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両親帰還。カルマは拗ねる



そんなこんなでお留守番が二週間。母さんと父上が帰ってきた。


「ただいま~」

「帰ったぞ」

 何の連絡もなく帰ってきたマイペアレンツ。どこも怪我した様子もなく、相変わらずラブラブオーラをまき散らしながら帰ってきた。

 …この二人が冷めることはある意味怖いよな。両親の仲がいいのは俺にとってもうれしいし。

 前世の両親も仲がよかった。しかし、父は母に尻を引かれていたが。

「おかーりなしゃい!おかーしゃ、ちちうえ!」

「…!?」←カルマ

「ただいまイゼア!お土産買ってきたわよ。いい子にしてた?」

「いい子にしてたぜ?カルマの幼少期には考えられないくらい、おとなしかったな」

「ジャンも見ててくれたのね、ありがとう。マリアさんも、ありがとうございます」

「どーってことないわ!イゼア、ホントに可愛くて…。私も結婚したい。というか、子供がほしいわぁ~」

「…お前みたいな暴力女、誰も欲しがらねぇよ」

「はぁ?なんですって?」

「マリア様!ジャンも全く…いつか絶対かっさらわれること間違いなしですよ?」

「…」

 なんかジャンさんって、マリアさんに対してあれなのかなー。…初恋かなー。

 俺、コイバナ結構好き。片思い系。

「ユキハ?俺には?」

「ドニは…イゼアに変なこと教えてないよね?」

「ユキハひでぇ!?ボス、男は早いうちに耳を汚すべき…ボス?」

「…ん?あぁ」

 父上疲れてるのかな―――と心配して顔を見た。が、眉間にしわを寄せ、俺のことガン見して沈黙しているんですけど!心配する前に、怖いんですけど!一応笑ってるけど、顔ひきつってる気がしてならないんですけど!俺、ちゃんと笑えてますか?!

「まぁ、マリアに子育ては無理だな。イゼアはユキハの教育の賜物だな」

「なんですって!?」

「おい、まるで俺が何もしていない駄目な夫みたいじゃねぇか?」

「そーゆーわけじゃねぇっすよ、ボス!!」

「駄目な父親だな」

 まだ言い合いをしていたマリアさんとジャンさんに、父上が口を挟む。

 ドニさんは父上に対して一歩引いた感じがあるが、ジャンさんはずばずば言う。マリアさんを含め、この三人は幼馴染らしい。

「おいイゼア」

「あ、あい!」

「俺はお前をしっかり世話しているよな?」

 ん?なんて問いかけられて頭にポンと置かれた手にこもっていく力が怖いです父上!!

「ちちうえはいつもおかーしゃにやさしいし、おせわしてくれるし、すごくいいちちおやだと思います!」

 父上と一対一でしゃべるとさ、赤ちゃん言葉?なにそれおいしいの?ちゃんとまわれよ俺の口!ってなる。下手に舌足らずなしゃべり方で父上の気に障ったら…と思うと。

「…なんで父上」

「?」

 ぼそりと何か父上が行ったが聞き取れなかった。

 発言に何か気に障るのかと思い返していたら、父上を除いて、みんな顔が少し笑っていた。何故?

「…ふふ。イゼア、お留守番いい子にしてたのね。その間のお話聞きたいわ」

「おかーしゃたちのおはなしも聞きたい」

 惚気はいらないけど。

「…ですが若様、奥様も旦那様も大変お疲れですので、夕食までお待ちしましょう」

「うん!」

 ちなみにこの二週間、エイダさん、ジャンさん、ドニさん、マリアさんとはすごく仲良くなったと思う。

「そうね、じゃぁ夕食でね。イゼア、お姉さんと庭に行きましょ?」

「あい!」

「お姉さんって齢でもねぇだろ」

「お黙り、しつこいわよ!」

 …ジャンさーん。





 カルマとユキハは寝室に向かうが、その途中、カルマは無表情、というよりは拗ねているような顔をして少し不機嫌そうに歩いていた。

 対してユキハは、そんな夫を見てニコニコと笑いながら歩く。

 寝室に入って、部屋着に着替えて楽な格好でソファに二人して座る。

 そして、カルマが重々しく口を開いた。

「なんで父上?」

「なんでかしらねぇ」

 穏やかに言うユキハにまくしたてるようにカルマは言う。

「言葉を話すのは早かった。で、初めて言えるようになった言葉はお母さん。で、俺のことは全く呼ばないくせに、やっと呼んだと思ったらなんで父上?そこお父さんだろ!統一しろよ!」

 初めて呼んだのは絶対俺がいない時だな。あいつら笑っていやがったし…くそ。

 一気に言って、ふぅと息をつくように背もたれにもたれかかるカルマにユキハは相変わらずの笑顔である。

「イゼアの中のカルマが『父上』なのかもしれないよ?」

「…餓鬼はどこから言葉を覚えるんだ」

 ガシガシと頭を掻きながら、カルマはユキハの膝に頭をのせた。

 ユキハはカルマを拗ねさせるなんて、やっぱりイゼアは大物になりそうだなぁと思いながら、カルマを嫉妬させるのが自分だけでなくなったのが少し寂しく思えた。

「じゃあイゼアに直接言ってみたら?」

「ん?」

「カルマはその呼び方嫌なんでしょう?なら、お父さんって呼んでって言えばいいじゃない。子供は大人の気配や機嫌に敏感だけど、言わなきゃ伝わらないわよ?」

「…そうだな」

 しかし、周りの奴らも笑みからして、あいつらに仕込まれた可能性もある…。

 眉間にしわを寄せ、難しそうな顔で考え込んでいるカルマは、はたから見たら仕事の難しい案件に向き合っているように見える。あまり子供のことを考える顔ではない。

 カルマは不器用な父であった。




ジャンさんはマリアさんに惚れています


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