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狐の万事屋  作者: zeillight(零狐)
20/34

依頼18件目「不穏な影」

「全く、また零狐は何かにまきこまれているのね。」

零狐が紅い零狐と戦っている時、丁度紅魔館では午後のティータイムだった。

レミリアは紅茶を静かに飲み、手紙を眺める。

その手紙は紅魔館に訪れた鷲によって運ばれた物だった。

「紅い目をした零狐…ね。まぁ心配せずとも、もうあっちで戦いは始まっている様だし。」

そうレミリアが呟いた時、テーブルにショートケーキが置かれた。白い生クリームがと苺が綺麗に並び、全体的に整っている。

ケーキを置いた人物は言う。

「加勢に行かなくて大丈夫でしょうか?相手は手強い筈かと。」

レミリアは少し心配した様子を見せる咲夜に小さく笑って応える。

「咲夜でも私以外を心配する事があるのね。」

「え?」

良く聞こえなかったとでも言うように聞き返す咲夜を他所にレミリアは咲夜の心配を解す言葉をかける。

「殺し合いなら紅い零狐に負けるかもしれない。でもそんなのが分かりきってる零狐がわざわざ殺し合いをすると思う?」

何かに気づいたのか咲夜の表情はほぐれる。

「弾幕ごっこなら相手は素人。同じ零狐とはいっても負けることはそうそう無いわ。」

咲夜は笑顔を見せて頭を下げる。

「そうですか。では私は仕事に…」

「ちょっと待って…咲夜。フランの様子は?」

レミリアがフランを気にかける様子を見せた。

別段それにおかしい所は無いのだ。

しかし、今の状況では重い話になってくる。

「…まだ安定してはいない様です。」

「……そう。」

レミリアは俯いた顔を上げ外に目をやる。

(何故あんな事に…あの時からにフランにいったい何が…。)


あれは処刑用魔導書から妖夢達を助けた日の夜の事だった。

レミリアはなんとも言えない胸騒ぎに目を覚ます。ふと頭を過ぎった妹の顔に胸がざわついた。

(フラン…?)

いてもたっても居られなくなり、フランの部屋にレミリアは走る。

異変以来フランの能力は安定してコントロールも効く様になった。

その為、フランの部屋を地下室から別に移し外に出ることも許したのだった。

もちろん時間制限はあるが。

「はぁっ…!はぁっ…!」

完全に安心し切っていた。

(なんなの。この胸騒ぎは…!)

フランの部屋から風切り音の様な音が聞こえる。

次の瞬間。

「きゃあぁぁぁぁぁ!」

フランの悲鳴が中からはっきり聞こえる。

只事では無いと感じてレミリアは更に足を早めフランの部屋に向かう。

窓から入る月明かりが妙に不気味だった。

フランの部屋に着き扉を激しく叩き、思い切り開ける。

「フラン!!」

そこにはベッドの横に伏せているフランがいた。

意識はあり入ってきたレミリアを見つめ驚いた表情を見せた。顔には汗が滲んでいる。

レミリアも走ってきた為、汗をかいていて窓から入る風が冷たくて少し心地よかった。

「…何してるの?フラン。」

フランは、少ししどろもどろになり、伏せたまま質問に答える。

「あー…えっと。ちょっと…ベッドから。そう!ベッドから落ちちゃって!起こしちゃってごめんね…もう大丈夫だから!」

レミリアは溜息をつき胸を撫で下ろす。

フランは伏せた状態から上半身を起こし、床に座っている体制になった。

一瞬、フランの伏せている下から何かがベッドの下に移動した様に見えたが気には留めなかった。

レミリアはフランに歩み寄りその体を抱きしめる。頭を撫でると体をレミリアに任せた。

「あんまり驚かせないでね。心配するでしょ?」

「うん…。ごめんねお姉さま。」

その後に美鈴や咲夜、パチュリーまでもがフランの部屋に走ってやって来た。

レミリアは落ち着かせて事情を話した。


その夜は何も起きなかった。

そう。その夜は。


それからというものだ。

フランが夜に誰かと話す様になったのは。

『何か』と話している時に部屋に入っても、フランが1人でいるだけで何もいない。

話は止むが「どうしたの?お姉様。」とレミリアにフランに問われるだけ。

誰と話しているのかは問い詰めても答えない。

丁度、零狐が竹林を出て妖怪の山を目指す日の前日だろうか。

フランの能力が安定しなくなり、狂ったように周りの物を壊し始めた。

咲夜とレミリアの2人でやっとの事でフランを止めまた地下室に閉じ込めたのだ。

何かに取り憑かれたかの様にただひたすらある言葉をフランは繰り返していた。


そう。ある言葉を。


「こわしてやる。全部こわしてやる。」


いつにも増して紅がかかったその目で通りかかる人物全てを見つめて言うのだ。



(どうして…あんな風になってしまったの?)

レミリアは手紙に目を落とし溜息をつく。

しかしある事に気づいた。

『フラン』と『紅い零狐』のある共通点に。

レミリアは椅子から勢い良く立ち上がる。

「咲夜ッ!!!」

そうレミリアが叫ぶと、一瞬で目の前に咲夜が現れる。咲夜は普通ではない剣幕に驚いていた。

「どうされましたか!?」

レミリアは日傘を手に持ちテラスの柵に立つ。

「出かけるわ。準備を。」

「…はい。かしこまりました。」

レミリアは柵から庭に飛び、降り立つ。

咲夜もそれに続き、紅魔館の正門を開ける。

重く開けられた扉の向こうには湖が広がっている。その先に見えるのは魔法の森。

「話を聞きに行くわよ。フランがああなった事に関係ある重要人物にね。」

「誰…でしょうか?」

レミリアは咲夜に振り向き、質問に答える。

「決まっているじゃない。」

少し息を吸い、その名を口にする。


「紅目をした狐よ。」


続く


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