閑話二 陽菜のその後……
愛が重い……
あれ? 確か私はくそキモイ爺の車で撥ねられて死んだはず。何でこんな所にいるの? ここはどこなの?
私は今どこかにいる。何かピンクっぽい空間? みたいな場所? で、佇んでいる。ここについて考えていると何もない所から一人の女性が現れた。
「あ、来たのね。ようこそ、一瀬陽菜さん。ここは私の空間。私は神よ」
「神? まぁ良いや。私は死んだはずだけど」
「そうよ。保身家の政治家から殺されたのよ。それまで好き勝手やってたのにね」
「ほんとそう! 折角、お兄ちゃんと結ばれたのに。散々に使いやがって。まぁ、初めては全部お兄ちゃんに上げたと言った時の爺の顔は……少しもマシにならない」
「夜這いなんて恐れ入ったわ。ま、それだけ好きだと言うのも分かっているけど」
お兄ちゃんへの想いは私以外には分からないはずだけど……神様なら分かったりするか。
それよりも……あぁ。あの時のお兄ちゃんは良かったなぁ。私を名一杯愛してくれて。今までのどれよりも幸せだった。一生忘れない忘れたくない。あぁ……お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄……おっと、つい心の本音が。と言うかこの人誰だっけ?
「いっその事清々しいわね。それにしてもちょっと重い気もするけど」
「あら、愛はどのような形でさえ、愛よ。それにお兄ちゃんみたいな人、絶対モテるはずだもの。そのお兄ちゃんを独り占め出来たのは良いけど……お兄ちゃんには幸せになって欲しかったなぁ」
「うふふ。大丈夫よ。彼、一瀬和弥君は生まれ変わるわ。そこでなら幸せに暮らせるはずよ。それにしても陽菜さん、和弥君に会いたい?」
「出来るの!?」
え? お兄ちゃんにまた会えるの? あのお兄ちゃんに?
もし出来るならまた会いたい。またお兄ちゃんに私を見て欲しい。またお兄ちゃんに名前を呼んで欲しい。またお兄ちゃんに褒めて欲しい。またお兄ちゃんに撫でて欲しい。またお兄ちゃんに可愛がって欲しい。またお兄ちゃんに愛して欲しい。今度はお兄ちゃんの赤ちゃんが欲しい。お兄ちゃんの赤ちゃん欲しい。お兄ちゃんの赤ちゃん欲しいっ。……今度はずっと一緒にいたい。でも本当に出来るの?
「ええ。可能よ。ただし、ちょっと条件が付くけど。……後できつく言っておかなくちゃね」
「お兄ちゃんにまた会えるなら何でもするわ!」
「そこまでじゃないのよ。唯、生まれる種族が違うだけ。和弥君は人族、あなたは魔族として。そう、あなたの考える通り、和弥君が生まれ変わるのは所謂ファンタジー世界よ。私達は管理世界五って呼んでるけどね」
人と魔族……上等よ。もし、そうならそれ以外にもたくさんあるはず。そうでなくてもお兄ちゃんは優しい人だから私が魔族だって嫌う事は無い。だったらそんなの、条件でも苦行でもないわ。寧ろ、種族の壁を超えるいい機会よ。
後はお兄ちゃんが気付いてくれるかだけど。気付いてくれるかなぁ。
「陽菜ちゃん、大丈夫よ。種族が魔族なだけでそれ以外は全て今まで通りよ。容姿も体格も記憶も全て。容姿、体格くらいなら少しは変えられるけどどうする?」
「それなら頑張ってみる。……じゃ、じゃあ、胸を少し大きくしてくれる? ちょっと小さいのが悩みだったの」
「そうしておくわ。何なら料理のスキルのつけてあげる。頑張って胃袋も心も掴んでみて」
「ありがとう。私はいつその世界に行くの?」
「もうすぐよ。ちょっと時間は掛かるけど必ず会えるわ」
時間まで神様は役に立ちそうな事を教えてくれる。これならお兄ちゃんを喜ばせれるかも。神も役に立つのね。
良いわ。やってやる。必ずお兄ちゃんに会って見せる!
ブックマーク、レビュー等してくれたら嬉しいです。
明日から本編に戻ります。楽しみにしてた方はすいません。




