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久々のマフィア投稿で、どうやって書けばいいんだっけ?と頭を悩ませました。

短めです




 マッチャ作りの主要メンバー、ミコト、ルイス、ナギが完全復活した後、品種改良されたマチナラの木、つまりマッチャの木(命名された)を育てることになった。


 苦味緩和のために、弱光で育てることが重要である。


「でも、おひさまの光が無かったら枯れちゃうよ?」

「全く無しにするわけじゃない。網みたいなもので覆って、当たる日光の量を減らす」

「何で覆えばいいかしら?」


 麻とか?と首を傾げるレイスに、ナギが返す。

「麻は洋服にしたら、目が粗いかもしれないけど、植物にしたら逆だとおもう」

 いくつか案を出したけれど、全くいいものが思い浮かばない。


 休憩がてら紅茶を飲んでいると、会議室にイゼアが入ってきた。ノックがなかったので、気づかなかった三人は、眉間にしわを寄せて、紅茶をすする。


 三人の仲でいちばん幼さが目立つナギがしわを寄せていると、どこか滑稽さがあり、笑いが漏れる。

 くすりと笑うと、肩まで伸びた黒髪が、微かに揺れる。


「難しい顔して紅茶飲んでるけど……苦いの?」

 ナギの後ろに立って、突然声をかけたので、三人の肩がびくりと跳ねた。


「うわっ」

「イゼア兄ちゃん!」

「ちょっと、イゼア!」


「え、何?」


 三人の批判的な声に慌てるイゼアは、すぐさま謝る。


「ごめんごめん……最近三人で何してるの?」

 仲間外れは寂しいです、と顔に書きながら話題を転換する。しかし、三人にしてみれば、触れてほしく無い話題である。


 どうやってごまかそうかと頭を回すミコトは、ふと思いついた。雑学が異様に豊富な兄なら、何か言い案を思い浮かぶかもしれない。


「兄さん」

「ん?」

 紺碧の瞳を柔らかく細められる。


「日光をある程度遮れるものって何かな?」

「完全に遮断したいの?」

「弱光が理想」


 イゼアのために頭をひねらせているのに、本人に言ってしまうのか、と目で訴えるレイスを流し、兄を注視する。

 ナギはサプライズ失敗…!?と顔に書いてある。


「んー、何を覆うかにもよるけどね」

 どんな案が出たの?と詳しくは聞いてこないイゼアに、二人は安堵した。

 表情を隠すことを知らない二人から、何かしらの事情があると瞬時に察したイゼアは、深追いをせずに、早々と退散することにした。

 藪蛇になりたくないし、ミコトに嫌われたくない。


 ミコトがイゼアに隠し事をしたいのに、問いかけたということは、深追いしないことを望んでいるはず。


「ん……そういったものがだめなら、無いんじゃない?」

 案を聞き終えたイゼアはバッサリという。

 その反応に、三人は微かな失望を見せた。


「ただ…」

「?」

「ないんだったら、作っちゃえばいいんじゃない?」

「え?」


「パンが無いなら、お菓子を食べればいいなんて言ってるわけじゃない。これよりはるかに簡単だろう?」

 いきなり変な例を出しながら続けるイゼアに、何と返せばいいかわからない。

 しかし、なければ、作る。至極当り前な気がしてきた。


「ん…ありがとう」

 すこし照れながら礼を言うミコトに、にっこりと笑い返すと、イゼアは早々に部屋を出ていった、



 そばに控えていたメイドたちは、兄弟の会話と、イゼアの笑顔を観察日記に細かく記載した。







 振出しに戻りつつも、微かな前進をした三人。発想の転換を授かった三人は、頭を柔らかくして、ゆっくりと考え直す。


 開いた窓からそよ風が入り込み、カーテンを揺らす。

 まったりとした空間の中、ミコトが突然声を上げた。


「緑のカーテン!」

「え?」

「何よ突然?」






 目を点にする周りに、以前イゼアと庭いじりしたことを思い出した。

 直射日光がまぶしいねぇ…とぼやくイゼアは、外にカーテンがあればいいのに、と言っていた。



『おそとにかーてん?』

『そう、日焼けも気にならないね』

 イゼアはミコトの肌をなでる。白い肌は微かに焼けて、赤くなっていた。


『でも、かーてんあったら、たのしめない…』

 箱庭の中といってもいいだろうけれど、ミコトは屋敷の外、つまり庭に出るのが好きだった。いろいろな植物が植えられ、季節ごとに変わる色。時間が過ぎれば、驚くほど空は鮮やかに色を変える。天気の良しあしでも、またしかり。

『だったら、緑のカーテンとかならいいかな』

『なぁに?』

『地球温暖化防止のために、よく伸びる植物を育てて、カーテンの代わりするんだよ。風通しもいいし、ある程度日光も入るからね、クーラーを使う回数も減るし、一時期すごくはやったんだよね』


 植物の育つさまを、間近で見れるしね、と付け足した。


『ちきゅーおんだんか?くーらー?』

 なぁに、それ?と首を傾げるミコトに、イゼアは笑ってごまかした。






 いまでも、チキューオンダンカやクーラーはわからないが、植物によるカーテンだということはわかる。

 ミコトはさっそくよく伸びる植物を探しに、図書室へ行こうとする。が、レイスが止めた。



「よく伸びる植物を探すのも、育てるのも時間がかかるから後回し」

「でも、育てるのは時間がかからないと思うけど」

 睨みあう二人をそっちのけで、ナギは手をポンと打った。


「そっかっ。植物で作ればいいのか」

 植物カーテンなら編み込みやすいものがいいよね、とナギが満面の笑みで問いかける。


 二人は一度顔を見合わせ、同時に首肯した。



 植物のことなら、チュリオン夫妻に聞いた方が手っ取り早いだろうと、お見合いがてら病院に行く。


「身近にあって、編み込みやすい植物?」

「成長が早いもの?」


 息子とその友達が来てくれたことに、チュリオン夫婦は大いに喜んで、要望の多い植物を一緒に考えた。

 すると、チュリオン夫妻が、成長はすでに終わっているけど…と言葉を濁して言った。


「藁はどうかしら?」


「わら?」

 ナギは藁が何かわからなかった。

「わら……ん!いいと思う」

 名案だとミコトは目を輝かせる。

「あんな短いもの編むの?」

 レイスは嘘でしょ?!と悲鳴を上げた。


 三者三様の反応から、藁を使った弱光作戦が始まった。



 初めにマッチャの木の二倍の高さの木材を何本か用意する。

 柵をつくるように木材で木を囲むと、次に。木材の上の部分に穴を上げ、太いロープを入れて、固く結ぶ。網になるように交差させる。

 その上に藁をどっさり置いた。

 パラパラと藁が隙間から落ちるが、絡み合う藁は安定した。藁の量を調節して、弱光具合を確かめると、木漏れ日のような光が入り込んでいた。


「うわぁっすごい」

「編まなくてもいいなら、初めから言ってよ!」


 ミコトは柵の出来具合に満足そうにうなずいて、忘れていたことを思い出す。

「どこかの民族は、移動をよくするから、簡単なためものを好んで、藁とかで作っていたって歴史書にそういえば書いていたのを忘れてたよ」

「そういえば、牧場とかでもたまに見るわね」

「「……もっと早く思い出してよ!」」


 異口同音。

「引きこもりが原因ね!」

「うるさい。視てから思い出したレイスも同じだろ!」


 口げんかする二人をよそに、ナギは藁にダイブしたい気持ちを抑えていた。

 うずうずしているナギをみて、エイダは余った藁で山を作り、三人を底に放り込んだ。

 すると子供らしくはしゃぎ、藁をかけあったり、寝転んだりして遊んでいた。



 メイドはすかさずそれを観察日記に描き、さすがメイド頭、いい仕事をしなさる…!と尊敬の眼差しを送った。







レイスのはずなのに、途中でルイスを打っていた

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