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『1話 勇者パーティーを追放』

連続投稿の予定です

『1話 勇者パーティーを追放』



「おい、ロメーロ、お前は今日で勇者パーティーを追放する!」


「えっ、どうしてだ?」


 たった今、追放されたのは、俺の名前でロメーロ。

 冒険者をしていて、勇者パーティーの破滅の団に所属している20才だ。

 

 いや、していたと過去形で言うべきか。

 そこは冒険者ギルドにあるテーブルで言われる。


 周囲には他の冒険者も多くいるのが冒険者ギルドであり、俺を注目している。


 多くの冒険者が聞いているのを知っていて俺に言ったのは、勇者であり破滅の団パーティーリーダーである、オリオン。

 年齢は俺と同じ20才。


 冒険者としては若いが、勇者であり、エピック国、最強パーティーになった男だ、まぁ最強なのはオリオンの力だけではないのだが。


 エピック国で知らない冒険者、商人、農民、鍛冶屋、貴族、どの階層の国民でさえ、いないとまで言われる存在だ。


 周囲の冒険者もオリオンには逆らわない。

 逆らうのは死を意味するからで、俺はなぜ追放なのかと、疑問で答えたわけだ。


「何をびっくりしているロメーロ。お前はオリオンからクビになったんだよ、たった今。理解しろよ。勇者パーティーにいただけありがたいと思え」


「なぜかな。理由は?」


 勇者オリオンの横に座るのは、大賢者のボーデン。

 彼はオリオンと同じ20才でありながら、国家最高の賢者とされた逸材。


 賢者は剣術と魔法の両方に優れており、さらに世界の歴史、魔族歴史、古代文字にも精通している者が賢者として認められる。


 ボーデンは全てに卓越して、エピック国の博識とも呼ばれる。

 そのボーデンが言ったなら誰でも、冒険者なら、信じるしかなく、俺に上から目線で言ってきた。


 博識のあるボーデンらしくない発言だと俺は思う。


「役に立たないからだ。お前は破滅の団に貢献していない。単なる『器用貧乏』で用無しだと言ったのだ。理解できねえの?」


「俺は器用スキルで、パーティーのみんなに指圧で血行を良くして体力の回復や治癒をして貢献していたはずだ。必要な人材だ」


 俺のスキルは『器用富豪』。

 生まれてから15才の時に発動したユニークスキルだ。


 ユニークスキルとは誰でも持てる一般的なスキル、例えば、ステータスの能力を上昇させたり、魔法に付与して効果を上昇させる、それが一般的なスキルで、誰でも持てない固有のスキルがユニークスキルだ。


 俺はユニークスキルを『器用富豪』を得たことで、このパーティー、破滅の団に入ったのは、少し前になる。


 ただしパーティーの仲間、いや元仲間か、が思っているのは勘違いしているスキルだ。


 元仲間は俺のスキルを『器用貧乏』と思っているが、実は『器用貧乏』から上位進化しており、『器用富豪』になったのだ。


 そのことに気づいていなかった勇者らは俺のことを役に立たないと。


 この俺を追放するか?

 良く言ったものだ。


 誰のおかげで勇者パーティーにまで発展したのか、それを気にもせずに、俺を追放する無自覚な大賢者。


 無自覚というより、無能と言わせてくれ、賢者であるはずが、単なる無能でしかない。


 もし賢者で博識があるなら、俺の『器用貧乏』を『器用富豪』と上位進化したのに気づいているはずだが。


 ちなみに俺のステータスは、




名前 ロメーロ 

性別 男

人種 人族

年齢 20

攻撃力 5

防御力 5

体力  50

魔力  5

速度  5


スキル 器用富豪


魔法 なし






 俺が破滅の団に貢献したのを説明すると大賢者をさえぎり僧侶のハニーが、


「指圧は気持ちいいのは認めるよ、疲れた時には癒やされる。ただね、それだけ、たったそれしか出来ないてのが、ロメーロの弱点なの、おわかり? あなたのスキルは、破滅の団がこれから達成する大いなる目的には、あまりにも役に立たないの。お荷物てことよ、そろそろわかれよ?」


 大賢者の横にいるのが僧侶ハニー。

 彼女は若くて17才ながら卓越した治癒魔法を使う。


 俺が指圧で行う、治癒の効果とはケタ違いな回復だ。

 その点は俺も認めるし、才能はある。


 彼女の言う大いなる目的とは、達成困難な道、魔族や魔王の戦いだろうことは言わなくても冒険者なら、誰でも理解する。


 むろん俺もわかっているし、そのつもりで破滅の団で努力したわけだ。


 それをひと言の、役に立たないで済ますか。

 逆に言いたいのは、お前は俺を追放して、大丈夫なのかということだ。


 賢者と勇者も同じで、俺を単なる指圧する補助要員としか見ていないのなら、致命的な欠陥はそこにあるというべきか。


 しかし俺はこれ以上の言い訳はしたくないのは、お前らこそ理解できる脳みそを持っていないからだ。


 俺にそこまで言った瞬間に俺は確信したし、俺の中ではお前らに失望した。


 本当に俺抜きで魔王と戦うと宣言するのなら、俺は止めない。


 勇者パーティーなのだから、止めるまでもなく、いずれは魔王に行き着きたいのだ。


 お前ら、オリオン、ボーデン、ハニー、クランク、リアンの考え、思考、世界観、意志、全てを理解した。


 そこでハニーと同じ、もう一人の女性仲間で、大聖女のリアンが、


「ロメーロを追放するの?」


「そうだよ、リアンも役立たずと言ってやれ、この役立たずとな。今までは面倒見てやったが、さよならと!」


「えっと………………」


 大聖女のリアン。

 彼女はパーティーでは回復魔法や防御魔法、さらには攻撃魔法も両輪で使える、天才と言われる。


 世界に一人しか存在しない、それが大聖女で彼女は特別な存在。


 世界遺産と呼ぶ人もいるくらいだ。


 勇者オリオンよりも希少価値は高いと呼ばれるゆえんだ。

 髪は長く金髪。

 ふくよかな胸は誰もが振り返るのに十分な量を蓄えていた。


 おっと俺もなるべく視線を送らないよう、気をつけていたのも、彼女に悟られるからだ。


 どんな男性も振り返る彼女には、僅かな視線にも察知する。

 勇者から嫌われて、尚かつ大聖女からも俺は嫌われていたのか。


 はっきりとは言わないが、それは俺を傷つけるからだ。

 リアンは聖女と呼ばれるからには、俺の気持ちを読んだのだ。


 パーティーから追放された、必要と思い、頑張ってきた俺の気持ちを読んだのだ。


 そんな俺に対してひどい罵声は言わなかっただけでも、救いと言えよう。


 この状況で勇者と大賢者と僧侶は俺を罵声したが、大聖女のリアンは少しトーンが違う気もした。



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