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いちと二乃 〖love letter box〗

作者: ももちよ

 ※百合





よく、思春期ごろに女の子が、おれ、ぼく、うち、っていうのを耳にした。

あれは一説に、子供から大人へ向かう成長過程の段階だと聞いた。

男性に比べ、女子は自分への一人称が少ないんだそうだ。

確かに、俺、も、僕、も、男性が使うような言葉だ、男性はそうやって段階を経て、大人になり、私の一人称を手に入れる。らしい。

ああ、女の子は確かに小さいときから、わたし、あたし、がスタンダードなのかも。

あたい、も大人の姉御っぽいし。そうやって大人への執行猶予がないから、彼女たちは大人になるまでの執行猶予を延ばすようにそういう一人称を使う。


その気持ちを隠すことはできるようになっても、わたしはずっとその気持ちを抱えたままでいる。


小さいころから、何度も大人の男性に声をかけられていた。

ちょっと歩けば、手紙を渡される。

お金困ってない?と声をかけてくるひと。バイトの先輩も、バイトのアドバイスだなんていって、呼び出してきたりした。

ちょっと怖かったのは、ネットカフェで漫画を取りに行ってる隙にお手紙が置かれていたこと。プライベートも安全もあったもんじゃない。それからネットカフェにはいくのをやめた。


いつもまだわたしはこんなにも幼いのに、そんな人間をすきだなんて、ロリコンみたいだな、と思っていた。当然恋愛なんてできるわけもない。ロリコンと恋愛なんてする気はないのだ。

だからといってそう言ってくる男性を私はさほど嫌いでもない、ただ不思議なだけ。知りもしない私のどこが気に入ったんだろう。愛想の良くもない私なんかと恋愛して何がしたいんだろう。性欲のはけ口ならわたしじゃないほうが楽だろう。ただただ不思議だ。


「いち~!」

明るい声が空気を裂くように飛んでくる。自分が考えごとをしていたことに気付く。遠くから走ってくる子は二乃だ。

一緒に帰ろうとにこにこしている。



「そりゃあ愛されたいけど、それは性的ではないんだもの、だから、彼氏は要らないの」

「わぁかるぅ~!わたしはいちからは愛情を感じる、それは心地よいって感じるのにね。みんな彼氏彼氏つくれ、処女はやばい〜ってうるさい」

「ふふ、やる気になればすぐだよ」

「そーそー、わたし好きなひといるし」


いつからかわからないが、私は二乃がすきだと思う。思春期特有の勘違い。かもしれない。

にこにこ笑う二乃をみて思う。わたしが一番近くで、二乃を理解しているし、性欲ではなく、うーん…独占欲かも。

でも二乃が彼を好きなことを口出すつもりはない。

邪魔するつもりもない。

二乃が幸せならそれでいいと思っている。なんて、本当は叶わないと高をくくっている。

いずれにしても、わたしに恋愛はまだ早い。たぶん、時が来ればきっと、わかるようになる。

それまではとりあえず友達として、二乃の隣は死守しておこう。



百合すきです。

ネカフェのくだりは実際に妹があったことなのでお気をつけて。


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