『25話 勇者オリオン 視点』
『25話 勇者オリオン 視点』
俺の叫び声はギルド内に響いた。
ギルド内に戦慄が走ったろう。勇者が、取り乱して大声をあげているのだからな。
自分でもわかってはいるが、発狂しないでいられないのだ。
「リアンが言うのなら、俺達はとんでもない失態をしたことになる。最も優秀な仲間を追放したのだから。どうするんだよオリオン、もとはと言えばお前が追放したんだろ、お前が責任取れよな」
ボーデンが今回の件、前回の件の失敗を俺が責任取れと。
賢者のくせに、偉そうに語るがお前こそ、ロメーロのスキルを見抜けなかっただろ。
同じようなものだろ。
「ボーデンだってロメーロを見抜けなかったのだ。俺と大差ないだろ」
「くっ、それは……」
ボーデンは俺に言い返せない。
自分が博識なのが裏目に出たな。
「もうロメーロは居ないのよ。みんなはロメーロが居ないと弱いまんまだった。昔より強くなっていても強くなったように思っていただけ、本当は弱かった。どうするのオリオン?」
「ロメーロはこのエピック国からも追放されたんだろ。今頃は別の国にいるだろうな。それとリアンの話なら、リアンも弱くなっているはずだ。しかしあのダンジョンでリアンだけ残った。そしてハーピーを全滅させ、帰ったのだ。これは不思議だ、リアンの説明と矛盾する。リアンも弱くなっているべきだろ?」
「ええ、オリオンがそう思ったのは無理もないです。しかし私は実際にハーピーを全滅させた。一人でね。なぜかと、なぜできたのかというと、ロメーロに鍛えられたからよ。私は冒険途中でロメーロのスキルによるスキル上昇させられたのをわかったの。ロメーロが私も守ってくれていたの。だけど、それではだめだ、ロメーロにずっと守ってもらっていたらダメになると思った。それをある日にロメーロに伝えた。そしてロメーロに私のスキルを上昇させないように伝えたの。私は除外するようにね」
「リアンは俺達のスキル上昇はそのまま継続させて、リアンだけ素のままにしたというのか?」
「ロメーロは最初は黙っていたけど、私のことを理解してくれて、私だけ何も上昇させないまま、上級ダンジョンや上級魔物と戦いをした。それで私は大変だったけど、自分の力は格段に成長していったの。でもオリオン達は私より成長していなかった。ロメーロに頼っていたからです。ロメーロにもっとスキルを使え、スキルを使えよ、命令していたのをロメーロはそのまま聞いていた。オリオン達はロメーロにスキルをずっと使えと言ったから、ロメーロはあなたの言うことをきいたのよ」
「バカな、ロメーロがスキルをしていたから、俺達は思ったより成長していなかったって言うのか!」
「なんだそれ、リアンだけ成長させたのかよ、酷いだろ!」
ロメーロのやり方にボーデンとハニーが怒りをぶつけた。
俺も感情が高ぶった。
ふざけるなロメーロと。
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