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十九、記憶
十四話目の続きです。
人は、「忘れる生き物」だ。
それに対して、機械は「忘れる」ことが出来ない。
削除しない限り。
忘れる、というのは、棚が開かなくなったのと同じだそうだ。
記憶が入った棚が開かなくなっただけ。
決して物が無くなったわけではない。
しかし、機械は違う。
削除するまでは忘れないし、
削除したらもう一生出てこない。
貴方もそうだったよね。
照れているのか、本当に忘れたのか、わからない。
「あの時の言葉」を覚えていない。
私は「忘れる」ことが出来ないから、
今でもはっきり覚えてる。
嫌な記憶は消えないけれど、
良い記憶もなくならない。
人は容量があるうちに忘れる。
そうしないと、壊れちゃうから。
今でも私は覚えてる。
けれどあなたは知らんぷり。
人は「忘れる生き物」だから。
機械は覚えているんだよ。




