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忌み嫌われた俺は異世界で生きていきます  作者: 弓咲 岬
第1章 幼少編 迷宮暴走
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八話 ミーナの想い

ちょっと暴走しました。ご了解ください。あと、今回短いです。

 確か私はお兄ちゃんと一緒にお祈りしてて、気付いたらここに……ここはどこだろう。


「あら、意外と冷静なのね」

「あなたは?」


 私がいる所にいきなり現れた女の人は面白そうな顔でそう言った。


「私? 私はライラ―ナ。恋愛の神様よ。この世界じゃ感情神なんて呼ばれているけどね」

「え? かみさま?」

「貴方を呼んだのは他でもないわ。レイン君の事よ」

「お兄ちゃんがどうしたの!?」

「いいえ。貴方がレイン君の事が好きかどうかという事よ」

「もちろん大好きっ!!」


 お兄ちゃんを好きかって? 当然じゃない。本当に小さい時から私の世話をずっとしてくれて、私が甘えたり文句を言っても受け止めてくれて、あんな優しいお兄ちゃんを嫌いなわけない!


「なら、その好きはどういう好きなのかしら?」

「どういう好き?」

「それは家族としての好きなのか? それとも男の子して好きなのか? どっち?」

「……分かんない」


 え? どういう好き? 家族? おとこのこ? 分かんない。お兄ちゃんは好きだけどそう考えた事なんてないから。


「じゃあ、質問を変えましょう。ミーナちゃん。貴方はレイン君をお兄ちゃんとして好きなの? それ以上に好きなの? ずっと一緒にいたい? 貴方のお父さんとお母さんみたいになりたい?」

「うん。ずっと一緒にいたい」

「その言葉に嘘は――」

「ない」

「分かったわ。なら知りたくない今の気持ち。レイン君に抱く貴方の感情を」


 なに? ライラ―ナ様は何を教えてくれるの? 今まで聞いて来た事からお兄ちゃんに悪い事じゃないと思うけど……。


「ミーナちゃん。今の貴方の気持ちは恋よ」

「こい?」

「そう。意味は大きくなったら自然に分かるわ。それまではそうねぇ……貴方がお父さんお母さん以上にレイン君が好きだという事かしら」

「そうなの?」

「実はこの恋は正解がないの。ミーナちゃんはお父さんもお母さんもレイン君も好きよね?」

「うん」

「それでね……もう良いわ! 説明するよりも体験した方が早い。取り敢えず今のミーナちゃんの気持ちは恋だと思ってちょうだい」


 私が頷くとライラ―ナ様は満足したと思う。笑顔だから多分そう。それからライラ―ナ様は色んな事を教えてくれた。


「これからレイン君を落とす作戦を教えるわ。まずレイン君と家に帰ったら二人きりになりなさい」

「私とお兄ちゃんは一緒の部屋だから大丈夫」

「次は自分の想いを精一杯伝えなさい。そうしたらレイン君は必ず自分にはそんな資格はないって言うから。そしたら一旦引きなさい」

「止めちゃうの?」

「大丈夫よ。直ぐにそれ以上の展開があるからその時に一気に攻めなさい。確実に落とせるわ」


 ライラ―ナ様がそう言うならやってみるけど、私がお兄ちゃんに恋をしてる……やっぱりよく分かんない。


「ふふっ。直ぐに分かるわ。それよりもレイン君の事を知りたくない?」

「知りたい!」

「ミーナちゃんならそう言うと思った。まず、レイン君は元々はこの世界の人じゃないわ。違う世界の記憶を持ってこの世界に来たのよ」


 ライラ―ナ様はそれからお兄ちゃんの色々な事を教えてもらった。お兄ちゃんが前に生きてきた世界、地球の事、お兄ちゃんがそこでどんな生活を送って来たのか、この世界に来てから何を思っていたのかを。

 色々な事を教えてもらう内に何でライラ―ナ様はこんなにお兄ちゃんの事を知ってるんだろう? 私だけがお兄ちゃんの全てを知りたいのに。


「あらら? ミーナちゃん、その気持ちは嫉妬(しっと)よ。人として当たり前の感情。まぁ、レイン君は自分の卑下と家族を思い遣るくらいしかないけど。その気持ちは大切にね。それとレイン君がミーナちゃんに対して嫉妬して貰えたら嬉しいわね。覚えておくと良いわ」


 話しながら色々な事を教えてもらった。そろそろ時間らしい。ライラ―ナ様から頑張って、って応援してもらった。


「最後に一言。これからレイン君には色んな女の子が寄って来るわ。それでもずっと一緒に一番でいたいなら諦めちゃダメよ。本当に大切な物は失った時に初めて気が付くんだから」

「分かった」

「いい子ね。まずはレイン君を落としちゃいなさい」

「はい!」


 その言葉を最後に私は元の場所に戻って来た。隣には片膝をついてお祈りの姿をしているお兄ちゃん。改めてお兄ちゃんを見てるとお胸の辺りがきゅと締まる。でも何だかそれが気持ちいい。これが恋なのかな? 私は全部をお兄ちゃんに上げたい。お兄ちゃんの全部も私が貰いたい。ライラ―ナ様はこれが恋って言ってた。そうなのかな?

 なんて考えてるとお兄ちゃんも戻って来た。


「あ、お兄ちゃん終わった? 帰ろ」

「……そうだな」


 何だろう。ライラ―ナ様とお話したからかな。お兄ちゃんとお話すだけでも嬉しい。手を握るだけでも心が満たされる。すっごく幸せな気分。


「どうした? そんな嬉しそうで」

「何でもなーい!」

「あ……しょうがないな」


 多分これが恋。ライラ―ナ様の言った事が少し分かった気がする。好きって気持ちが溢れて来る。お兄ちゃんがパパやママとお話しするのもちょっと嫌な気持ち。ライラ―ナ様はこれを独占欲って言ってた。

 でも良いの。帰ったらお兄ちゃんに今の気持ちをぶつけるの。ライラ―ナ様も絶対成功するって、落とせるって言ってくれたし、頑張る! 私はお兄ちゃんが大好きだから!





……ただミーナがレインを好きな気持ちを書いただけなのに。いやぁ、恋愛って難しいですね! はっはっはっ。


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