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『27話 勇者オリオン視点』

『27話 勇者オリオン視点』



 待てよ、待てよ、なぜ聖女が出ていくのだ。

 聖女は俺の嫁になる予定なのだぞ。

 

 それがよりによってロメーロのところに行くとは許せるはずもなく、俺は怒鳴る。


「だめだあああああああああああああ、ロメーロのところはたあああああああああ」


「オリオン、静かに……」


「これが静かにできるかよ、俺の将来の嫁だぞ、それをロメーロのとこに行くのを認めるわけねえええええええええええ!」


「ちょっと、オリオン、あなたリアンを嫁にする気?」


「えっ、あっ、俺、今なんか言ったか?」


 嫁、ハニーが言ったのは、俺がリアンを嫁にするて。

 しまった!

 つい、うっかり言ってしまったのは、俺が勇者になり聖女を嫁にしてやるという本性だ。


 しまった、だが、言ってしまったものを、今さら否定は難しいだろうな。


 くそっ、これも全部ロメーロのせいだ。

 弱くなったのだけでも納得していないのに、聖女まで奪う気かよ。


 こんなことになるなんて、天才の俺ですら読めなかった。


「言ったさ、リアンを嫁にすると。本当なのかいリアン?」


「私はオリオンの嫁になるつもりはないけど。何を言ってるのか意味がわからないわ。ロメーロの嫁になるのならいいけど」


「なんだと! ロメーロの嫁になるつもりか!」


「そんなに怒ることないでしょ。別にオリオンには関係ないでしょ、私がロメーロとどうなるか、なぜあなたが出てくるのよ」


 リアンは俺と婚姻しているわけではなくて、これから婚姻させてやろうと思っていたから、まるで俺だけバカな奴に思われている。


 恥ずかしい話だが、リアンを横取りされた気分だ。


「そうだぜ、リアンがパーティーを出ていくのはショックだ。本当に出ていくのか?」


「出ていきます。これは私の中で決定したこと。だから止めても無駄。ロメーロのいる国を探しだす。どこにいるか知らないけど、ロメーロが活躍すれば直ぐに居場所は判明する。それではオリオン、ボーデン、クランク、ハニー、さよなら、私はパーティーを出ていきます」


 そう言ってリアンはギルドを出た。

 それを止めることは誰も出来ずに見ていただけで、リアンが居なくなり、パーティーメンバーは俺とボーデンとクランクとハニーの4人となった。


 2人減ったから少なく感じるものの、これからどうなるか、途方に暮れそうだ。


 冒険者ギルド内には多くの冒険者がいたので、会話が届いた。


「オリオンのパーティーは依頼をまた失敗したらしいべ」


「それと今のはリアンだろ、聖女のリアンが離脱したんだ!」


「聖女リアンて、あのリアンだろ、いいのかよ聖女のいないパーティーがSランクになれるのか?」


 冒険者らは俺のことを影口していて、特にリアンを失ったのが致命傷だろうと噂していた。

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