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第五話 ゴーレム軍団、誕生!

「よし、じゃあ作るか……」


 小さな家屋ほどもある岩山。

 それに向かって、ゆっくりと木のピッケルを向ける。

 岩山には宝石の原石や魔石などもたくさん含まれているが、ゴーレム作成には岩だけが利用されるとのこと。

 余計なものは不純物として吐き出されるらしいから、安心だ。


「ストーンゴーレム作成!」


 山の一角が輝き、大きな人型へと変化していった。

 やがて俺よりも少し背の高い、白い石の人形が出来上がる。

 ずんぐりとした体格で、手足はやや短め。

 機動力はあまりなさそうだが、その分、力はかなりありそうだ。


「こいつは頼もしいな! どれ、この岩は持てるか?」


 岩山から少しはみ出していた大岩。

 それを指さして命令すると、ゴーレムはコクコクとうなずきを返した。

 そして器用に腰を曲げて、大岩をゆっくりと持ち上げていく。


「こりゃいいや! 力仕事にはうってつけだな!」

『戦闘要員としても、十分に活用可能です』

「よし。力の次は、知能の確認だな」


 簡単な命令を聞き分けることはできるようだが、どの程度のことまで可能なのだろう?

 チームワークを組んで、魔物と戦うようなことはできるのだろうか?

 俺はもう一体ゴーレムを作成すると、二体になった彼らに対して命令を下す。


「二体で協力して、猪を狩ってきてくれ。できるか?」


 俺の命令に、うなずいて答えるゴーレムたち。

 彼らはそのまま背を向けると、森の中に向かって歩いて行った。

 さて、うまく行くかな……?

 火を起こし炊事の支度をして待っていると、ほどなくしてゴーレムたちが戻ってきた。

 

「おおお、こりゃ見事な猪だ!」


 ゴーレムたちが二体がかりで抱えてきたのは、これまた立派な猪であった。

 丸々と肥え太っていて、口元からは牙が長く伸びている。

 俺一人なら、一週間かけても食べきれないぐらいの肉が取れるな。

 食料が少しでも欲しかったところだけに、とてもありがたい。


「よくやった、さすがだ!」


 すぐにゴーレムたちを褒めると、二体は揃って頭を下げた。

 感情を持ち合わせているわけではなさそうだが、なかなか賢い。

 これは本当に、思っていた以上のものが出来たな。

 こいつらをうまく活用すれば、大森林での生活基盤を整えられるだろう。

 それにこの戦闘力なら、ムーンベアとも渡り合えそうだ。

 

「さっさと残りを作成するか」


 木のピッケルを岩山に向けては、次々とゴーレムを作成していく。

 やがて家ほどもあった山はすっかり小さくなり、鉱石や原石だけが残された。

 ストーンゴーレム、計十体。

 一列に並ばせるとちょっとした軍隊のようで迫力満点だ。

 実際、そこいらの魔物ならば十分に撃退できる戦力である。


「壮観だな! あとは武器を持たせれば完璧か。ゴーレム用の武器って、何か作成できるか?」

『現在使用できる材料ですと、木の大剣が作成可能です』

「早速作ってみよう。木材と鉄のナイフがあれば作れるよな?」

『はい』


 さっそく鉄のナイフを取り出すと、家の脇に置いてあった木材に向けた。

 次の瞬間、俺には大きすぎるほどの剣が出来上がる。

 こんなのをゴーレムの力で振り回したら、凄い威力が出そうだ。


「これならムーンベアにも通用しそうだな。おーい、ゴーレム! 試しにこれで木を叩いてみてくれ!」


 俺が呼び掛けると、隊列を組んだゴーレムのうち一体が前に進み出てきた。

 そして渡した大剣を握ると、目の前の木に向かって思い切り叩きつける。

 ――べシャン!!

 派手な音がして、人間の胴体ほどもある木が揺れた。

 だがそれと同時に、真っ二つになってしまった大剣が宙を舞う。

 どうやらゴーレムの力に耐えきれなかったようだ。


「さすがの威力だな。けど、一発でダメになっちゃうか……」

『ゴーレムの能力が通常よりも高いようです。恐らく、使用した岩の魔力含有量が多いことが原因かと推測されます』

「これ、木の大剣の強度は上げられるか?」

『不可能です。材料の変更が必要となります』

「うーーん……」


 ゴーレムの拳は石で出来ている。

 それで殴りつけるだけでも、相当のダメージは期待できるだろう。

 しかし、それではリーチが短すぎる。

 あのムーンベアの巨体と対峙するには、それを補う武器が欲しいところだ。

 何かいいものはないものか……。

 そう思ったところで、先ほどゴーレムに叩かせた木が目に飛び込んでくる。


「そうだ! 丸太だ! それなら折れないし、リーチも十分だ」

『丸太については、クラフトキングの能力で作成するよりも直接ゴーレムたちに木を倒させた方が早く作成できます』

「へえ、そうなのか」

『木や動物など、生物を直接素材として利用することはできないためです』


 そう言えば、木材を使うときも森の木を直接利用できなかったもんな。

 でも逆に考えると、ゴーレムで木を倒してくればそれを素材として利用することはできるのか。

 今まで必死に枝を集めていたけど、それをしなくて済むのは革命的だな。


「よし、ゴーレムたち! 協力して木を倒すんだ!」


 俺の号令に合わせ、一斉に木を押し始めたゴーレムたち。

 その人外の腕力と数の暴力によって、大木がゆっくりとだが倒れていった。

 こうして数十分後――。


「ゴーレム突撃部隊の完成だあァ!!」


 それぞれに丸太を抱えたゴーレムたちを前に、俺は声を張り上げた。


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