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ジェントルマン

「お疲れー、ゴッホ。この調子だと夕方までに10万は稼げそうよ。」

「......」

「なに、まだ怒ってるの?お昼のこと。」


 朝の三連勝を終えた、昼下がり。そろそろ生活水準を戻しても良い気がして、メニューに値段の書いていないレストランで久しぶりにお昼を食べた。だが、お会計をしたら所持金では足りなかったのだ。


 支配人を呼びつけて「勝負よ。あなたが勝ったら、倍にして払ってあげる!」と半ば無理やり戦いを挑んで、もちろん勝った。そして逃げるようにその場を去ったのだ。食い逃げではない......と思う。うん、次からは気をつけよう。


「それもあるが......どうして執拗にブルジョワの紳士ばかり狙うんだ?」

「だって、お金落としてくれる人といえば、ジェントルマンでしょ。」


 あきらかに金持ちそうなスーツ着てるから、分かりやすいんだよね。一日に同じ人と戦わないという約束は守ってるんだから、そこは多めに見て欲しい。


 ちなみに昨日五連勝したおぼっちゃまは姿を見せなかった。見かけたら戦おうと思ったんだけどな。連絡先とか聞いておけばよかった。


 新たなジェントルマンを探していると、向かいからアロハシャツに半ズボンの青年がやってきた。そのまま通り過ぎるかと思いきや、いきなり肩を組まれる。


「よぉ、嬢ちゃん!オレとお茶しーへん?」

「パス。そのズボン、あんた短パンこぞうでしょ。金もってないの知ってるんだから。」


 短パンこぞうにしては少し年がいってるが、どうせ同じ類だろう。爽やかイケメンではあるものの、勝ってもジュース一本くらいのお金しかくれない男に構っている暇はない。しかも、そういう奴に限って手持ちが多いんだよね。


「やあ、ゴーギャンじゃないか。」


 スルーしようとすると、少し離れた場所でジェントルマンに謝罪をしていたゴッホが出てきた。そしてあろうことか、大人になった短パンこぞう(仮称)に挨拶をし、親しげにハグをし始めたのだ。


「おー、ゴッホおったんか!気づかんかったわ!」 

「彼女はレイナ。私のマスターだ。趣味は食い逃げとオヤジ狩りのようだ。」


 そして、思いっきり誤解をうむ紹介をされたのだった。


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