『8話 謎のダンジョン2』
『8話 謎のダンジョン2』
「誰だキサマは。この道は通らせない。通るならワシを倒せ!」
「オークキングだな。通してもらう。俺は冒険者だ。キサマの先に進むからだ。黙って通した方がお前のためだぜ」
「あははは、冒険者かよ、何を言う。こいつみたいになりたいのか、見ろよ?」
オークキングが視線を送ると、ダンジョンの奥に転がっている人がいた。
人?
なぜこんなダンジョンの奥に人がいると思ったが、直ぐにピンときた。
例のAランク冒険者か、えっと名前は、なんだっけか、思い出せないな。
「なりたい? 俺に言っているのか」
「そうだよ、こいつはダンジョンに入り奥に進むと言い出したが、俺がぶん殴ってやったら、起きてこない。くくく、死んだのだろ、弱い冒険者だった。お前も仲間か、ぶん殴ってやる!」
「仲間じゃない。悪いが殴られるのは好きじゃないのでな」
オークキングが言った通りに殴りかかってくる。
迫力はある。
人の数倍はある身長から、振り下ろしてくるのだ、破壊力はAランク冒険者を潰したのだから、それだけで十分だ。
だが俺に通じない。
もっと言えば『器用富豪』スキルには通じない。
防御力を1000倍にしてあるからだ。
冒険者の防御力は、経験を積むことで上がるし、鍛えるのもある。
だが俺の場合は鍛えるのでなく、ステータスを単純に1000倍にする。
防御力1000倍は、Aランク冒険者の防御力を楽に超えているのだ。
人の防御力と同じように見たオークキング、この地点で負けだ。
俺のスキルをAランク冒険者と同じく扱ったのが負けである。
拳が俺の直前まで来たところで、軽く受け止めた。
防御力上昇スキルがなければ、俺は一発で死んだだろうな。
しかし平然と立っている俺にオークキングは驚いている。
「な、なっ、なぜだ。一撃で殴ぐり殺せるワシの拳を持っている!」
「そうだ、理解したか。俺に絶対に勝てないのを」
「むむむむ、まだだ、殴る!」
「無駄だ。どんだけ殴ったところでお前の拳は無意味だ」
何度も殴るけども、オークキングの拳が俺の体にまで達することはないのだ。
もっと言えば、両手で殴ったとしても同じ結果だ。
防御から攻撃に転じる。
剣での攻撃で、剣じたいは安い剣を持っているが、攻撃力1000倍上昇により、最大限に上げた武器にした。
剣と拳の対決だ。
オークキングが拳を回してきたのを、剣で迎えうつ。
ズドン!
剣を振り下ろした。
その後にオークキングの叫び声だった。
ぎゃあああああああああああああ!
「腕が、腕が、切れたああああああああああ!」
「だから言ったろ。俺に拳は無意味だと。言ったのを信じないのがオークか。仕方ないか」
拳を回してきたのを剣でぶった切ると、腕はダンジョンの奥に吹っ飛んで行った。
信じないのは勝手だが、俺の忠告を無視したからだろう。
苦しむオークキングは、まだ俺とやる気か?
俺は奥に進みたいだけだから、今なら逃げても構わないが、オークキングは逃げる性格ではないのは知っている。
非常に交戦的な性格をしているからで、死を覚悟している魔物と鑑定してある。
オークらしいといえば、そうだが、俺に対しては完全に悪手だ。
Aランクのイカットをぶん殴って殺したのはいいが、本当救いたかったが、死んだのは仕方ないとして、イカットと俺を比べた時点で終わっているのだ。
イカットはAランク冒険者であり、世界でも希少な数少ないのは知っていて、しかし俺はその上をいっているのだ。
しいて言えばSSSランクか。
「お前ら、出てこいい!」
「なんだ?」
「あはははは、お前が強いのはわかった。どんなスキルかわからないが、強い。しかし仲間がいるのを知らなかったのは残念だったなああああああ!」
「仲間か。オークの仲間を呼んだのか。それで俺を倒せると?」
腕を一本無くしたオークキングは、仲間を呼んだらしく、奥から姿をぞろぞろと現した。
見た目はオークだ。
まあオークの仲間だからオークなのは当たり前かと思うが、こうもオークばかり来られると、キツイな。
別にキツイなと言う意味は、オークに負けると言う意味ではなく、暑苦しい意味だ。
獣臭いし、圧迫感はハンパない。
神眼鑑定してみると、オークが10匹、オークダークが5匹、オークジェネラルが3匹と、ご覧のありさまだ。
暑苦しいたらありゃしない。
真夏の炎天下の方がまだ増しだ。
「仲間がずいぶんといるのだな。俺は友達いないから、ちょっとうらましい」
「あはははは、余裕はなくなるぞ、冒険者よ、これだけのオークを前に生き残れる冒険者などいなかった。どんな冒険者も生きて帰れないぞ!」
「悪いな俺は違うからな」
「違う?」
「ああ、そのままの意味だ。他の冒険者とは違う。Aランク冒険者とかと一緒にしたのなら、お前らは勘違いしている。Aを超えたSランクのさらに上のランクて言えば伝わるか」
「何をわけのわからぬ奴ですぜ、キング!」
「キングの腕を切った奴は、必ず殺せ!」
「おおおおおお! 殺せ殺せ殺せ!!!!」
俺の忠告を無視したのはオークだ。
奴らは人の意見を聞く耳は、そもそもないからで、完全に俺の話を無視した。
あるのは自分の欲望だけ。
剣をまた切るしかないな。
あまり切りたくないのは、獣臭いからだが。
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