失神→昼になる
見直していたらエイダさんがエルザさんになっていたり、変換ミスやらなんやらありすぎる。発見したら報告ください
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龍巫がないに等しくても、どんなのかを知っといた方が後々便利だろうと信じて、見せてもらおうとお願いしてみた。
エイダさん、というかうちの屋敷のメイドはみんな一定の量の龍巫を持っているらしい。俺はメイドさんにも勝てない軟弱ものになるのだろうか…。メイドさんたちは決まった武器がないらしい。常になんだかんだ手に持っているから。
たとえばモップ。龍巫を通すだけで、木製の柄もそんじょそこらの剣じゃ太刀打ちできない強度になるらしい。他にも針、ナイフ、フォーク、お盆等々。…どこの執事さんですか。
屋敷を襲撃された際に、抵抗できるように、体術などを教えてもらうらしい。龍巫の量は雇用条件の一つでもあるらしい。
わお。
マリアさんはブーツに龍巫を通している。あのすばらしいキック力は龍巫のおかげでもあるけれど、日ごろから体術で鍛えているらしい。
龍巫がなくても、マリアさんのキックは健在のようだ。
捕捉で、龍巫は身体強化もできるらしい。
ドニさんはハンマーだ。本来は小ぶりの小さなハンマーらしいが、龍巫をと通すと巨大化したり、柄が伸びたりするらしい。
これをきいたとき、俺は死亡フラグが回避できないことを悟った。え、だって、龍巫って物質の性質まで変化させちゃうの?!
というか、物質の性質を変換させるのが主なのか?
なんでもありじゃん、勝ち目ないじゃん。ほぼ漫画のような出来事が可能な世界。そんなのありかよ――――!!
「しゅごーい!!」と顔では喜びながら、心では滝のような涙を流していた。
ジャンさんは手足にグローブをつけて肉弾戦をするらしい。あとあと、昔話としてマリアさんとジャンさんの喧嘩を教えてもらったが、顎が外れて口が閉じれなかった。子供でその殺傷能力?この世界では、龍巫が少ない=死だよ。いや、俺ほぼ無いなら瞬殺される。エイダさん、俺は多分生きられない。
この世界では龍巫は基本、硬化、巨大化の二種類らしい。が、例外的なことをやってのけるのがうちの両親だった。
父は銃に龍巫を通している。通し方にも色々あるらしく、ファミリーの人たちでも詳しくは知らない。ただ、一発の弾丸で屋敷を破壊できることも可能らしい。…
どんな弾丸だよコノヤロ―――!!
しかも、打った弾丸をコントロールできるとか。もう突っ込まねぇ。
龍巫怖い。弾丸が爆発物になっちゃう魔法の力♪なーんて軽いもんじゃねよ!!
母さんは本当によくわからないらしい。というか、理解不能らしい。札に通しているらしいが、札そのもの、物体としての性質ではないらしい。突如火柱が噴いたり地面が割れたり。
お札って言ったから、陰陽師を想像したけど、言い伝えられている陰陽師でもそんなことできないよ?
え、なに?バーデの最強って母さんなの?そんな力、ブランクがあったって一国落とせるよ?今回の新婚旅行なんて、仕事10秒で終わってるって!マリアさんが心配していた意味がわからない。
バーデ家の恐ろしさを聞いて、俺は龍巫がないことは致命的なことだと確信した。龍巫を多く持っている人は少ないらしいが、バーデは龍巫の集まりだ。多分バーデは龍巫を強みとしてやってきたに違いない。楽観できませんよ。達観しているうちに死んじゃうからねこれ。
母さんに文句を言いたい。何故龍巫を遺伝させてくれなかったのかと…!
幸薄そうな俺の将来。赤ん坊から事実を突き付けられた俺は、とりあえず考えることを放棄してそのまま倒れた。
*
ふと気が付いたときは昼を回っていた。
「あ、イゼア起きた?はしゃぎすぎちゃって疲れちゃったかな?」
いえ、失神しました。
「とりあえず、若様お昼ご飯にしましょうか?おなかは空いていますか?」
「あい!」
ショックでのどが通らない…なんてことはなく、普通におなかが空いています。俺は切り替えが早い、うじうじするような男(結月が嫌いなタイプの男)ではないからな!失神している間に腹は括れたらしい。
「よく食って大きくなれよー」
ドニさんって女好きでバカっぽいけど、普通のおにいちゃんみたいだな。なんでこんな一般人みたいな人が物騒な家にいるんだろう。
ここの世界の料理はパンが中心。だけど俺は離乳食で、とろとろの何か。牛乳粥
みたいな感じだけど、米はこの世界なさそうだよなー。米が食いてぇ。これは多分
パンを小さくちぎって牛乳に浸して、コトコト煮込んだものかな。結構おいしい。
甘みがあるし、野菜も入っている。
エイダさんは紅茶を入れたり給仕に徹しているけど、ジャンさん、ドニさん、マ
リアさんは一緒に食事をしている。身分制がいまいちわからん。当主以外はみんな
平等な感じ?でも、エイダさんは勇者だし…。わからないなら素直に聞こう。
「どーしてエイダはいっしょに食べないの?」
「え?」
話しかけられると思わなかったのか、エイダさんは俺を凝視して首を傾げた。
「ジャンもドニもおねーしゃんも、ちちうえの部下なんでしょー?エイダもなのにいっしょじゃないの?どうして?」
咄嗟に、なんとなく父を父上と呼んだが、、、まぁいいか。俺のあの人のイメージ父上!って感じ。…要するに厳格、怖いんです。
そういうとエイダさんが困った顔をして何かを言う前にマリアさんが口を開いた。
「そうね、エイダ!一緒に食べましょう」
ケロッと決定事項のように言い切るマリアさん。マリアさんって女王様気質?がある気がする。Mの男どもが殴られに飛び込んで行きそうだ。
「マリアさま!私はメイドですよ?」
「でも部下だろう。若が言ったように、俺たちみんながカルマの部下だ。屋敷を守ってくれる立派な部下だろう。確かに料理を準備して給仕してもらってばっかりだったが、一緒に食べちゃいけない理由なんてないだろう?」
「そーそー、給仕してもらって当たり前になっていた俺たちの落ち度だな!一緒に食おうぜ、エイダさん」
エイダさんのメイド発言をばっさり切り捨てるジャンさんとドニさん。
仕事は違っても身分差はないらしい(部下の間は)。もちろんメイド頭とかそういう差はあるけど、部下は部下。好きにしなさいって感じらしい。…緩いな。緩い方が楽だし楽しいし、バーデ家方針は俺にとって最高だ。
エイダさんはまだ抵抗があるようで、俺は母さんに使った作戦Part2を実行。
「エイダしゃん…いっしょに食べてくれなの…?」
子供の涙にはここの大人(父上以外)みんな弱いと思うから!(そして女性限定で!)
エイダさんは慌てたような、でも嬉しそうな顔で席に座ってくれた。
五人の楽しい食事再開。
あざといのは子供の特権、てな!
6月更新だけど、一応5月中に6月の分は投稿済み。
一か月ペースだけどちゃんと最後まで完結させたい。