××× 変化
短いです
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神が欲するものとは何か。
変化のないものはやがて惰性に落ち、腐り果てる。それは神とて同じこと。
長い、長い長い長い、長い時間を経て、神は出会った。
変化を求めた同士が。
神々にも生まれた順序というものがある。それは人間のようではなく、自由でできうる自我を持ち、力を持ち、身体を持っていた。
きっと彼らよりも先に生まれた神々は、同じように苦悩し、それを乗り越えた。その乗り越えたことがまた、自分の変化だと、胸を大きく高鳴らせて喜び、些細なことを慈しむようになった。
長い月日を経て、人間の真理、行動パターンなどを知り尽くしていても、突拍子のないことをするのが人間だった。
愚かなことを繰り返しても、それさえも神々は愛でていた。
神々は異なる性質、性格、視点、そして感情を持っていた。
苦悩を乗り越えれない神がいても不思議ではないように。
一人の神は、自分の存在意義を問うても答えが出なかった。変化を求め、自分によって刻まれる変化に胸を高鳴らせ、ずっと歩み続けていた。
一人の神は、空虚だった。自分が何をしたいのか、何を考えているのか、わからなかった。それを分かりたいと、思っていたかさえ。
人間にしては想像もできないような、果てしないときの中を生き続けていた神は、それでもまだ未熟であった。
一人の神は、まっさら神に出会った。神は思った。これを染めたいと。自分が染めたいと欲し、それを実行した。
神は自分の存在意義を変化させるものだと定義づけた。
また、果てしないときの中、二人の神は変化をし、変化をし、変化をした。お互いに名前を付けあい、些細なことで喧嘩をし、些細なことで……。
それを友情と、名付けたのかは、二人が知る。
小さなことの変化を受け入れるようになった佐鳴は、ほかの神々のように、小さなことを愛でるようになった。
しかし、×××は違った。
変化を求めた×××には、小さな変化を満足できなかった。
佐鳴は諭した。二人で些細な変化を、満足できていたではないかと。
×××は答えた。二人の時はもっと胸が高鳴ったと。こんな些細なことではなかったと。何故、こんな些細なことで満足するのか。
佐鳴は答えに窮した。
×××は裏切られたような気がした。
再び自分の存在意義がわからなくなってしまった神がいた。
神は、何かをなくしてしまったような気がした。
神はそれを探しにいった。
神界を巡り、巡り、最後に人界に行った。
人界との接触は禁じられているが、神はさほど気に留めなかった。禁じられていたことをし、禁忌に触れた。
神は一人の人間を見つけて、口元をゆがめた。
手を差し伸べたそれは、自分にとって、どんな変化をもたらすのか。
どこかずれていたものが、歪みを生み、ついには。
時間、空間、世界さえ歪め、変化させた神はそのことを自覚しているのか。
それによってゆがめられた人間たちを自覚しているのか。
それによって感情を揺らした神がいたことを自覚しているのか。
それは本人でさえわからない。
×××の名前は、犯罪神に変わった。これもまた、変化である。
短いです




