すれ違う親子
9月ですね。今回は余裕あり!ですが短い。とても短い。
長期休暇が終わるとネタをじっくり考える暇がない。
*
時は流れて、俺は三歳になった。
そして、今実の父親に殺されかけている。
悲鳴を上げる暇もなく、父上から放たれる弾を必死に避ける。あれでも手加減してくれてるって?冗談だろ!?
「ーーーっ!」
フェイントで弾が二つ重なっていた。一つはじき返し、一瞬の気のゆるみで弾は脳天に直撃して、俺は昏倒した。
俺は今父上に稽古をつけてもらっている。多分虐待でも憂さ晴らしでもない。多分。
どうしてこのようになったのか。思い返してみるととても些細なことだったはずだ。
この屋敷には子供は俺だけである。たまにドニさんが娘を連れてくるが、本当にたまにである。ちなみに三歳になったばかりの俺に、娘(名前はレイス)に手をだすなよハハハといい笑顔で言いきったドニさんは完璧に親バカだった。
というわけであまり遊び相手がいない俺は、基本読書をするか、体力づくりとして広い庭を駆け回ることぐらいだった。
字は母さんに教えてもらった。慣れてはきたが、咄嗟の時は日本語を書いてしまう。
そして死亡フラグ回避のための体力。子供って意外と体力がある。大人を振り回すだけの体力はあるが、疲れるとそのまま寝てしまうことがよくある。
初め俺が行方不明になったと大騒ぎになったが、いまじゃいなくなったら庭を見ろという決まりができた。
母さんに字を教えてもらいながら庭で体力づくり。めちゃくちゃ健全な毎日を過ごしていた。
マフィア(当主だけど)とは程遠いね!
字を一通り覚えた後は、読書に熱中することもしばしばあった。
そしてきっかけ。これは父上が長期出張に行っている間に起きたことだが、父上が帰ってくる直前にマリアさんから勧められ、父上に手紙を書いてみた。
ぶっちゃけ何を書けばよいかさっぱりわからなかったので、以前に聞いた父上のすごい拳銃技が見てみたいですと書いて渡してみた。
結果。殺されそうです。
手紙なんか書かなきゃよかったと悔いている。後悔って後から悔いるから後悔なんだなって当たり前のことを再認識した。
ちなみにカルマは、殺そうとしているわけではなく、『父上のように将来バーデを引っ張て行けるように経験を積みたいから』以前聞いた父上すごいの拳銃技が見たいです、と解釈した。こいつなりに考えているんだな、子供って本当に成長が早いんだなと出張から帰ってきてしみじみ思った。イゼアの成長を見逃したのが残念だと、そんなことを考える自分に驚きながら、自分で教えたら成長ってよくわかるよな…と思い至る。よし、ついでに稽古つけてやろう。うん、そうしよう。
題をつけるならば『すれ違う親子たち』
イゼアの恐怖稽古に、周りは面白がり、または恐怖で、それか将来楽しみだと涙ぐみながら傍観に徹していた。
ぼろぼろになる子供は、バーデ家では代々よく見られる景色でもあったため、ユキハ以外は落ちる居ていた。
カルマは昏睡したイゼアを眺めながら、自分もオヤジにぼろくそにされたな。でもあれは成長を見るためだったのか。あの時くそ野郎いつか殺してやると思って悪かった、なんて思いながら息子を担ぎ上げる。
結局殺す前に、くそ野郎は隠居生活と称して出ていったが。
あ、やっぱあいつクソジジイだわ。
自分がそれをイゼアに思われていないのかなんてこれっぽちも考えない。大人とは、子供のころの感情は、教育者側になるとあっさり忘れるものであった。
カルマのお父さんは爆笑しながら息子のプライドを踏みつぶす酒飲みイメージw