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宝石少女奇譚  作者: 香山 結月
第1章
3/59

02 翠

 時間は少し遡る。

 その時、一人の女子高生は呆然と立ち尽くしていた。

 女子高生、少女の頭の中に浮かぶのはクエスチョンマークばかり。 

 羽織っているのはお気に入りの桜色のカーディガン。着ているのは通っている高校のセーラー服。とりあえず、カーディガンに腕を通す。季節は夏だけれど、何となく肌寒い。

「ここはどこでしょうか?」

 声に出してから、首を傾げる。

 目の前にあるのは、校門。中学校の名前が書いてあることから、間違いなく中学校。

 それでも不思議なことに、先程まで自分がいた場所ではないのは確実だ。

「確か――」

 先程までいた場所を思い出そうとする。

「学校には行きましたし、バイトは休みでした。いつものように兄の勤める病院に遊びに行こうと思って、それで…」

 思い出せたことはそこまで。それ以上のことがどうしても思い出せない。

 どうしてだろうか。なぜ、知らない場所にいるのだろうかと頭は混乱し始める。頭に両手を当てて、考え始める少女は校門の隅で挙動不審。

 少女、セーラー服を着ている女子高生。

 真っ白なセーラー服の襟とスカートは濃いグレー。スカーフは深い緑色。

 少女の見た目は少し幼い。前髪はギリギリ眉が隠れる程度の長さ。長く伸びた髪の毛を二つに結び、真っ白なリボンを付けている。少女の兄があまりにも可愛いと言い褒めるので、変えられなくなった髪型。

「うう、おかしいですぅ」

 何か、大切なことを忘れている気がするのに思い出せない。

 考え込み過ぎて、中学校のチャイムが鳴ったことにも気が付かない少女は、端っこで蹲り膝を抱えた。

 校門の端で、塀に向くように座り込んだせいで、後ろではちらほらと生徒が下校し始めていることにすら気が付かない。

「確かに病院には向かったはずです。そもそも、ここは――」

 独り言をブツブツと呟く様子はまるで不審者。通り過ぎる生徒からは、不審そうな目で見られている。

 そんな生徒の中で、一人の女の子だけが先程から怪しい少女に、迷うことなく向かう。校舎から出てきたばかりで、紺のブレザー姿に膝より少しだけ短くしたスカート。

 優しく少女の肩を叩いた。

「あの、どうかしましたか?」

 蹲っていた少女は、ビクッと身体を震わせ恐る恐る振り返る。

 見上げた少女の瞳に映った、小柄な中学生。右目の下にはほくろ。誰かに似ていると思ったのに、それ以上思い出せない。

「具合でも悪いんですか?」

 あまりにも少女が目を放さないので、その中学生は優しく尋ねる。

 何を言われているのか。自分に言われているのだと理解するのに時間が掛かる。

「え?」

「こんな場所に蹲って、顔が真っ青です。それに、首から流れている血も気になりますし…」

 中学生の視線が、少女の首元に移る。

 どうして指摘されるまで気が付かなかったのか。そっと、首へ持って行った右手が傷口に触れて痛い、赤い血が手に付く。

 今まで痛さを全く認識していなかった。

「…どうしましょう?」

「とりあえず、保健室に行きませんか?」

 中学生の提案に頷いていいのか迷う。その迷いを感じた中学生が、少女の腕を引っ張って立ち上がらせる。

「行きましょう。怪我は早く見てもらった方がいいです」

「え、え?」

 戸惑う少女を無理やり引きずり出せば、他の生徒は自然と道を空けてくれる。

 ある生徒は不思議そうに、またある生徒は驚きの表情で、中学生に連れて行かれる少女を見送った。


 学校内に入るなり、玄関のすぐ傍にある保健室と書かれた部屋に連れ込まれた少女。

 そこに着くなりソファに座らされて、熱があるかもしれないと騒ぐ中学生に体温計を手渡された。

 それからぼんやりとした頭で、目の前で繰り広げられる中学生と女性の先生の会話を聞くことに専念する。

「苺さん。何度目ですか…」

「でも、先生。動物はダメって言いましたけど、具合の悪い人なら仕方がないと思いませんか?」

「そういう問題じゃなくてね」

 ため息を吐き出す先生に、中学生は悪気もない様子で言う。

「怪我をしていたし、顔色もすっごく悪かったんです。早く見てあげてください。見ているこっちが痛そうなんです」

 中学生にそこまで言われて、先生は少女の傷を診る。

 血は固まり始めているけれど、鋭利な刃物で切られたような傷に、先生は眉をひそめていた。少女は全く気にしない。そもそも、どうして怪我をしたのか分からない。

 消毒をし終え少女の怪我に大きな絆創膏を貼った先生が、少女に尋ねる。

「貴方、名前は?」

「あ、えっと。のぞみと言います」

 慌てて立ち上がり、お辞儀をしようとした少女、希。

「動いちゃ駄目よ」

 すぐに肩を掴まれ座らさた先生が言う。とても呆れられた顔をされたので、申し訳なくなっていると、ソファの横に置いてあった椅子に座った中学生が訊ねる。

「何年生ですか?少し、年上に見えたんですけど」

「この春、高校二年になりました」

 陽だまりのような笑顔で、希は笑いかける。中学生から感嘆の声が漏れる。

「すっごく可愛い人ですよね。足も細いし、顔も小っちゃい。モデルさんですか?」

「そんな、可愛くないです!普通ですし、モデルなんて出来るはずがありません!」

 これでもかと言うほど必死に否定する。顔を真っ赤にした希に、中学生は笑顔になりながら話し出す。

 先生が、そっとその場を離れる。

「私は、苺って言います。お姉ちゃんがいるんですけど、お姉ちゃんと同い年なんですね。お姉ちゃんに見習って欲しいな、希さんみたいな可愛さを」

 中学生、苺はそう言って腕を組んだ。一人で納得するように、頷く。

 あまりに可愛いと言われると恥ずかしくなって、希は顔を伏せがちになりながら苺に尋ねる。

「可愛くないです。その、どんなお姉さんなのですか?」

「そうですね…」

 少し考えて、それから一気に話し出す。

「すごい写真オタクで、食い意地がはっていて、頭が良くないお姉ちゃんです。私と顔はあまり似てないんですけど、きちんとすれば本当はそこそこ綺麗なんですよ。面倒くさがりだから、そういうのには興味ないみたいですけど――」

 止まることなく続く言葉に、苺がどれだけそのお姉ちゃんを好きなのか伝わる。楽しそうに話す苺の話を微笑みながら聞く。

「お姉ちゃんにおしゃれしないのって聞いたら、『おしゃれする暇あったら、写真を撮りたい』なんて言ったんですよ。信じられます?」

 年頃の乙女が、小さく呟いた苺の言葉に希は笑ってしまう。妹にそこまで言われる姉、希には兄しかいないので、姉というものがよく分からないけれど、とても仲の良い姉妹のようである。

 ピピ、と話を中断するように体温計が鳴った。

 自分で確かめれば、平温。特に熱はない。

 怪我を治療してもらったし、苺と話をしたおかげで元気になれた気がする。希は立ち上がると、真っ直ぐに先生の机に体温計を持って行った。

「ありがとうございました。何か、お礼が出来たらよかったのですが…」

「いいのよ。気にしなくて。それより、家はどこなの?一人で帰れる?」

「駅を教えてもらってもいいですか?そうしたら、鞄の中にお金がありますし」

 そこまで言って、あれと言葉が止まる。鞄の中にお金、財布は入れていたはずだけれど鞄を持っていた記憶がない。

 苺の方に向き直り、首を傾げながら確認してみる。

「あの、苺さん。私って鞄を持ってしましたっけ?」

 未だ座ったまま、希と先生の会話を見守っていた苺。少し驚いて、首を振る。

「私は見てないですよ?」

 苺の回答に、希の顔が一瞬で固まる。

 帰るお金がない。ポケットに入っているのは、家の鍵だけ。それ以外のものは基本的には鞄に詰めてある。

 その鞄がないという事実。非常に困った事態であることは間違いない。

「希さん?」

 真っ青な顔になった希の表情が固まってしまったので、苺は不思議そうにその名前を呼ぶ。希の頭はショート寸前。一瞬で頭の中は真っ白になった。

 こういう場合、交番にでも行くべきなのだろうか。

 それくらいしか思い浮かばない希が、口を開こうとした瞬間だった。


「あの―『うわぁああああ!!!』」

 希の声を掻き消す、誰かの叫び声。

 何事かと思ったのは、希だけではない。不安そうな苺の顔、いち早く動いたのは先生だった。

「何が起きたのか見てくるわ。貴方達はここにいなさい」

 声のした方へ、先生はすぐさま向かう。保健室からいなくなる。

 残された希の傍に、不安そうな苺が希に駆け寄る。

「何かあったのでしょうか?」

「…分かりません」

 異常事態、そうでないことを祈る。けれども保健室の外からは騒がしいほどの叫び声。校舎が大きく揺れた。

「きゃぁああ!」

 思わず叫んだのは、その揺れで花瓶が割れたから。沢山の悲鳴が聞こえて来て、苺は身体を震わせた。

『アオォォォォオオオン』

 生き物の声だと、耳を紡ぎたくなる声に希は鳥肌が立った。

 心臓が五月蠅いくらいの速さで動く、それを止めることは出来ない。

「苺さん、ここにいては危険です。避難しましょう!」

 腰が抜けた苺は、恐怖のあまりに足の力が入らない。希はもう一度名前を呼ぶ。

「苺さん!」

「ご、ごめんなさい。あ、足に…」

 力が入らない。そう言い終わる前に、保健室の窓が割れた。何かが窓ガラスを割って、壁に叩きつけられる。

 嫌な、音。

 咄嗟に腰を落とした希。苺の頭を抱え込んで、その光景から目が離せなくなる。


 人が、死んでいる。


 頭から血を流し、手足は変な方向に曲がっていた。生徒じゃない、大人。軍人のような格好。

 生きては、いない。

 動かない。

 目の前で繰り広げられた光景に、気分が悪くなりそうだ。血の匂いを嗅がないように、口で息をする。

「苺さん、決して振り返らないでください」

 涙目の苺が恐る恐る頷いてから、少しだけ抱きしめていた力を緩める。

 予想以上に低く、落ち着いた声が出た。目の前の光景を苺はまだ見ていない。見せたくない、こんな光景を見るべきじゃない。

 ポケットからハンカチを取り出し、苺の口元に当てる。苺も血の匂いに気付いたかもしれない。それでも視界にその光景が映る前に、苺と一緒に早くこの部屋から出たい。

 今にも泣きだしそうな苺、反対にしっかりしなければいけないと希は唇を噛みしめた。安心させるように苺に微笑む。

「苺さん、ゆっくりで構いません。動けますか?」

「…うん」

 小さく頷いた苺。一緒に立ち上がろうとする。

『アオォォォォオオオン!!』

 また聞こえた鳴き声。さっきより鮮明に聞こえたのは、割れた窓ガラスから外と繋がったせいだ。寄りかかるようにして立ち上がった苺は、希の服を強く掴む。

 壊れた窓ガラス、壁から外の様子が気になった。

 震えている苺の手をしっかりと握り、希は顔だけを窓の外に向けた。瞳に映った光景に息を呑んだ希の様子を、顔を伏せていた苺は知らない。

 希の瞳に映ったのは、校門付近で暴れる大きな獣、獅子と真っ黒な空。

 獅子のようだと思ったのは、その姿が神社で見かける姿のように見えたから。直感的に、獅子だと思った。

 大きくて、全体的に黒くて、鋭い牙で暴れるその姿。

 軍人と思しき人影が、獅子に向かって攻撃をしている。

 それだけじゃない。その近くで倒れている、生徒の姿。軍人の姿。辺りは血で溢れ、壊された校門。獅子は怒り狂うように、鋭い牙で建物を、人を喰らう。

 地獄絵だと、希は思った。

『ガッシャーン』

 校舎の中から聞こえた窓ガラスが割れる音。また、人が飛ばされたのかもしれない。死んだのかもしれないと思うと、心が痛い。

『…ご、苺いるの!!!』

 誰かの、少女の声が聞こえた。苺、その名前に振り返れば、耐え切れなくなった苺の瞳から涙が零れていた。

「お、ねえちゃん…?」

 泣きそうな苺が言った言葉。

『君、今どこから来たの!』

『そんなことより、今は妹を探しているの!苺!!どこ!!』

 苺を探している人に、その姉である人物に早く会わせてあげたい一心で、希は苺の肩を支えながら廊下に向かってゆっくり歩き出す。

 歩くときに、先程の人を見せないように。さりげなく気をつけて、二人は廊下に出た。


 廊下に出て、少しだけ歩いた。廊下の奥から自転車を走らせていた一人の少女、柘榴。

 一目見て、似ていると感じた。雰囲気が、姉妹そっくりだった。苺の姿を確認すると、乗っていた自転車を乗り捨てる。

「おねえ!」

 苺は一目散に駆け出した。

「苺!」

 全身傷だらけ、血が流れている姿が痛々しい柘榴。苺の姿を見た途端に、安心した顔になって抱きついた苺を抱きしめ返した。

「うわーん。おねえぇえ」

「よしよし、もう大丈夫だ」

 苺の頭を撫でる手は優しい。家族の登場で気持ちに緩んだ苺の涙は止まらない。二人で座り込み、希の入り込めない空間になる。

「なんでぇ、血だらけなのよぉ」

「あ、それは思わず窓ガラスを割って、中学校にチャリで乗り込んだせいかな」

 泣き声の苺にあっさり答えた柘榴の回答。

 予想外過ぎる答えに、苺と希は目を見開く。すぐ傍で会話を聞いていた希は、信じられなくてポカンと口を開けそうになった。

「っで、でも。無事でよかったよぉ」

「だね。いやー、よいこは真似しちゃ駄目だね」

 笑っている柘榴だけれど、とんでもないことをした自覚はない様子。苺も大して気にしていない。姉妹の再会する姿を見て、希は正直羨ましい気持ちになる。

 兄に会いたい。それが、今の希の願い。

 ようやく涙が止まった苺が、傍で見守っていた希の方を振り返って微笑んだ。

「希さんがね、助けてくれたの」

「希さん?」

 苺の紹介に、首を傾げた柘榴と目が合う。

「…え?」

 不思議そうな顔でジッと見つめられて、希も見つめ返してしまう。

 どこかで出会ったことがあったのだろうか。

 何度も瞬きを繰り返して黙った柘榴に、今度は苺が不思議そうに声を掛ける。

「おねえ、どうかした?」

「あ、ううん。何でもない。その、苺を助けてくれてありがとうございました」

 慌てて頭を下げる柘榴に、希は必死に言い返す。

「頭上げてください!えっと…柘榴さん、でよろしかったですか?」

「あ、うん。苺の姉の、柘榴です。えっと…年近い?」

「あ、高校二年生です」

「あ、同い年じゃん」

 和やかな会話を始めた柘榴と希。を、横で見ていた苺は思わず一言。

「悠長に会話していていいの?」

「「…」」

 苺の言葉で希も柘榴もそれ以上何も言えなくなった。

「早くここから避難しましょうか」

「そうだね」

 希の提案に、柘榴も頷く。

 移動しようとした途端に、校舎全体が大きく揺れた。

「「きゃぁああ!」」「うわぁああ!」

 揺れ、だけじゃない。校舎の崩れる音。そして、何かが近づいて来る音。

 咄嗟に柘榴は苺を守るようにしながら、この場から離れようとする。

「希ちゃん、とりあえず一緒に――」

 柘榴の言葉が最後まで続かず、響いた声。

「アオォォォォオオオン!!!」

 柘榴と苺、そして希の間に割り込むように現れた黒い塊。校門のところにいたはずの獅子は、希をその黒い瞳で捕らえていた。

 どうして、なんてことは分からない。獅子は、何度も咆哮する。

 間近で聞くと五月蠅いなんてものじゃない。鼓膜が砕けそうな声、耳を塞いで目を閉じてしまえば何も見えないのに、その存在感だけをはっきりと感じた。

「希さん!」

 苺の呼び声で、ハッと顔を上げた。巨大な獅子は希を見下ろして片手を上に上げていた。

 怖くて逃げられない。

 獅子の後ろで柘榴は苺を守るように立ち、動けなくなっていた希に叫ぶ。

「早く逃げて!」

 柘榴の言う通り、逃げたいのに足に力が入らない。

 怖くない、そんなはずない。

 死ぬほど怖い。

 動けない、それでも目を離せない。

 声が出ない。

 獅子が一歩、希に近づこうとしたのと柘榴が叫んだのは同時だった。

「グラナート!!!」

 力の限り叫んだ柘榴の声が廊下に響く。その声に反応して、現れたのは真っ赤な光と日本刀。腰を抜かした苺を置いて、柘榴は一気に踏み出した。

「伏せて!!!」

 巨大な獅子に向かって真横一直線に斬りかかる。腕で頭を抱え込みながら伏せる。

 柘榴の攻撃よりも先に、獅子は危険を感じて校舎の外に逃げ出した。逃げた獅子を挟み撃ちのように現れた、小さな少女。

 その手に持っていた、青い剣で容赦なく獅子の目に剣を突き刺す。

『グギャァアアアア!!!』

 心なしか、弱弱しい鳴き声。少女は剣を抜き、もう片目も潰しに掛かるが、その前に獅子は大きく横に飛躍した。獅子がいなくなっても、希に立ち上がる気力はない。

「ごめんね、希ちゃん。もう少し、苺のことお願い」

 柘榴はそれだけ言い残し、校舎の外へと飛び出した。

「おねえ!」

「ま、待ってください!」

 希と苺の静止の声なんて聞かずに、決意を秘めた柘榴の横顔を希は見た。

 逃げなければいけない。それでもこの結末を希は知りたくて、希は柘榴の背中を目で追った。苺がゆっくりと希の傍にやって来て隣に座ると、同じように柘榴を見つめていた。

 心配そうな表情を浮かべた苺の視線は、姉である柘榴から離れない。

 校門を出る直前に獅子の左にいた少女、それから追いついて右から攻撃を仕掛けようとする柘榴。


 その瞬間だった。


 獅子が方向転換し、その足に力を入れる。二人無視して、校舎に突進してくる。

「きゃぁあ!」

 怖くて叫んだ苺の声を、まるで現実味のないような感覚で希は聞いていた。

 止まることなく、迷うことなく獅子が狙うのは希と苺のいる場所。希にしがみついた苺とは違って、希はその瞳から目が離せなかった。

 獅子の黒い瞳、宝石のような瞳。その奥に見えた気がした、乳白色の光。それと似たような光を、どこかで見た気がする。


 どうして?

 いつ?

 どこで?


 それすら思い出せない。記憶が抜け落ちている。大切な何かを、忘れている。

「逃げて!苺、希ちゃん!」

「逃げなさい!」

 柘榴と少女の声が重なる。

 身体は動いてくれそうもない。その場から、一歩も動ける気がしなかった。獅子が突進しながら希の目の前で手を上げて、鋭い爪が希を切り裂く前。

 それは、ほんの一瞬の出来事。

「助けて…」

 かすれるような声が、希の口から小さく零れた。

 それは誰に言ったのか分からない。いつも希を守ってくれた兄だったかもしれないし、存在するかも分からない神様だったかもしれない。

 それでも、希は祈った。

 助けて――――



 希と苺を目掛けて、獅子の爪が切り裂くその前に。柘榴に出来たことは、足を動かして、一歩でも近くに行くこと。

 苺と希を助けたくて、柚のように失いたくなくて手を伸ばす。

 このままでは夢が現実になる。

 その手が届かないことなど、百も承知だった。それでも失いたくなかった。

「逃げてぇええ!!!」

 柘榴は叫ぶ。

 腹の底から、これでもかと言うほどの声で。

 苺を守るように抱きしめる希の唇が動く。何かを呟いた。

 その途端に柘榴の瞳に映ったのは、この場にそぐわない緑の光が集まる光景。

 柘榴が夢の中でドラゴンと出会った時の光景に、よく似ている。

 希と苺、そして獅子の間に現れた綺麗な緑の光の美しさに速度が落ちる。

 その光は、あっという間に大きくなり辺りを照らす。走っていた足はゆっくりと速度を落とし、数メートル先で立ち止まって、その光景に魅入る。

 その光を中心に、風が吹き荒れる。

 希と苺には優しいそよ風を、獅子には台風の如き突風を。獅子の巨大な体を、意図もたやすく吹き飛ばした。



「何が…?」

 安心していいのか、どんな事態なのか理解出来ない希はそれしか言えなかった。

 獅子に切り裂かれると思っていた。

 死んでしまうのだと思っていた。

 それなのに、突如現れた緑の光は風を吹き荒らし、希と苺を守ってくれた。

 吹き飛ばされた獅子が近づこうとしても、決して近寄ることの出来ない風。緑の光の粒は風に紛れ、優しく希の頬を撫でた。

【生き…ろ】

 心に直接響いた声に、希は胸が苦しくなるような感覚を覚える。

 兄の、声に似ている。優しい声、それなのに悲しい気持ちにもなるのは何故なのか。今の希には分からない。

 だって思い出せない。

 どうしてこんな場所にいるのか。分からない。

 今はまだ泣くまいと、唇を噛みしめた。


 もう一度、希と苺を襲おうとした獅子は周りが見えていなかったに違いない。

「終わりよ」

 凛とした少女の声と共に、その頭上から真っ直ぐに剣が振り落とされた。

 真っ二つに切り裂かれた獅子の身体が、蒸発していくかのように消えていく。

獅子の姿が消えてくのと同じように、風と緑の光も消えてしまった。獅子がいた場所に残っていたのは、綺麗な宝石の塊だった。

 役目を終えた、そう感じるほど一瞬で消えた、希を守った光。

「苺!希ちゃん、怪我はない!」

 大慌ての柘榴が駆け寄ってきて、まずは苺の様子を伺う。希から離れた苺、柘榴に抱き付いて泣き喚く姿。

 二人を他所に、希の視線は少女に移る。剣を握ったままの少女は、ゆっくりと希に近づいて来た。

 警戒する柘榴は苺を背にし、希は少女と目が合った。唇を噛みしめて、耐えるような表情の少女は、ゆっくりとはっきりと言う。

「一緒に来てもらうわよ」

「…え」

 少女の左手が、無理やり希の右腕を強く掴む。その痛さに顔をしかめる。決して力を弱めてくれることはない。

「ちょっと、嫌がっているじゃん!」

 希に駆け寄った柘榴がもう一方の左腕を掴むので、希は動けなくなる。連れて行かせない、とばかりに柘榴と少女の睨み合いが始まる。

「何するのよ!貴方も一緒に行くのよ!」

「嫌、行かない。行かせないんだから!」

「言うことを聞きなさい!」

 柘榴も少女もどちらも引く気がない。間に挟まれた希は、どうすればいいのか分からずに、両者の間で出来るだけ身体を小さく丸めた。

 睨み合いから、少女の右手。剣が動くと柘榴の首筋に当たる。

 誰もが息を呑んだ中、少女は言う。

「命令よ、一緒に来なさい」

 有無を言わせない空気の中、柘榴は意を決したように口を開いた。

「嫌、行かない。希ちゃんの手を離して」

 剣が当たっている首筋はすでに血が流れた痕が、薄く切られた痕があった。怯むことなく、柘榴は意志を変えることはない真っ直ぐな瞳で、少女を見つめる。

 このままではいけない。

 少女に連れて行かれるのは嫌。

「離して、ください」

 かすれた声。柘榴の視線が、希に移る。少女の睨む視線が、希に移される。

 怖い、と思うが一度言った言葉を取り消せない。

「…離して、ください!」

 最後は叫ぶように、希の声が響く。その瞬間、希の身体が緑色の光を発し始める。

 希だけではない。希を掴んでいた柘榴も、それから少しだけ離れた場所で今までの一部始終を見ていた苺も、緑の光が包む。

「な、何!」

 離さないように、希の腕を強く掴んだはずの少女。

 その腕の感触が消えていく。

 まるで風のように。

 掴んでいた腕は宙を切り、瞬きをした瞬間には少女の傍には誰もいなくなった。

 残された少女は呆然と、目の前で起こった出来事に言葉を失った。



 「ここは、どこでしょうか?」

 気が付くと知らない場所にいた。まるで中学校に来た時のような、デジャブ。

 違うことと言えば、希の他にあと二人。希の腕を掴んだままの柘榴と、すぐ傍に座り込んでいる苺がいること。希だけでなく、柘榴も苺も驚いていた。

「…神社、だ」

 そっと希の腕を離した柘榴の視線は、希の後ろ。振り返った希にも、見えた。

 壊れた社と鳥居。

「おねえ、これからどうする?」

 巨大な獅子に襲われて、少女に連れて行かれそうになって、結局いるのは知らない場所。希はどうしようも出来ないまま、柘榴と苺の様子を伺う。

「家に、帰ろうか」

 疲れた表情の柘榴が、ポツリと呟く。

 その言葉に苺は何も言わずに頷いた。それから、希の方を見つめる。

「希さん、お家は近いですか?」

「…えっと」

 近いか、と問われると、自分がどこにいるのかさえ未だに理解していない。回答に困った希に、柘榴が笑いかけた。

「それなら、うちに行こう。休憩した方がいいし、お互いよく分からないことばかりだからさ」

 柘榴の提案は正直有難い。帰れない状況に、出来ることなら電話だけでも借りたいと思っていたところだった。それぐらいしか、名案が浮かばない。

「…迷惑、じゃないですか?」

 不安そうな表情で問いかけた希に、柘榴と苺は顔を合わせ、それからにっこりと笑って言った。

「「全然」」

 見事なほど、綺麗に声は重なった。

 希は好意に甘えることにして、ようやく少しだけ笑うことが出来た。


 誰もが疲れていて、黙ったままの状態で、神社から柘榴の家に向かった。

「おねえ、希さんに服貸してあげて。身長同じくらいでしょ?」

「了解」

 話しながら柘榴が玄関のドアを開けた。その途端に今にも泣き出しそうな顔をした女性、柘榴の母親が玄関に現れた。

「柘榴、苺!無事だったのね!」

 一歩引いて逃げようとした柘榴を逃がさずに、苺と一緒に抱きしめる。

 その後ろで驚いている希には気が付かずに、母親は柘榴と苺の顔をよく見ては、よかった、と何度も呟く。

「お母さん、ちょっと恥ずかしいんだけどぉ」

 抱きしめられていた柘榴が思わず言ったのは、後ろで立たせたままの希を思い出したせいである。

 いつの間にか近くに来ていた老人、柘榴の祖父は安心したような笑みを浮かべてから、希と目が合う。

「そちらの、お嬢さんは?」

「希さん、て言うの。お母さん、本当にそろそろ離して」

 苺の説得により、しぶしぶ離れた母親。柘榴は一目散に下がり、希の横に来る。

「私を助けてくれたの。それで、着替えさせてあげたいんだけど…」

「そうなの!詳しい話はあとね、まずは全員着替えない。上がって、上がって」

 躊躇した希の背中を柘榴が優しく押す。

「着替えよう、まずは私の部屋に来て」

「は、はい」

 柘榴に導かれて二階に向かう。母親は急いでその場からいなくなり、祖父の方も玄関脇の部屋に姿を消した。


 部屋に着くなり、柘榴がクローゼットから何枚もの服を取り出す。

「ちょっと、待ってね。どの服がいいかな」

「何でもいいですよ?」

「いやいや、そういうわけにはいかないでしょ」

 悩みだしながら、服を探す柘榴。ドアの傍から離れられずに、希は立ち尽くしたままその様子をみていた。

 服を探し始める柘榴はなんだか楽しそうに見えた。奥からジャージを取り出し、柘榴はそれを手渡しながら言う。

「改めて、柘榴です。同じく高校二年生。だから、敬語もなしでいいよ?」

「あ、敬語はくせなのです。希と言います。助けてくださって、本当にありがとうございました」

 勢いよく頭を下げた希に、柘榴は首を横に振る。

「助けられたのはこっちだよ。苺のこと、助けてくれてありがとう」

 希が顔を上げた先で、笑顔の柘榴。

「お風呂湧いたわよ!誰でもいいから、順番に入りなさい!」

 下の階から聞こえた母親の声に、目が合う。

「とりあえず、着替えを持って下に行こう」

「でも、私は着替えるだけで――」

「いいから、いいから」

 無理やり柘榴に手を引かれ、希は転ばないように必死に階段を降りるしかなかった。


 結局。希は一番にお風呂に入るように言われ、断れなかった。

 お客様だから、そう言って柘榴と苺に言い寄られ風呂場に真っ先に連れて行かれた。

 柘榴か苺が次に入るだろうから、ゆっくりはしてはいけないと思いつつもお湯の中に入ると気持ちがいい。所々身体が痛い。

 大きな怪我をしたわけはない。いつ出来たのかも分からない、小さなかすり傷が数か所あった。怪我なんて、気にしている暇はなかったと今更ながら思う。

 お湯に浸かりながら、先程までの出来事を思い出す。

 真っ黒で巨大な獅子。壊された校舎、倒れた人々。死人も多数出た。少なくとも、目の前で亡くなってしまった人は目撃してしまった。

 その光景を当分は忘れられないだろう。

 目の前で誰かの死、と言うのを見たのはこれで二度目。一度目は交通事故で両親を亡くした時の、死。

 後部座席に乗っていた希と兄の歩望あゆむだけが助かった。

 今では両親が生きていた頃の記憶を笑って思い出せる。

 そして、その経験から言えること。

 死は、絶対。死んだ人が生き返ることは決してない。残された人は生きるしかない。前を向いて、歩き続けるしかない。

 それでもやっぱり悲しみは生まれる。

 希の目の前で死んだ人は知らない人でも、目の前で誰かが死ぬところを見たくなかった。何も出来なかった。後悔の涙が、希の頬を静かに伝った。


 少し泣いてから湯船から上がり、柘榴から借りることになったジャージを着る。体格が似ているからか、大きさは丁度いい。

「お風呂、ありがとうございました」

 テレビ見ながら椅子に座っていた柘榴と苺は、希の声で同時に振り返る。

「あ、希ちゃん。座って休みなよ。ほら、苺、早く入って」

「えー、やっぱり私が先なのぉ」

 文句を言いながらも、しぶしぶ立ち上がった苺は、希と入れ替わるように風呂場へ向かう。柘榴は空いた苺の席を指しながら、もう一度言う。

「ほら、座って。座って」

 テーブルの上には夕食が並べられ始めていて、座っていいのか戸惑う。

 座らない限り柘榴に同じことを何度も言われそうなので、申し訳ない気持ちになりながらも座ることにした。柘榴の祖父は何も言わずにテレビに集中している。

「ちょっと、待っていてね。今、お茶でも持ってくるから」

「いえ、そんな」

「いいから、いいから」

 断ろうとした希の声を聞くわけもなく、椅子から立ち上がって近くの台所に向かう柘榴。母親は夕食の支度をしながら、希と目が合うと笑いかける。

 恥ずかしくなって、深く椅子に座り直しテレビに集中することにする。

 テレビの画面に映し出されているのは天気予報。

 全国的に明日も晴れ模様。

 そして、画面が切り替わる。

『それでは、次のニュースです』

 テレビ画面に映った映像。

「…うそ」

 小さく、呟いた声は誰にも届かない。

 画面の中で、破壊された建物。病院と思しき建物や見知った街並み。軍人がその中から懸命に生存者を探している光景。

 見知った土地、希が住んでいた町。あの場所にいた記憶は忘れていない。

『本日、この区域では大規模な爆発があった模様で現在も住民の安否が確認されていません。原因を突き止めると共に、生存者の捜索は続いていますが――』

 画面から目が離せない。手足が震えているのを、止められない。

 紙を読み上げているだけ。そこに緊張感など、感じられない。

 住民の安否は不明。

 泣きそうだ。今の状況が理解出来なくて、何がどうなってこんなことになってしまったのか分からなくて。ぐるぐると頭の中を同じ単語が回る。住民の安否は不明。

 それでも、帰る場所は。希にとっての帰る場所は、兄と暮らしていた町。例え破壊されていようと、そこしか帰れない。帰る場所など、一つしかないのに。

 目頭が熱い。

「希ちゃん、お茶持ってきたよ」

 明るい柘榴の声に振り返れない。

 テーブルの上に置いていた震える両手を固く握りしめながら、テレビの画面から目が離せない。

「あと、家族の人には連絡した?携帯、持っているっけ?」

 ハッと振り返り、驚いた顔の柘榴と目が合う。

「電話を、貸して――」

 もらえますか、と言う言葉は最後まで言えなかった。勢いよく立ち上がったけれどすぐに重要なことを思い出す。兄の、連絡先など覚えていない。ましてや、勤め先の連絡番号なんて希は知らない。

 なす術がなくて、ずるずると床に座り込む。どうすればいいのか、分からない。

「希ちゃん!?」

 座りこんだ希の傍に柘榴がやって来て、背中をさすってくれる。真っ青な顔をしている希に、ただならぬ事態を悟ったようだけれど希の気持ちは届かない。

 会いたい。

 無事だと、信じたい。

 声が聞きたいだけなのに。その方法が、ない。

「…帰ります」

 やっとのことで出た言葉は、今までで一番力のない声。泣き声混じりの声だった。

「駄目だよ!顔色真っ青だし、帰れる状況じゃないよ!」

「それでも―」

 反論しようとした希の声は、途中で消える。

 歩いてでも、何が何でも帰ろうと思った。立ち上がろうとした希の、頭が痛む。痛さで顔が歪む。

 悲しさだけじゃなく、痛さも加わって涙を堪えるのは限界だった。立っていられない、意識が遠のく。

 そのまま柘榴に倒れこむように、希は意識を手放した。



 柘榴と希、それから苺がいなくなった中学校に残っていた一人の少女、蘭は呆然としたまま残された宝石の塊を抱えて暫く動けなかった。

 一瞬、だった。

 掴んでいたはずの左手は、まるで風になったかのように空を切った。

 そこには、誰もいない。

 残されたのは、蘭だけ。

 蘭の周りを沢山の人が通り過ぎる。生存者の確認や、負傷者の手当て。亡くなった人間は、数人。大怪我を負った生徒や先生も多数。

 蘭が最初に高校に着いた時は、何よりも生徒の避難を優先させた。

 中学校では対応が遅れた。蘭の到着も遅かったし、上手く誘導出来なくて死者が出たのは一目瞭然だ。

『蘭ちゃん、聞こえるかーい?』

 呑気な声に、機嫌が悪くなる。ただえさえ、得体の知れない人間を取り逃がしたばかりの蘭は、イライラしながら返答する。

「何よ」

 蘭の声の低さに、その機嫌を読み取れないのか。わざわざ明るい声を出すのか。よく分からない通信機の相手は、笑いながら言う。

『終わったみたいだね。悪いが帰りは結紀くんの車で帰って来てくれ』

「…」

『無言でも蘭ちゃんの気持ちが伝わってくるよ。結紀くんはそれでいいかい?』

『いいっすけど。俺、救護班の手助けをしているので時間掛かりますよ?』

 突然入って来た結紀の声は、忙しそうな様子が伝わって来る。

「…少し休んでいるから、終わったら連絡入れて」

 それだけ言って、人が少ない端の方へ移動する。

 疲れているわけではないが、座りたい気分。座っていても暇なので、携帯を取り出し慣れない手つきで目的の人物の電話番号を探す。

 数回のコールで相手は出た。

『蘭ちゃんじゃない!もう、電話くれるのなんていつ以来?半年ぶりかしら?』

 以上にテンションの高い相手に今すぐに電話を切りたくなるが、要件を伝えないと切るに切れない。

洋子ようこ五月蠅いわ。急いで調べて欲しい人間がいるの。名前を言うから、調べなさい」

『…唐突ね』

「【ざくろ】と【いちご】。それから、【のぞみ】。ざくろは今回襲われた高校の在学生。いちごは中学生。私が帰るまでに調べなさいよ」

 いいわね、と一方的に言ったきり電話を切る。切る間際に何やら騒がしかったが気にしない。

 一体全体、何がどうなっているのか。蘭は一人考える。

 五年前の災害以来、大きな被害はなかったというのに。

 気持ちを落ち着かせるように、空を見上げた。

 暗くなった空は、夕方で赤い色へと戻っていた。真っ赤で綺麗な夕日は、山へと落ちる。時間が流れて行くのを実感出来た。

 それでも、分からないことが増えた。

「何が、起ころうとしているの?」

 こっそりと呟かれた蘭の声を聞いたものはいない。

 結紀の仕事が終わるまで、蘭は一人で空を見上げて唇を噛みしめた。



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