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↑カルマ視点。続き

ネタが尽きた。8月更新頑張ろう。



「ちちうえ、おかぁしゃ!ごはんー」

 とてとてとやってきた我が息子・イゼアは相変わらずの父上呼びだ。ユキハには舌足らずで可愛らしく呼んでいるくせに。そんなにユキハの気を引きたいのか。く、あざとい奴め…。

 何故、父上と呼ぶのか、本人に尋ねる前に自分で見極める必要がある。

 答えは自分で見つけるものである。他人からの情報で全て把握してしまうことは愚の骨頂。噂などあてにならないのもまたしかり。

 マリアたちに聞いたら何を言われるかわかったもんじゃない。姉とジャンがタッグを組むと、いつも被害は俺に来る。ユキハの着替えが終わり、食堂に行こうと部屋を出る。それと同時にイゼアを抱き上げてみた。

「!」

「…」

 突如抱き上げられて驚いたのか、イゼアは俺の顔を見て、紺碧の大きな瞳をさらに大きく見開いた。目玉が落っこちまうんじゃないかって言うぐらい。でけぇなこいつの目。

 いつの間にか俺は立ち止まり、イゼアの目を真っ直ぐ見ていた。イゼアも俺の目を凝視した。

 今から一年と五ヵ月前、名前を付けるときもこんなことがあったが、あのときに比べてずいぶんでかくなった。子供の成長は早いとしみじみ思う。

 あの時も今も、こいつが何を考えているかわからない。が、子供でも何か思うことがあるのだろう。それをこいつから感じ取ろうとひたすら見続ける。

「(え?俺何かした?呼びに来たのが悪かった?二人の時間邪魔してスイマセン!?)」

 が、やはり何もわからない。とても静かで、まっすぐな目だ。いくら悩んでもわからないなら、本人に聞いてもいいだろうか。というか、気にくわないから、もちろん聞くんだけれども。

「おい」

「!あい」

「なんで父上って呼ぶ?」

 そういうと、イゼアの瞳に困惑が現れた。

「(あれ、父上ってアウト!?なんて呼べばいいんだ?!)」

「イゼア、別に怒ってるわけじゃないぞ」

「え!?」

 今度ははっきりとした驚きだ。というか、怒られていると思ったのか。そんなにイゼアを怯えさせるほど怒っていないんだが。むしろ、スキンシップはユキハの次にしている。あれか、野郎に触られても嬉しくないってか?

 よくわからないが、イゼアはきっと困惑していると思われる瞳を揺らしながら、少し逡巡してぽつりと一言。

「ちちうえは…ちちうえだから?」

 なぜ疑問系。こっちが何故だ。

「意味がわからない」

「(やっべぇ、超怖い)ちちうえは…おうちでいちばんえらいんでしょう?おねーしゃんやジャンとか、、、ドニとかエイダとか!みんな一緒だけど、ちちうえはぜったいでしょ?」

 ルディ曰く、俺の部下はみんな等しく平等だが、俺の立場は絶対的なものらしい。部下たちと一緒にいすぎたせいか、触発されたのかもしれない。部下と俺とだったら、どちらが一緒にいる時間が多いかと聞かれれば微妙なところだ。

 が、エイダもジャンもマリアも、それにユキハだって言うときはズバズバ言う。そいつらはどうなるんだと言いたい。絶対的な立場だとかほざいたのは、あいつらみたいだ。面倒くさいことするのは一流だなくそ。

 別に父上という呼び方が嫌なわけではないが…。いや、やっぱ嫌だ。

「イゼア」

「あい(名前呼ばれるだけでこのプレッシャーってどういうこと)」


 俺は父上という呼び方は嫌だと言おうとした。しかし、こいつなりに周りの情報を処理したうえでの行動なら、それを俺が嫌だという理由でやめさせてもいいのだろうか。

 そう思い直し、イゼアを床に下ろし、頭をなでながら、「なんでもない」といって、二人で食堂に向かった。


 ちなみに頭をなでられたイゼアは、鉄拳が振り下ろされるのかと思っていたから、予想外の出来事に体が硬直した。

「イゼア?」

「…あ、あい!(今何が起きたんだ…?)」



 食堂につくと、珍しくエイダも一緒に座っていて、首をかしげていると、エイダがとまどいながら、しかし嬉しそうに、イゼアたちと一緒に食べていたと話した。

 成る程、これが理由か。立場についても、別に吹き込まれたんじゃなくて、イゼアが自分で考えたみたいだ。

「カルマ嬉しそうね?」

「お父さん呼びされたのか?」

 いちいちうるさい姉と幼馴染の足を踏みつけながら、自分は何故嬉しそうなのかを考える。

「ちちうえ…うれしそうなの…?」

 イゼアにはわからないらしい。俺もお前のことよくわからん。

 イゼアは無表情ではない。常に笑っているわけでもない。つまりは…普通の顔なんだが。たぶん真顔。餓鬼ってのはいつでも満面の笑みを浮かべて、顔を真っ赤にして泣いているものではないらしい。

 ほかの奴らなら、何考えてるとか、大抵わかるんだが、イゼアはさっぱりわからない。

 ただ、こいつは―――イゼアは目をじっくり、じっっっくり見れば、微かだがわかるようになってきた。

 俺はちゃんと息子と一緒に成長できている、息子のことを少しづつ理解できている、それに喜びを感じているのかもしれない。

「あれ?イゼアの呼び方…?」

 言わなかったの?言えなかったの?と俺の顔を見てくるユキハに、食後の後、イゼアの成長について話そうと思って、ユキハを抱き寄せた。

 ちなみに言わなかったと言ったら、あなたらしいとユキハはきれいに笑った。






なんだかよくわからなくなってきた。

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