかるよう説明してくれ」


 まるで話が読めない。

 いったい何をしていて、俺を邪魔暑かいするのかを説明して欲しい。


「理由はロメーロにある。勇者パーティーを追放された人物は、極めて危険だから。きっと勇者パーティーに復讐を計画して実行します。勇者オリオンを恨むからです。必ずオリオンに危害を加えます。勇者オリオン達は貴重な人材、代わりはいない人材なのです。ロメーロとは違う」


「俺の代わりはいるてことか?」


「いくらでもいます。募集したら直ぐに集まりますロメーロの代わりは。確かスキルは器用貧乏でしたかね。あまり聞いたことないスキル名前ですが、ようは、下級のスキルが複数使えるだけのスキルでしたね」


「なるほど、それで俺にどうしろと、受付嬢さん?」


「冒険者ギルドの規約に従います。規約ではパーティーを追放された場合、今回ギルドマスターが危険と判断しました。そこでロメーロは追放と決定されました。エピック国から追放します。本日を持ってこの国から撤去してください」


「なんだと、国外に追放を!


「はい、今すぐに国外の方へお願いします。従わないのなら、規約とおりに、ロメーロをギルドへの危険分子として牢獄に入れます」


 たった今、勇者パーティーから追放されたと思ったら、次は自分の住む国からも追放された。


 なにしろ俺は危険な行動に出るかららしいが、俺をバカにしているとしか思えない。


 なぜ俺が勇者オリオンに復讐するのか、教えて欲しいのだ。

 するわけない。

 だが勇者オリオンの座る席からは、


「あははははははははは、ロメーロ、国外追放かよ!」


「残念だな、当分は会えないな!」


「さよならロメーロ!」


 俺に対して最後の挨拶をしてくる性格の良さ。

 あらためて俺からも言いたい。


 追放したのを後悔するなよ。

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