龍巫暴走。紺碧交差。
エイプリールフールです。
明日も更新します。
嘘です!
否、嘘ではない。エイプリールフールは午前までだから!
いや、絶対ってわけじゃあないよ?文章が浮かんだら。
でも、今月一発目を一日から上げれるってすがすがしいね。本文そんなすがすがしくないけど。
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音もなく、という表現がどこまで正しいかはわからない。
その場で、音を知覚できたものはいなかった。
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ミコトの物心がついて、明確な記憶としての確立の中、龍巫を使ったのは初めてのことだった。
龍巫が自然と流れ始める人がいる。バーデの人間の多くはそうだし、ミコトももれなくそうであった。
そして、イゼアの龍巫量は測れないため、大抵の人はイゼアは少なく、ミコトを多く、と認識する。
そして口をそろえてこういうのだ。
『あぁ、逆だったらよかったのに』
その意味を自覚してからその言葉を聞くたび、ミコトの中で、身体から漏れ出しそうになることがたびたびあった。
が、それはなしえなかった。
ひとえにそれを心のどこがで同意していたミコトがいたからで。身体から今、漏れ出したら、きっと。
人はそれを龍巫の暴走状態と呼ぶわけだが、龍巫の量が多いと、子供の場合、『子供の龍巫の暴走』になる。
ちなみにイゼアにその状態におちいることは、まだしばらくない。
享年十八、それに九年。
身体が幼ければ、精神年齢は引きずられるかと思いきや、ここ最近の父親と、ミコト。そしてたびたび意味もなく夢に現れては、精神的疲労を負わせる佐鳴。
これによってイゼアは今のところ成熟した二十七歳といえるだろう。精神的に。
いわば、頭の痛い上司と横暴な上司。ついでに、好感を抱いていた部下にすげなくされる状態を続けたサラリーマンのような。(胃痛もち。胃薬常備)
陰口とか言われていたらどうしようかと頭を悩ませている隙に、新社員に気になる部下をかっさらわれた状況にあるのが現状である。
そんなこんなで、イゼアは幼いときにありがちな龍巫の暴走はなかった。ストレスでいに穴が開く、とかならあったかもしれないが。
つまり、常識外れな長男と、バーデの血(つまり、手のかからない)を色濃く受け継いだ次男によって、バーデの屋敷にいる人々は、すっぽりと『子供の龍巫の暴走』を忘れていた。
バーデの人間は、幼いころから子供らしいところがなく(よく言えば知的)、龍巫の量も多く、将来楽しみだと云われる、胡散臭い幼少期を過ごすわけだが、確立した自我とともに、『子供の龍巫の暴走』を起こす。
身体の中を暴れまわるように流れ、思考を奪い、身体から解き放されれば、そこはあっという間に戦場になる。
そして、ミコトはつまりその状態に、今ある。
*
既に何かがキレていたミコトは、思考は龍巫の波にのまれていた。本人の自覚あるなしにかかわらず、ミコトのストッパーの役割を果たしていたナギのことさえ。
ただ、この行き場のない想いを吐きだし、たたきつけたいのか。
ミコトの視線はレイスに突き刺さっていた。
蘇芳色の瞳は瞳孔が開き、蘇芳から、真紅へと染まっていく。
ミコトのただならぬ様子に、レイスもナギも気が付いた。
ナギは龍巫は子供にしては多いが、もともとの素直さから暴走はせず、レイスも普段から溜め込まないため、暴走とは無縁。
どちらも兄弟がいないことから、仇となった。龍巫の暴走とはまるっきり縁がなかったのだ。
ついでに不運が重なり、その場には三人しかいなかった。
「ねぇ!ミコト、どうしたのっ?!」
ナギが不安そうにミコトの肩を揺さぶるが、それと同時にナギはめまいを起こし崩れ落ちた。
既に着々と身体から漏れ出し始めている龍巫がナギが触れたことによりそちらに流れ始めた。
彼の持つ龍巫がミコトの龍巫と反発を起こしている。
焦点の定まらない目で、それでもミコトを仰ぎ見ようとして、ナギはそのまま床に倒れ伏した。
「ナギ!」
動揺とは無縁のレイスも、ミコトとナギの様子に慌てだす。
「ちょっと、ミコト!」
どうしたの、ナギが、と言葉を続けたいのに、舌が、頭が回らない。
混乱しているのか、否。
防衛本能が働いたのか、レイスは龍巫を放出する。しかし、その努力もむなしく。
レイスは、自分の龍巫と身体が、別のものに浸食されることを察して、しびれるような手足を無理やり動かし、走ってナギを抱きかかえ、ミコトから距離を置く。
それがきっかけかはわからないが、ミコトから溢れだす龍巫の量が一気に増した。
レイスも押し寄せる波を肌で感じながら、カーテンを破り、自分とナギに頭からかぶせ、部屋の隅にうずくまる。
そして駄目もとで、もう一度龍巫を放出させる。
ミコトとレイスの龍巫が一室に満ち、爆発した。
爆発音はなく、ただ、圧倒的な風圧が内側から発生し、窓は全て粉砕され、外に飛び散った。
家具も四方八方へ吹っ飛び、ドアは穴が開くように一ヶ所に力がかかった、というより、ドア全体にかかり、本来のドアの厚さの半分になっていた。
金具は壊れ、ドアは廊下へ吹っ飛ぶ。
食器は壁に叩きつけられ、パラパラと粉になり、レイスとナギを覆ったカーテンの上に落ちる。
壁は亀裂が入り、天井の明かりは、ガラスが割れ、これもまた粉になったナギに降り注ぐが、同時に明かりを留めていた金具がバキリと壊れる。
もはや明かりとは呼べない、ひしゃげた形の金属の塊は、重力に従って、ミコトに落ちる。
そのとき、銃声音が響き、ミコトを振り落ちるはずだった金属は、粉砕された。
耳に届いた発砲音を確かめるように、ミコトが首を動かし、焦点の合わない目が向けられる。
駆けつけたのはカルマだった。
突如一角で満ちた龍巫に、カルマは書斎から飛びだした。他の人間も異変を察知し駆けつけていたが、カルマはそれらを追い越して、駆けつけた。
扉のない部屋に顔を入れた途端、それは脳が命令を出す前に、腰のショルダーから銃を抜き、迷うことなく引き金を引いた。
標準外れることなく、歪な形をした細い金属棒部分に当たった。
彼が息子の瞳と交わったとき、何も言えなかった。
ミコトの瞳は、紺碧だった。
そして、ミコトは一度瞬きし、膝から崩れ落ちた。
「…ミコト!」
カルマがナギを抱き起したとき、大勢の人間たちがその場に到着した。
イゼアの会社例えは書いてて楽しかった。




