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『19話 勇者オリオン 視点』

『19話 勇者オリオン 視点』


「私はバカにしていない。あの人の凄さを考えてなかったことを言ってるの」


「あの人とか知らないし、なぜ俺が下級魔法しか使えないとか言えるのだ、理由を言え」


 ボーデンがリアンに文句を。

 そこまで言われたら賢者の名誉きそんだ。

 しかしリアンは慌てずに、冷静にしていて、


「ボーデンは悪くない、悪いのはロメーロを追い出したからよ」


 とリアンは言った。

 何をいってるのだ?

 聖女だから許されるだろうが。

 それでも俺がキレる。


 ロメーロを追放したから、追放した人が悪いと聞こえるだろ。

 

「説明しろ」


 と俺はリアンに言った。


「説明している時間があるの? ハーピーが攻撃してきているわよ」


 と言い返したリアン。

 話に夢中になったのは、俺の失態だった。


 ハーピーはすでに攻撃を仕掛けてきていて、クランクが盾になっていたのは助かる。

 常に真面目なクランクらしい好判断だ。


「ハーピーを食い止めておいてくれ」


「ボーデンとオリオンが攻撃するまで俺が止めるよ、ハーピーを。ハーピーが15匹でかよ!!」


 ボーデンがダメなら俺がやるしかないか。


 俺の上級魔法で行ってやろうか、もしリアンが言うのが本当なら、俺の上級魔法や上級スキルも使えないてなる。


「ぐぎああああああああああああああ!」


「大丈夫か、クランク!」


「オリオン、クランクがハーピーに囲まれてボコボコにされてる!」


「マジかよ! 俺が魔法を発動するまでクランク耐えてくれ!」


 まずい、クランクがめちゃくちゃにやられているのだ。

 今のクランクがやられる魔物じゃなかったはすだったのにだ。


 とにかく急ぐしかない。

 試したらわかる。

 俺の上級魔法である、水魔法、大洪水を喰らえ!


 大洪水は、周囲をすべて水の洪水を作り出し、敵を洪水で体力を奪う魔法だ。


 この魔法を俺が出したなら、ほぼ相手は終わりだが、魔力消費は特大だ。

 むやみには使えない。


 ハーピーに使う魔法ではないのはわかっていたが、試してみないといけない場面だからな。


「オリオン!」


「オリオン頼む、うぎああああああああああああああああ!」


「待ってろクランク、大洪水!」


 大洪水を詠唱した時に異変が起きたのがわかった。

 なぜだ!

 なぜ大洪水が発生しないのだ!

 何も起こらない!


 魔力は魔法を使うだけ余裕はあるのだ、使えないはずはない。

 しかし現実に大洪水は起こらないのが理解できない。


 まさか、まさかリアンが言っているのが本当なのか?

 それなら中級下級魔法くらいなら使えるてことか?


「何してるオリオン!」


「た頼むオリオン。うぐあああああああああああああああああああ!」


 クランクの叫び声だった。

 早く打たねば!


 中級魔法の火魔法を使う。


「ファイアボール!」


 これは得意の魔法で、良く使う魔法だった。

 だったというのは過去形であり、俺が強くなる前には良く使ったのだ。


 しかしSランクになった俺には、無用の魔法となったのだ。

 実際にハーピーにファイアボールが飛んだ。


 なんとかハーピーの体力を少しは減らしたか。

 ただ俺の中では納得はしていない。


 リアンには理由を聞かないと納得しないのだ。


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