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第四話 お宝ザックザック!

「ひとまず、深さはこれぐらいでいいかな?」


 ピッケルを土に向けて、坑道を造設することしばし。

 かれこれ30メートルほど、斜めに掘り進んできただろうか。

 すでに入り口は遠く、微かに白い光が見えるだけだ。


『十分です。ここからは水平に掘りましょう』

「ああ。しかし、真っ暗で何にも見えないな」

『松明で周囲を明るくすることが可能ですが、酸素の欠乏を招く恐れがあるため推奨しません』

「さんそ?」

『ソルト様にもわかるように説明しますと、息が出来なくなって死亡するということです』


 そう言えば、換気の行き届いていない鉱山は危険だと聞いたことがある。

 真っ暗闇の中を進むのは気が進まないが、ここは導き手に従っておこう。

 それに、クラフトキングの能力で作られる坑道の床面は非常に滑らかだ。

 気をつけてさえいれば、暗闇でも転んでしまう危険もほとんどない。


『稀に坑道が天然の洞窟と接続し、そこから魔物が出現する場合などもありますので注意は欠かさないでください』

「ああ、わかった」


 改めて注意を促してくる導き手。

 俺はいつでも木の剣を構えられるようにしながら、慎重に坑道を造設していく。

 木のピッケルが光を帯びるたび、坑道の先が少しずつ伸びていった。


『このあたりで、一度掘り出したものの確認することを推奨します』

「そうだな。あんまり貯めても確認が大変だ」


 さて、ゴーレム作成に必要なだけの量は集まったかな?

 坑道の入り口へと戻ると、そこには小さな家ほどもある岩山が出来ていた。

 暗くてよくわからなかったが、大森林の地下にはかなりいろいろな種類の岩があったようだ。

 中には六角柱をした水晶の塊ようなものまである。


「これ、何だかわかるか?」

『魔石です。大森林の土壌は保有魔力量が多いため、このように結晶化することがあります』

「おいおい……魔石って物凄く高いって聞いたことがあるぞ……?」


 親指ほどの小さな魔石でも、金貨数枚はしたはずだ。

 たいして、いま手にしている魔石は、拳大ほどである。

 こんなもの、いったいどれほどの価値があるのか……。

 家一軒分ぐらいの値段がしても不思議じゃない。


『こちらの魔石ですと、ガナード王国の相場で金貨百枚ほどの価値があります』

「そりゃすごいな!」


 思わず声が上ずってしまう。

 元王子の俺からしても、金貨百枚と言えば相当の大金だった。

 王都の一等地に家が買えるぐらいの額だ。

 魔石を握る手が、わずかながら震えてしまう。


『魔石を用いると、生産物に魔法効果を付与することが可能となります』

「剣から炎を出せるようになったりとかか?」

『そう言ったものもございますが、効果は多種多様です。ただし、魔石の加工をするためにはクラフトキングのレベルが足りません』

「じゃあ、レベルアップするまで魔石は取っておいた方がいいな」


 あとで箱でも作って、そこへ詰め込んでおこう。

 ちょっと不用心な気もするが、ここは人外魔境の大森林。

 盗んでいく人間がそもそもいない。


「これが魔石だとすると……こっちの赤いのは何だろう?』

『ルビーの原石です』

「じゃ、じゃあこの青いのは?」

『エメラルドの原石です』


 す、すごい!!

 まさしく金銀財宝の山じゃないか!

 ここにあるだけでも、一生遊んで暮らせるぐらいの量があるな……!

 不毛の地だとされていた大森林が、まさかこれほど資源に恵まれていたとは。

 これは嬉しい誤算だ。

 この宝石を手にほかの街へ脱出すれば……なんて考えも浮かんでくる。

 まあ、身分を伏せて財宝を売ろうとしたところで怪しまれるだけだろうけれど。


「もう少し掘り進めてみようか。きっと、まだまだお宝が出るぞ!」

『鉱物資源が産出される可能性は高いと判断します』

「よし!」


 木のピッケルを手に、再び坑道の奥へと向かう。

 まだまだ支え木はたくさんある。

 このあたりを掘って掘って掘りまくるぞ!!

 こうして、ひたすら穴を掘り進めること一時間ほど。

 入り口から百メートルほど潜ったところで作業をしていると、急にキィンッと耳障りな音が響いた。

 それと同時に、木のピッケルがミシミシと何やら嫌な音を立てる。


「なんだ?」

『どうやら、木のピッケルでは掘れない壁に当たったようです』

「岩盤かな?」


 手を伸ばすと、氷のように冷たく硬い物体が指先に触れた。

 こいつはいったい……。

 つるりと滑らかな壁が、行く手を阻むように広がっていた。

 石か、はたまた金属か。

 暗くてそれすらもよくわからないが、とにかく硬い。

 ポケットに入れていたルビーの原石で引っ掻いてみるが、傷一つつかなかった。


「よくわからないな……でも、自然にできたにしては平らすぎる」

『この壁はダンジョンの外壁であると推測されます』

「ダンジョンって、中にモンスターとかがいるあの?」

『はい。ダンジョンは魔力の多い土壌に発生する魔力構造物です。大森林の環境はその発生条件を十分に満たしています』


 なるほどな。

 しかし、完全に行く手を塞がれてしまった。

 この壁を壊すことはできないようだし、迂回するとなると支え木が足りないな。

 残念だけど、ここから先に行くのは難しいか。


「今までに集めた岩で、ストーンゴーレムは作れるか?」

『問題ありません。十体ほど作成可能です』

「それなら、戻って作ろうか」


 あくまで本来の目的は、ストーンゴーレムを作成するための岩の採掘。

 それが完了したのならば、特に無理をする必要もない。

 こうして俺は、ひとまず行動を出てゴーレムの作成に入るのだった。

 さあ、ゴーレムとやらの実力を見せてもらおうか――!


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