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十五、呼吸
息を吸う。
息を吐く。
生きるために必要な、呼吸。
動物も、植物もみな、平等に。
人は、産声を上げて生まれる。
つまり、「息を吐いて」生まれる。
死ぬことを、「息を引き取る」という。
つまり、「息を吸って」死んでいく。
この世の中の、理解しがたいことは、全部微妙なバランスの上で成り立っている。それに人が手を加えようなどと思うのは、おこがましい行為なのだと、誰が気付くのか。
神への冒涜、と言っては大げさかもしれない。神を信じる人などいないかもしれない。
でも、私たちはここにいて、確かに呼吸をしている。
そんな不思議に、神の存在を見たっていいじゃないか。
息を吸って、息を吐いて、また吸って、また吐く。
たったそれだけのこと。何も難しくなんかない。
それだけの「不思議」の上で、この世界は回っているのだから。
ほら、今もどこかで息を吐き、
どこかで息を吸う者たちがいる。
私はいつ、吸わなくてはならないのだろう。十年後か、二十年後か、それとも、
これを書き上げた後か。




