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忌み嫌われた俺は異世界で生きていきます  作者: 弓咲 岬
第1章 幼少編 迷宮暴走
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十三話 王都に行く事になった

「お兄ちゃん。ちょっと聞きたい事があるんだけど」

「……まずはその顔を収めてくれ」


 ゴブリンの巣を潰して疲れ果てたから眠りに入り、起きた時には目の前でミーナが素晴らしい笑顔でこっちを見ている。案の如く、目は笑っていない。

 ……何か悪い事した、俺?


「私の事は良いの。それよりも聞きたいんだけど、迷宮竜(アビスドラゴン)と黒虎、銀獅子と戦ったってホント?」

「……はい。本当です」


 さっきよりも素晴らしい笑顔で聞いて来るミーナ。思わず怖気づいてしまった。これから怒られるんだろうなって思っていると、ミーナは俺が思っているのとは反対で大粒の涙を溢れさせる。


「え? ちょっと何で泣いてるんだ?」

「だって……お兄ちゃんが、眠っている、間に……ベルジさんから聞いて……お兄ちゃんが、強力な……魔物向かって、行ったって……聞いたからぁ。それに、三日も起きなくて、心配したんだよぉ」


 それ以上は言葉にならないらしく、泣き崩れ、泣きついて来た。ドアの方を見るとリリィがいて、ちょっとムッとこちらを見ていた。リリィに謝罪の想いを込めて軽く頭を下げると大げさにやれやれと言った感じで部屋を出て行った。多分気持ちは伝わったと思うが、部屋を出て行ったのは何故だろう?それに妙に演技っぽいなぁ。


「お兄ちゃん……」

「……はいはい」


 いつの間にか布団の中まで入って来ていて、涙目で上目遣いでこちらを見つめて来る。と言うか何時入って来た? 気配も動かなかったはずだけど。

 態度はあざといが、否定する理由も無いのでミーナの要望を変える。抱き締めてあげれば嬉しそうに表情を緩める。暫く撫でていると満足したのか起き上がって、今度は真剣な顔をする。その顔はあの時と全く同じだ。


「お兄ちゃん。お兄ちゃんは私との約束を破ってもっと危ない事をしました。それに三日も眠り続けて私達を心配させました。お兄ちゃんはその責任を取る必要があります」

「……どんな責任を取ればいいんだ?」

「私はお願いを五つに増やして下さい。パパ達にはその時に聞いて下さい」

「拒否権は?」

「ないの!」


 ははっ。あの女神の差し金か。あの時は敢えて引っ込めて、この時にまとめてやろうって腹か。あいつの事だ、どうせこんな事も見えていたんだろう。まぁ、否定は出来ないみたいなので従うしかないのが(しゃく)だが。


「……じゃあ、その願いは?」

「えっと……大きくなったら結婚して!」

「血は……繋がってないから可能か。他の細々した事も含めても出来なくはないな。……何でもいいって言ってしまったし、まさか自分の言葉が返って来るとはな」

「じゃあ……」

「……良いよ。他には?」

「これから私はミィって呼んで。それとお兄ちゃんの全部を教えて」

「愛称は二人きりの時な」


 怒涛(どとう)の勢いで三つ目まで言い終えるとミーナは(うつむ)いて黙り込んでしまう。顔は見えないが、よく見ると耳や首は分かりやすいほどに真っ赤だ。そんなに恥ずかしいなら言わなきゃいいのに。

 決心がついたらしいミーナは顔を上げた。予想通り、林檎(りんご)みたいな顔をしている。


「あと二つ」

「えっとね……そのね……あの、その……えっと……毎日一回……その……き、キスして欲しいなって」

「……は?」


 え、何? 今、キスって言った? キスって魚の? そもそもキスは地球の魚でこの世界にはいないはずだし。きっと何かの聞き違いだろう。きから始まる何かと聞き違えたんだ。キャッ、みたいな。俺って相当疲れてたっぽいし。


「もう一度言ってくれ」

「え? …………キスして欲しいなって。パパとママが時々するお口とお口をくっつくけるの。ライラ―ナ様が言ってたの。最大の愛情を表すって」

「……そんな大事な事出来る訳ないだろ」

「何でも良いって言ったのに」

「それとこれとは別だ」

「……もう。そんなお兄ちゃんには私からするの!」

「んっ!?」


 何か言い返そうとしたらその口を塞がれた。口と口を合わせる正真正銘のキス。唇と唇を重ね――

 うん。混乱してるね。というか現在進行形で混乱中だよ。無理やりにでもこうしないと自分でもどうなるか分からない。たかがキス。たかが唇を重ね合わせるだけの行為なのに、ここまで動揺する意味が分からない。

 俺はまとまらない思考でミーナの行動を考える。そんな事をしても無駄なのは委細承知なのだが、そうでもしないと持たないのだ。主に心の方が。

 え? 何で冷静なんだって? 決まっているだろう。そうでもしないとどうにかなりそうなんだよ!


 時間にしてもほんの数秒。その間に幾重の思考が浮かび、消える。それを繰り返しながらもゆっくりとそれは離れる。

 実際にやった張本人は顔は赤いまま恥ずかしそうに、でも嬉しそうに頬に手を当ててくねくねしている。何かそれを見てると馬鹿らしく思えてきて、ベットに身体を預ける。それを見たミーナが倒れて来たので抱き寄せてあげれば最初は驚き、直ぐに(のど)を鳴らしながら甘えて来る。

 その時に最後のお願いも聞いたが保留と言ったので気にしない事にした。もう一眠りするかとした時、ミーナが何かを思い出したように飛び起きた。


「お兄ちゃんのステータスをちゃんと見せて!」

「何で?」

「お兄ちゃんの全部を知りたい言っていった!」


 駄々を()ねまくる我が妹様は何とも自由だねぇ。まぁ、でもあれからステータスはしっかり確認してないし丁度いいか。

 取り敢えず自分が一度確認すると許可を貰ってステータスを視る。やはりそのステータスは暴走していた。


【レイン 男 5歳

 レベル97 人族

 HP・91960/91960

 MP・112980/112980

 力・83080

 体力・164880

 防御・82100

 精神・99710

 敏捷・91710

 魔攻・92880

 魔防・92880

 <特殊技能>

 特質、偽造、精神強化(極)、剣神術、ステータス補正、鑑定(極)、調合、魔力最大量上昇、自然治癒、魔力回復増加、収納箱(ストレージボックス)

 <スキル>

 魔力操作、身体強化、無詠唱、体術、格闘術、観測、礼儀作法、緻密(ちみつ)操作、MP回復、HP回復、武器作成、魔道具作成、気配遮断、回避、狙撃、魔力弾、刀術、観察眼、二丁拳銃、気配感知、立体機動、天駆、不眠

 <魔法>

 生活魔法、水魔法、風魔法、光魔法、召喚魔法、氷魔法、回復魔法、雷魔法、嵐魔法、使役魔法、吹雪魔法、空間魔法、風雷魔法


<称号>

 忌避体質(神仕様)、転生者、神と邂逅(かいこう)せし者、孤児、上位属性取得者、合成属性取得者、変化属性取得者、魔物を従えし者、大量殺戮(さつりく)者、全てを見通す者、空に浮かぶ者、苦難を乗り越えし者、魔力を操りし者】


 もうね、ステータスの数値が十万近いって、人外クラスだと思うんだ。アルトラよりも高い。スキルも滅茶苦茶多いし、魔法も多い。称号も増えてるし。ぶっちゃけ、街一つくらいなら潰せると思う。というかフェスフォルトの街なら潰せるね。アルトラ倒しちゃったし。

 まぁ、このステータスを全部見せるのはちょっと不味いので何時もの様に偽造で幾つか見えなくする。そして、例の言葉を言ってミーナに見せる。


「わぁ。凄いステータスだね。流石お兄ちゃん!」


 前に一度見ている所為かあまり驚かない。寧ろ、嬉しいようだ。

 今回隠したのは特質、偽造、剣神術、鑑定(極)、狙撃、魔力弾、刀術、二丁拳銃、不眠、空間魔法だ。数値も弄ってるし、称号は俺しか見えないらしい。特殊技能はちょっと言えないし、スキルはこの世界でまだ定着していないだろうし、魔法はそもそも最初に適性が無いって確認しちゃったし。

 それでもこの喜び様、ミーナはお気に召したらしい。


 それから見てたんじゃないかというタイミングでリリィが入って来る。


「レイン様。領主様がお待ちです」

「了解」


 何故かミーナが腕を絡めながら付いて来て、三階に上がる。今の段階で婚約者は出来ないけどな。執務室で話すのかと思っていたら応接室にリリィが向かったので何だろう疑問に思う。

 王女様が頭に浮かんだが、直ぐに取り払う。流石にね、王族はもう王都に向かっているだろう。こんな事があったら余計にな。

 しかし、俺の願い叶わず、応接室にはアルグリードさんと前に会った王女様、それと一人の女性が待っていた。


「アルトハイム王国王妃ミリアナ・フォン・アルトハイムです。この度は街を救っていただいて、娘のラミリアを助けて頂きありがとうございます。つきましては、王都にて褒美を差し上げたいのですが一緒に来て貰えますか?」


 そう言って王妃様は王女様と同じ事を聞いて来る。

 王妃様は王女様と同じ髪に瞳の色で、髪を腰くらいまで伸ばしている。少しおっとりした顔からは何ともふんわりとした雰囲気を感じる。しかし、王女様と同じ様に瞳の奥は王族のそれでやはり王族なんだと再認識される。それと漏れなく美女だ。……ミーナと言い、アルグリードさんと言い、リーフェスさんと言い、王族と言い、この世界は基本的に美男美女なのか? スペックで場違い感が凄いんですけど!


「良いですよ。褒美はミーナと一緒ですよね?」

「勿論です。ラミリアを守っていただいたのですから当然ですよ」

「レイン、ミーナ。これから私は仕事に行かなきゃならない。くれぐれも粗相のないようにな」


 アルグリードさんは迷宮の暴走後でかなり忙しいのだろう、目の下に隈を作っている。俺は気付かれないくらいの威力で疲労回復の魔法を掛けて労う。疲労が取れたらしいアルグリードさんは一瞬目を見開くが、直ぐに優しく微笑み、部屋を出て行った。

 王妃様は俺を見て目を細め、光ったと思うと微笑み、元の表情に戻った。


「レイン君は魔力を扱うのが上手なのね」

「……まさか、先ほどのは何かそういうスキルとかですか?」

「あら。それに鋭い観察眼、ラミリアと同じ年とは思えないわ。その通り、私の特殊技能、魔眼の効果よ。魔力の流れを視る事が出来るの。さっきのは水魔法の疲労回復系ね?」

「……そんな事まで分かるのですか」

「長年の経験からよ。何となく分かるの」


 結構便利だな。流石は王妃様ってとこか。何とも良い技能をお持ちで。

 俺? 俺の特殊技能は基本チートだよ。それに便利よりも面倒な代物って言う面が強いね。本当、あの神たちをぶん殴りたい。

 自分の特殊技能を知られたのに驚きはないようで、それよりも面白そうに余計に笑みを深めるだけだ。王族ってこんなにも手強いのか。こんなのまともに話したくはないな。世の主人公たちは良く話せたこと。


「うふふ。私やラミリアの事は名前で呼んでいいのよ?」

「ご冗談を。そのような事をしたら不敬罪で捕まってしまいます」

「あらあら。意外と堅物ね。これはラミリアも難しそうよ」

「母様っ!」


 王女様の非難を受け流して逆に丸め込めている。流石は王妃。流石は母親。……取り敢えず、これ以上は探るのは止そう。起きてそう何度も疲れたくない。


「うぅ~」

「どーどー」

「……んみゅ」

「あら。これは手強い強敵ね」

「もうっ。母様っ」


 放置されたのが嫌だったのかミーナが唸り出す。撫でてやれば気持ちよさそうに目を細めてしなれかかる。その光景を見ると王妃様は愉しそうに王女様に言い、王女様は何か恨めしそうにミーナを見て王妃様に反論している。

 しかし、俺はここに来て王妃様や王女様を呼んだ事は無いはずなんだが。これも王妃様の技能かな。


「随分目聡い子ね。よく見てるわ。ご褒美に教えてあげちゃう。実はあと二つ持ってるの。それは心眼と未来視よ」


 そう言って俺とミーナにステータスを見せる。王女様は慌てて抗議しているが、やはり王妃様はひらひらと躱す。ミーナは興味が無いらしく、甘えながらご機嫌だ。

 王妃様のステータスは特殊技能以外は平均的だと思う。俺のステータスは既に化物級だし、他に参照例が少なすぎる。まぁ、そんな事はどうでも良く、確かに特殊技能には魔眼、心眼、未来視と書いてある。詳しく見ると魔眼は王妃様の言う通りに魔力の流れを視ると書いてあり、心眼は感情と真偽を見分けるとある。未来視は日に一度、未来を少し視る事が出来る。また、自分に危機が及ぶ事は大まかに何時頃なのか知らせてくれる。

 ……何とも便利な事で。


「これらの三つの特殊技能を持っている事から“全てを見通す者”なんて呼ばれたりもするのよ?」


 何その恥ずかしい二つ名! ……絶対呼ばれない様にしよう。ちょっと待て。確か称号に……ぐはっ。あれはここの伏線か!

 俺は心で吐血を吐き、王妃様と舌戦と言う名の戯れを続ける。つらい。王女様は王妃様に終始弄ばれ、ミーナは甘えられてかなりご機嫌だった。全体を客観的に見ると何とも混沌としたモノだっただろう。無言で佇んでいたリリィは相当だと思う。


 時々、休憩を挟みながら昼まで繰り返し、二人の王族はフェスフォルトの街を出て、王都に向かって行った。

 近々、王都で貴族の子供たちを見せ合う会があるらしく、アルグリードさんの発言権は却下され、俺達も出る事になった。アルグリードさんってかなりの実力者だったと思うんだけど、手も足も出て無かったな。そう言えば、リーフェスさんにも言い負かされていたな。ひょっとしてそう言うのに弱いとか……なんてね。


  ***


 昼からはアルグリードさんの指示で冒険者ギルドまで行き、今回の報酬を貰った。

 今回の街を救った事にギルドとして大金貨十枚を報酬とし頂く。言い忘れてたけど、この世界の通貨は異世界宜しく、紙幣ではなく貨幣だ。小さい物から銭貨、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨、白銀貨の九種類だ。大銅貨、大銀貨、大金貨は銅貨達の十枚分で、下の貨幣が百枚で次の貨幣の一枚になる。分かりやすく表記するとこうだ。ついでに日本円でも比較してみた。


 銭貨100枚=銅貨1枚

 銅貨10枚=大銅貨1枚

 銅貨100枚=銀貨1枚

 銀貨10枚=大銀貨1枚

 銀貨100枚=金貨1枚

 金貨10枚=大金貨1枚

 金貨100枚=白金貨1枚

 白金貨100枚=白銀貨1枚

 

 銭貨1枚=1円

 銅貨1枚=100円

 大銅貨1枚=1000円

 銀貨1枚=10000円

 大銀貨1枚=100000円

 金貨1枚=1000000円

 大金貨1枚=1000000円

 白金貨1枚=10000000円

 白銀貨1枚=1000000000円


 勿論例の如く、白金貨以上は国か大きな商売の時しか使われないので普通はお目に掛かれない。

 ちなみに大銀貨二枚で平民の家族が一ヶ月十分に生活できる額だ。貴族でも金貨一枚だ。それで今回貰った大金貨十枚は日本円で一千万だ。とんでもない額である。貰い過ぎかと思ったが、今回の戦闘で得た魔石の総額が普通に白金貨を超えるので問題はない、らしい。それに冒険者が揃って受け取って欲しいと言って来るので貰っておいた。金貨よりも一回り大きい十枚の大金貨を収納箱に仕舞う。

 その後、アルトラ達を買い取りたいとギルドが言って来たので、黒虎と銀獅子の牙、爪、毛皮、たてがみの一部とアルトラ以外は全部売った。二体の素材はこれから使えるし、アルトラは売りたくなかったのだ。だが、死蔵もアルトラに失礼なので武器とかにしていこうと思う。幸いにも調合で武器だろうが服だろうが材料さえあれば魔力で作れる。偶にチート技能が役立つので毎回こういう時は何とも言い難い気持ちになる。

 黒虎と銀獅子は魔石を含め、合計で大金貨三十一枚、金貨二百七十一枚、大銀貨二百三十六枚。報酬の三十倍以上だ。単純計算で平民で九百年以上、貴族でも四十年近く生活できる。これでどれだけ望外な額か分かるだろう。

 もしこれでアルトラまで売っていたら一体どうなっていたか……考えるだけでも恐ろしい。

 しかし、流石にこの大金はギルドでも直ぐに用意は出来ないので数日待つことになる。それでも報酬の大金貨十枚と金貨二十枚、大銀貨百枚はその場で貰えた。ミーナはどれくらいなのか分かっていなかったので何年暮らせるか教えると両手を上げて物凄い喜んでいた。本人曰く、それくらい俺が認められているのが嬉しいのだそうだ。


 午前は王族、午後は望外な報酬。もう精神的にヘトヘトな俺は部屋に戻るとベットに倒れ込んだ。折角、解放されたと思ったのに一日を通して連続で続くともう疲れた。ストレスがかなり溜まった。

 ベットの上で今日について色々呟いているとミーナが心配そうに見て来た。そんなミーナを抱き締めたり、撫でまわしたりすると不思議な事にストレスが消えていったので続けていると、最初は嬉しそうに叫んでいたミーナが借りてきた猫みたいに小さく、大人しくなっていた。


「大丈夫か?」

「……ふにゅう」


 顔を上げたミーナは蕩けきって、恍惚としていた。瞳は漫画であればハートマークが書かれていそうなくらいに熱を帯びて今にも襲って来そうだ。ちょっと五歳にしては感情表現が豊か過ぎると思う。と言うかやり過ぎた。


「もっとぉ~」

「……」


 両手を出してねだって来るミーナ。今度は優しくしてあげると顔をぐりぐり押し付けて何やら言っている。


「おにぃひゃぁ~んっ」


 もう一度俺の顔を視る。もう呂律が回っていない。頭を撫でるとより一層、蕩けた顔がさらに蕩けて首に顔を埋めて来る。


「失礼します。ミーナ様、レイン様。ごりょ……お邪魔ですね」

「ちょっと待ってリリィ!?」

「お楽しみの最中を邪魔してはいけないと思いまして」

「別にお楽しみじゃないけど!?」

「冗談です。早く済ませちゃって下さい」

「だから、違うって!!」


 リリィのあらぬ勘違いを正す。そして、付いて来たフェルナは心底羨ましそうにミーナを見ていた。フェルナ、見るとこ違うでしょ。

 リリィ達が来たのはアルグリードさんが呼んでいるから来いとの事だった。夕食までまだ少し時間があるし、問題は無い。だが、精神的な疲れがある以上、なるべく休みたいんだが。まぁ、アルグリードさんも寝ずに仕事をしてくれているので迷惑はあまり掛けたくないし、行くか。


 ミーナが物足りなさそうにしているが全力で無視だ。と言うか、結構やったと思うんだけど足りないのか。どんだけなんだよ。

 執務室に入るとイスに座ってリラックスしていたアルグリードさんの姿が目に入る。目の隈は健在で、かなり大変なんだなと思う。数時間前に疲労回復の魔法を掛けたんだが焼け石に水だったようだ。


「……おぅ。来たな。いきなりで済まないが三日後に王都に行くぞ」

「王女様の件ですか」

「その通りだ。二人共謁見されるそうだ。それと貴族の子供が出るパーティに出る事が決まった。今年はルートラス達だけだったんだがな……」

「あのお二人ですね」

「全くだ。俺もかなり忙しいんだが、あいつの家族の事は強く出れないからな。二人も頑張ってくれよ。それとレイン。フェスフォルト家内では周知の事実だ。あまり無茶はするなよ。一応外では今まで通りにするがな」

「分かりました。アルグリードさん」


 家の中限定だが皆知ってるし、問題も無いようだ。俺がこの家の子供じゃない事も。まだ、言って無い事はかなりあるんだがいいだろう。この中で一番知ってるのはミーナでも全部は教えてないし。


  ***


 それからあっと言う間に三日が過ぎ、王都に出発する日となった。アルグリードさん達も元々王都に用があったので一緒に行く事になる。行くメンバーは俺、ミーナ、アルグリードさん、リーフェスさん、リリィ、フェルナの六人だ。リリィはアルグリードさん達、フェルナは俺達の傍仕えとなる。

 あの王妃の事だ、何かしら考えているだろうが基本的に拒否してやる。特に爵位とかはまっぴらだ。態々自ら自由を制限なんてするつもりは無い。貰うとしたら報奨金くらいだな。将来の糧にしてやる。

 一抹の不安を持ちながらも王都に向かって進んでいく。





ちなみにアルトラを売った場合は白金貨八枚、大金貨六十四枚、金貨千百三十四枚です。いやぁ、凄い額だ。




これにて一章の本編は終わりです。お読みいただきありがとうございます。これからは一、二話ほど閑話を入れてから、二章に入ります。これからも応援よろしくお願いします。

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