『20話 勇者オリオン 視点』
『20話 勇者オリオン 視点』
「オリオンもボーデンもロメーロが居ないから、苦戦しているのをまだ気づかないの?」
えっ、ロメーロだと?
なぜロメーロなのだ?
この場にいない、追放したロメーロが、俺の魔法に関係していると言うのか?
説明しろ、リアン!
「早く説明しろ、リアン、ロメーロと俺の何が関係しているんだよ! クランクが死ぬだろ!」
「そうよ、リアン。ロメーロの肩を持つのはなぜなの。どうしちゃったのよ、あなたはロメーロに洗脳かなにかされたの?」
「違いますハニー。私はロメーロに洗脳なんてされていなくて、ハニーこそロメーロをわかっていないの」
「なんなのよ、ロメーロの何を知れっての。器用貧乏のFランクスキルは大量に使える役立たずでしかない。Sランクパーティーにはお荷物でしょ」
「違います違いますハニー。ロメーロはお荷物でなくてよ。オリオンもボーデンもみんなロメーロをわかっていないし、わかろうとしていないのが残念。彼はこの破滅の団をSランクに昇格させた。ロメーロはいつもパーティーが危険になる前にスキルを使っていて、みんなを守っていたし、オリオンとボーデンの攻撃、魔法もロメーロがスキルで補助していた。ロメーロを追放していなくなった途端に、魔法やスキルが使えないのがその証拠」
リアンはロメーロについて説明したが、俺の納得する内容じゃない。
ロメーロが俺達を守っていて、Sランクにしていたと聞いて頷くわけないのだ。
「うわわわわわわわあああああああああああ!」
「ボーデン!」
「オリオン、今度はボーデンがハーピーから攻撃されているわ!」
「まずいぞ、ハニーよ、なんとか回復魔法をしてくれ、直ぐに!!!」
「今するところ、クランク、回復魔法するよ、グレードヒール!」
「ぐぎああああああああああ!」
クランクには回復魔法が効いてないため、またも体力を奪われる。
「全く回復してない、早くハニー!」
「だめだ、グレードヒールは使えなくなっている。そしたらヒールアップ!」
慌ててハニーはヒールアップをする。
グレードヒールよりもランクは落ちるが、中級クラスの魔法だから大丈夫だろう。
「あああああああああ!」
「ハニー、何をやっている、クランクに回復魔法してくれ!」
「ええええ、ヒールアップも使えないな、どうしよう、どうしよう、私もわけわからないよ」
「大丈夫だわハニー、落ち着け、まだ回復魔法はあるだろ」
「ありがとうオリオン、そうね落ち着くわ。最下級の回復魔法があったわ。普段は使わない魔法だから、忘れていたわ。ヒール!」
初級の初級の下位魔法だった。
回復術士が最初に覚える回復魔法であるため、使いやすく魔力の消費は少ないが回復量は少ないだろう。
「これしか回復しないのかよ。無理だ、もうタンク役は厳しい。撤退するぞオリオン」
「……わかったクランクは撤退してくれ。俺とボーデンが前に出る」
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