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『26話 勇者オリオン 視点』

『26話 勇者オリオン 視点』



 ロメーロの奴が俺の言うことを聞いたらしい。

 俺がロメーロはFラのスキルしかない器用貧乏なのだから、とにかくスキルを使えと言った。


 確かに俺は言った覚えはあるが、まさかそれがSランクスキルだとは知らぬし、そのおかげで俺はSランクまで成長しなかったってのかよ。


 そんなのあるかよ、それじゃ今までなんの為に冒険者してきたか、わからないだろ!


 Sランクの冒険者になったし、パーティーも破滅の団はSランクパーティーにまでなったのは、ロメーロがいて全てロメーロがいたからSランクだったとなる。


「うわああああああああああ!」


「落ち着けオリオン!」


「声を出さないでオリオン。ここはギルドだし、みんな見てるし!」


「これが黙ってられるかよ、そうだろ、みんなも怒れよ、怒っていいだろ、なんで怒らない!」


「私もムカついているよ!」


「俺もだ。ロメーロを追放した時にそのことを伝えるべきだろ!」


「あっ、それならロメーロは何か言いたそうな感じはしたな」


「そうですロメーロは、オリオン達がわかっているのかと心配していたのでしょう。それで聞いたのです、本当に追放するのかと。追放したらどうなるか、元の弱い冒険者に戻ることを。だから私も追放されます」


 今のリアンの言葉は聞こえたが、意味がつかめない。

 追放されます?

追放するワケがない


「リアン、きみを追放はしない。追放するわけないだろ。ロメーロの時とは違うからだ。ロメーロは働いていないと思ったから追放したのだ。リアンはとても重要だし、必要だから破滅の団にいてもらう」


「そうよ、リアンは大聖女でしょ、あなたがいるからSランクパーティーにも認められたのもあるのよ。ギルドは聖女を凄く評価している。残っていいから、そんなロメーロみたいになるとか考えなくていいのよ」


「そうだよ、ロメーロと君は違うから」


 みんなからリアンを止める話があった。

 ロメーロみたいに出ていけとはならないのがリアンだ。


 根本的に違う。


「違うのはあなた達です。私が追放されますと言うのは、追放されたいからではなくて、もうこのパーティーを追放されるしかないという意味。追放しかないのです」


「なんだと、追放しないぜ!」


「いいえ、もう遅いです。みんなはロメーロを追放した。それは、ある意味ありえる話でした。みんな有頂天になったし、Sランクパーティーになったなら、自分を天才だと思い、ロメーロを下に見たいと思うのもわかります。しかしそれがあっても、後からやはりロメーロを連れ戻そうとか、ロメーロが必要だとか、ロメーロに謝ろうとかない。それらをいっさいしなかった。もうロメーロを戻す気はないのがわかりました。私はロメーロのところに行きます!」


「待てよ!」

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