バーデの統治
はい、10月更新怠りました。さーせん
新章始動します
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イゼア・バーデは十五歳になった。つまりあれから六年たったのだ。家族に対しての遠慮や、かぶっていた猫をある程度捨て、素に近い状態で過ごしてきた。
周りから言わせると、雰囲気が柔らかくなった、兄弟愛が麗しい、親子のきずなが深まった、など。
他人の目で見てそんな差がでるのなら、今まではどうだったんだ。
最近は自主鍛錬が増えてきた。なにやら父さんが大忙しらしい。小耳を挟んだところによると、バーデの下の国・ガーダンに何かあったらしい。バーデとは最も関係の悪い国である。俺はさっぱりわからないよ。外交関係なんて首突っ込んでないもん。
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バーデには四つの貴族がある。東西南北に分かれていて、それぞれの役目を請け負っている。
東の貴族は国内事業の担当をしている。実りのないこの地では漁業は盛んである。海が穏やかなこともあり、塩を作ったりしている。国内事業の担当といえばわかりやすいだろうか。他にも数少ない牧場などを担当している。
西の貴族は貿易担当。ユート大陸の最北端に位置するバーデ。ここは大陸をつなぐ貿易拠点となる。バーデから船でひたすら西に向かうちと、サルディア大陸の最北端・ミヤにつく。このことから貿易担当となったらしい。バーデの南にはガーダン、グダリムがあるため、そちらの貿易も担当しているので、なかなか忙しい。最近はこの西の貴族が、領主館に出入りすることが多い。
南の貴族は外交を担当している。言わずもがな、仲が最も悪いガーダン対策だと考える。バーデはガーダンに行くまでに森を抜けた後、平野が続く。その先には巨大な、そして長い柵がある。ユート大陸の端から端を繋ぎ、中央には大きな門があり、そこが国境となるのだ。この世界でこんなものがあるのはバーデとガーダンだけである。どんだけ仲が悪いのだ。門越しにそれぞれの国の門兵がいるのだが、いざこざが絶えない。…ホントにどんだけ仲が悪いのだ。
北の貴族は衛生、医療を担っている。ヒアラークもその一つである。病院とか保健所などがある。バーデでは市民の健康診断が義務付けられている。ほかにも環境問題にも取り組んでいる。
この四つの貴族たちを中心に国は回っている。そして領主の役目は国の防衛、そして東西南北の貴族による情報をまとめる。そして国費をどのように使うか決定する。たとえば東貴族による農耕問題の解決策と、北貴族による環境の良し悪しを比較し、程よい落とし処を付けて解決するのが普段の仕事である。他にも移民受け入れや、労働者雇い入れなど仕事は多岐にわたる。この世界の戦い方は龍巫が下地にあって成り立つものが多い。そのため龍巫のもっとも多い血筋が領主になったのだろう。
改めて考えると、バーデは本当に国に見える。父さんは領主で、地区のトップといえるが、はたから見たら、王のように見える。実際、ほかの貴族の頭を領主という方がはるかに正確だろう。
国ではなく、地区と定めたのは戦乱の世の名残である。戦乱の世、領土を取りあい、食料を奪い合った。カンジャーリス協定によって結ばれても、小競り合いは続いた。
当時重視されていたのは、カリスマ性と龍巫がある人間だったのだろうが、現在は権力集中制から分轄統治制になったといえる。
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そんな中、俺は父さんに頼んで、独自のプログラムを計画している。それは人材教育だ。しかし、これは意外と教えることが難しい。
前世のセンター試験の問題なんて、重箱の隅をつくような問題ばかりになり、詰め込み式型でやってきた俺は、効率的な勉強方法っていうのは思いつかない。受験生で享年を迎えた俺からすれば、勉強のやる気や、効率性、実用性は教師の質が大変重要だと考える。教師なんてどこから持ってこりゃいいんだよ!学校にする?寺小屋みたいな?読み書き以外にも論理的にものを考える力や、ものを批判的にみる力など、さまざまある。どこまで教えればいいのか、とか。要するにあんまり目途は立ってない。やりすぎても日本の教師の職業負担が大きくなって負のスパイラルを生むようなことはしたくない。前例があるならば、それと同じような間違いだけは置かしたくないね…。
バーデの教育は親が読み書きそろばんを教える。何故そろばんなのか。ミヤから入ってきたらしい。……それは置いておいて、親は自分の稼業などの専門知識を実施などで教えている。あとは基礎的な龍巫の使い方。家業に龍巫を使うことは多々ある。俺は教えようがないから諦められたけどね!
国語数学理科社会英語をまとめてやってきた俺は、何それうらやましい!と思ったが、将来に自由選択ができた身としては、家業オンリーってヤだなと思ったのがきっかけ。それに、ミコトも幅広い知識を身に着ければ、自ずとやりたいこと、目標が見つかるのではないかというお節介でもある。ナギとも仲良くなれたのなら、ほかのことも是非とも仲良くなってもらいたいという気持ちもあるが。
ま、将来的に領主の仕事として教育に携わる期間ができたらいいなぁというのが俺の希望である。
短めです