二十九話 作戦会議
作者の勝手で投稿が遅れてしまいすいません。
あ、今回短いです。それと昼、出来れば夕方ごろにも出します。
レインがアル達を呼び出して数日後。フェスフォルトの街にはアルグリードとリーフェスが帰って来ていた。
二人は屋敷に戻るとミーナ達三人の真剣さに舌を巻いた。驚いたアルグリードはミーナとフェルナにレインの事も含めて話を聞いた。
「ミーナ、フェルナ。何があったんだ? それにレインの姿が見えないんだが」
「お兄ちゃんなら帝国に行ったよ。でも、後少ししたら戻って来てくれるの」
「……何があったの?」
リーフェスの問いにミーナは俯いて黙ってしまった。そこにタイミングよくやって来たリリィが残りの説明をする。だが、その前にミーナ達には休む様に言い、三階の応接室に向かった。
「レイン様は帝国に向かわれました。ただ、恐らくレイン様は何か考えがあって付いて行ったと思われます。また、期限を一ヶ月としているのでそう遠くないくらいに帰って来られるかと」
一通りの話を終え、リリィは一息つく。その一息にはこれを話した事で緊張が少し解けるのと、二人がレインの事を心配してくれた事に安心するという二つの意味が込められていた。まぁ、後者は大丈夫だと確信していたが。
話を聞きリーフェスは心配もしているのだが、それと同時に何かを考えているらしくずっと黙考していた。
「先に行かせたのは良かったが、そんな事になっていたのか」
「……」
「王都でも少々面倒だったのにまだ増やすか……」
「……」
「あの、リーフェスさん、さっきから何を考えているので?」
アルグリードに言われて我に返ったリーフェスはリリィに一つ質問をする。その時のアルグリードが尋ねた事は完全に無視された。キラリと一滴涙がアルグリードから零れた。しかし、それに気付く者は一人としていない。
さらにリーフェスはアルグリードに席を外す様に言外の圧を掛けて穏やか(?)に出て行って貰った。その時は流石のリリィもちょっと可哀そうな視線を向けていた。……ちょっとだった事にアルグリードは大いに傷ついたのだった。
誰かに癒して貰えると良いな。
「ねぇ、リリィ。ミーナ達が頑張っている理由を教えてちょうだい。何かあるんでしょう?」
「実は私もお話しようと思っておりました。それはですね……」
アルグリードは部屋から出た為、部屋には二人しかいないのにわざわざ耳元で囁く。どれだけ用心深いのだろうか。まぁ、その矛先が誰に向けた物なのか知りたいような知りたくないような……。
リリィがリーフェスの耳元から離れる。その時のリーフェスは納得の表情と……面白そうな表情をしていた。
その話が終わるとリーフェスはリリィに三人を連れて来るように言う。リリィもその意図が分かっていて、寧ろ言われるよりも前に行動に移していた。だからなのか、三人が集まるのに十分と経っていなかった。
「話は聞いたわ。レイン君なら期限までに戻って来るでしょう。でも、それまでは寂しいわよね?」
リーフェスはリリィに頼んで部屋全体に風魔法で防音させる。それで三人の少女に自身の考えを伝える。
***
今までの焦りや悲しみは何だったのだろう、ミーナ、フェルナ、ラミリアの三人は嬉しそうに、それでいてリラックスしていた。リリィも三人が精神的に落ち着いた事で表情が以前よりも柔らかくなっていた。
これを作ったリーフェスはと言えば一仕事したみたいに額の汗を拭う。
「じゃあ、皆。レイン君が帰って来たら頑張ってね」
「は~い!」
ミーナは元気よく返事をし、二人は顔を赤くしながらも頷いた。その後三人はいつもであれば倒れるくらいまで練習や勉強、家事をするのだが、キャッキャと話しながら応接室を出て行く。
残った二人は三人の言動に安心した溜息を零す。
「ふぅ~。良かった。……あの子たちの無理する姿を見るのはきつかったでしょう? 私は最初に見た時だけで苦しかったわ」
「はい。三人の気持ちが分かるが故に余計に」
「そうねぇ。でも、良かったの? 数は三人で十個で」
「流石に一人ずつ十個はレイン様が可哀そうだと思いまして。リーフェス様の意見ならば問題も無いでしょう。反対が出なかったのがその証拠です」
リリィの返しにリーフェスは肩を竦める。その後、これからについて少し話した後、二人はミーナ達の所へ向かった。
今度は庭で寝転んだり、ガールズトークで盛り上がったりとこれまでの事が嘘の様に楽しそうに過ごした。その頃、アルグリードは一人執務室で寂しく仕事をしていた。……つくづく可哀そうである。
~会話の一部~
「じゃあ、決めていきましょ。まずは『お願い』の数だけど……一人ずつから三人で十個、で良いかしら? 数が多すぎるのも考え物よ」
「いいよ、ママ」
「「大丈夫です」」
「それじゃあ……一つ目は婚約の件かしら。二つ目は愛称呼びを定着させる事。三つ目は一年間、三人の傍から離れてはいけない事。四つ目はフェルナだけだけど、毎日一回、梳いて貰う。……他に何か考えはある?」




