フレンドリーショップの店員
レイナが現れた土地を所有する貴族の元へ、ある青年が駆け込んできた。
「マネさん、大変っす!」
「あぁ、どうしましたか?ショップ店員A。」
「名前の設定、雑だな!......じゃなくて、」
手に持った紙を、マネの高級そうな机に広げる。そこにはレイナとゴッホの写真と、彼らについての調査結果が書き記してあった。
「レイナがこの街に来たんすよ!」
「誰ですか、それ?」
「知らないんすか?!今、噂になってますよ!ブルジョワを倒して金を巻き上げてるっす!」
マネはしぶしぶと机に置かれた手紙を読む。レイナの出自は不明。数日前に隣の町に現れ、ブルジョワジーのみを狙って勝負を挑んで連勝している。ゴッホについては元々知っている以上の情報はなかった。
「それが何か、悪いことでも?」
「戦う目的が悪質なんすよ。金銭目的だって。」
「ふぅん。まぁ、やらせておけばいいんじゃないですか。」
レイナの写真だけを見る限り、自分のまわりにいてもおかしくない程の、上流階級の気品が漂う女の子だ。ただ、夏休みの宿題は全て執事にやらせるタイプの子。
「......そうっすね。最近は活動範囲を『娼婦のデパート』に絞ってるみたいだし。」
「え?」
「あそこっす、街で一番デカい娼館。従業員や客と勝負して、荒稼ぎしてるみたいなんすよ。まぁ、被害は娼婦と裕福なオッサンだけなんで......マネさん?」
急にマネが立ち上がる。温厚で落ち着いた性格で知られる彼の瞳は、怒りに燃えていた。
「それは、許せませんね。かよわい乙女たちを狙うなど、悪質にも程があります。」
「さっきまでやらせておけばって......」
「なんとかしてきてください、店員A。あ、もちろん報酬は払いますよ?」
にっこりと品の良い笑みを浮かべ、相手に有無を言わせない。彼もレイナ同様、面倒くさいことは他人にやらせるタイプだったのだ。