『15話 謎のダンジョン9』
『15話 謎のダンジョン9』
俺の前で生き返るって、勝てる見込みあったから言ったのなら、もう俺としては言葉も出ないほどにがっかりだ。
せっかくアンデッドを殺して、つまりは本当の意味で死なせてあげたのを、自分から生き返るて、俺のしたことを無意味にしているわけだ。
アンデッドを安らかに死なせてあげた俺の行為を無駄にするのだ。
「凄いか? お前は生き返る魔法で俺が驚くと思ったのだろうが、残念だが俺が驚いていない。逆に残念だ。死なせてあげたのだからな」
「何を! 私を死なせてあげただと、お前なぁ、どんだけ上から目線で物を言ってるのだ。グールを下に見たことを後悔させてやる」
「うるさいグールだな。俺の『器用富豪』スキルの前には、グールもオークもゴブリンも同じなんだよ」
バサっ!
グールマスターを再び切った。
「うわああああああ!」
「これで最後だなグール。お疲れ様だ。2度と俺の前に来るな」
「キサマああああああああ、2度もワタシを切るとは、悔しいいいいいいいい」
生き返るグールに剣で切ったら、苦しそうにして死に瀕した。
しかし俺はあえて瀕する程度に抑えて切ったのは、本気で切れば即死していたところを、生かしたのだ。
あえて生かしてやったと言えばいいか。
「苦しそうだなグール。ただまだ死なせはしない。スキル、体力一定時間固定」
スキルの体力一定時間固定をグールマスターに使用した。
このスキルは一定時間の間は、体力を増えも減りもしない固定化するスキルだ。
そのためグールマスターの体力を1に固定した。
だから、本来なら死ぬはずであるグールマスターは死ぬことが出来ないのだ。
「あれれ、死んでいない、私は生きているぞ!」
「そうだ。俺のスキルで、体力一定時間だけ固定した。死ぬことは出来ないのだお前は。何度でも切る!」
バシッ!
「うわああああああ!」
死ねないグールマスターに、剣を振り下ろし切る。
これでも体力はゼロにはならないため、生きている。
「体力はゼロにならないのだ。もう一度切るぞ!」
バシッ!
「痛いいいいいいいいいいいいいい!」
「まだ生きているな。大丈夫だ。まだ死なないからな。だから切る」
バシッ!
「痛いいよよよよよおおおおおおおおおおお、頼む、頼む、止めてくれえええ、もういい、もういい、死なせてほしい、痛い痛い、死にたい、頼むロメーロ!」
「ダメダメ、生きて老けたくないのだろ、だったらまだ生かしてやる。これでどうだ!」
バシッ!
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い、お前は悪魔か、魔王か、非道だ、酷い、酷い、こんな人族おかしいだろ、魔族でもこんなことしないぞ!」
「ありがとうグール、そしたら、一定時間終わりだ。最後に死ね」
バシッ!
今度こそ最後の剣だ。
見苦しいので、あっさりと切った。
「うわああああああ、痛い、やっと死ねるのね。やっと死ねるのね、あら、死んだら終わりだよね」
「そうだ、終わりだ。お疲れ様グール」
最後にかけた言葉がグールマスターに聞こえたかはわからないが、本当に死んだのは間違いないだろう。
グールマスターの壮絶な死に、エルフのアスカ皇女は、
「ちょっとやりすぎでは?」
「そうかな、俺はアスカ皇女を助けたくてやったのだ。まあいい、ダンジョンを出よう」
「はい」
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