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神様再会

今年の一発目!

今年もよろしくお願いします。



 気づくとそこは見覚えのある草原だった。

「…ふむ、ここはどこだ」

 返事はない。

 俺はゼンさんにテスト…いや幼児虐待されて、気絶、したはずである。

 宿で一回目を覚ましたから…死んではいない、はずだ。

 享年三年って、笑えないよね?

「なんだ、見覚えもねぇのか」

「いや、ありますけど…転生したらふつう関与しないものじゃなんすかっ」

 相変わらず自己中心的な野郎だな!とぎんっと後ろを振り返り睨みつければ、はい、予想道理の神様でした。…俺、死んでないよね?

 優雅なしぐさで紅茶を飲むのは三年前…いや、もう四年前になるが、全く同じである。

 神様って老けない不老不死のイメージはあるけどさ、すっげー偉い神様(いや神様だから偉いんだろうけど)は長いひげを生やして、厳格なイメージが…。あれ、これって仙人かな。

 仙人とは、人間界を離れて山中に住み、不老不死の法を修め、神通力をもつという人。または世間離れした無欲な人―――by国語辞典

 この定義だと…人→神だよね、でも目の前の豪快不遜で優雅なイケメンはきっと生まれたときから神様だよね。

 最終的に、今関係ないかということでため息一つ。

 神様と会話する意思表示を見せる。

「今回は急かさないんですね」

「俺様がわざわざお前担当になっちまったからな」

 は?

「にしてもガキの姿でいるってことは、向こうの世界に定着したってことか」

 根性据わっているお前らしいな、桐谷伊吹よ、とふぁとあくびしながら言う神様。

「ちょっと最初っから質問していいですか」

「しかたねぇな、ありがたく思えよ」

 こいつやっぱむかつくわ。



「まず、ここは?前にここに来た時は、俺の中の設定だと天国っぽい一歩手前、みたいな?」

「何、お前天国行けると思ってたの?」

 顔に自意識過剰じゃね?ってかかれている。

 …享年十八の俺は、この短い期間で地獄に行くようなことをしただろうか。つか、質問に答えろよ。

「あながち間違っちゃいないが、ここは俺の庭だな」

 家があるの?

「ちげぇよ。この空間が俺の待機場所みたいなもんだ。お前がここにいるのはその空間とお前の精神界をつなげたからだ」

 いわば、お前の夢殿みたいなもんだと締めくくられる。

 …神様って読心術できるの?プライバシーないよね。しかも寝るたんび、神様と対面するの?俺、ストレスで若禿げになるわ。

「なるほど…。俺の担当っていうのは?」

「そのままの意味だ」

 わかるか!

「つまり、糞…対犯罪神のためだよ。腐れじじぃに決められた」

 あんたが四年前に、Xのついでに犯罪神ももノリで倒せと言っていたが、天界は無理だと判断して、あんたを付けたってことね。…初めて天界に感謝したわ。

「俺の姿は?…今更だけど、俺イゼアなんだよね」

「お前が前世に未練がないって意味」

「未練があるから復讐しようと異世界転生というファンタジーあるあるをやってんですけどぉ!」

「つまりー、あー、めんどくせ。はぁ。…お前がそっちの世界の自分を受け入れて、自分をイゼアだって自覚しているから、精神体の姿も自覚している姿を反映してるわけ」

 Do you understand?と久々に聞く英語は無駄に発音がいい美声でした。

「オッケーです」

「ったく、雰囲気で察しろよ、お前はこれから俺のパシリという名の下僕になるんだぜ。いちいち聞くなよ」

「いちいち聞くわ!なんだパシリって!」

「パシリとは――使い走り(つかいはしり、つかいばしり)を指す俗語・若者言葉by Wi」

「だぁ!そういうこと言ってんじゃねぇ!パシリも下僕も一緒だろうが!」

「お前、態度悪いな」

 お前うるさいと顔にデカデカとかきつつ、深い気に眉間にしわを寄せる。おめーは初めから態度悪いって自覚あるのかよ…。

 駄目だ、こいつ相手だと色々切なく悲しく惨めになる。死んだ時を思い出せ、俺!もっと寛大だったはずだ!

「犯罪神がそっちの世界にいる…というか神が世界、個人に干渉すると歪みが発生する。その修正を行うのがお前」

「今コノ時点ノ干渉ハドウナルノデスカ」

「それは大丈夫ってやつだよ。いちいち理屈を求めるな。大丈夫だからやってんだ」

「ソウデスカ」

 やべ、むかつく。

「今回はオピニオンタイムみたいなもんだから、今んとこまだ大丈夫だから、今んとこ」

「一生大丈夫がいいなー」

「無理だな」

「即答かよ」

 あーっと意味のない、そしては気もない叫びをして、芝生に倒れこんだ。痛くないのはやっぱり夢だからだろう。

 ふと目蓋を下してこれからのことを考えて、一つ、自分のために気苦労を減らそうと思う。

「俺は、あんたと対等でいたい!」

「は?」

 何言ってんだこいつ。

「…と思ったけど、やっぱり無理だと思う。俺チキンだし」

 先人は言いました。『目は口よりも雄弁に語る』と。しかし、まだまだ若者の俺がそれを否定する。いやいや、正しいのは『顔は口より雄弁に語る』でしょうよと。…まぁ大して意味は変わらないが。

「……」

「でも!人間の本能として教えてもらいたいことがある!」

「…なんだ?」

「人間は本能的に物事の名前を求めると!これは現文の授業でやったことだけど…それは置いといて。俺はあんたの名前を知りたい」

 神様なんて、いっぱいいるんだろ?でも、こんな豪快不遜の神様は他にいないと思う!

 さっきスルーしたけど、きっとこいつより上の神様のこと糞じじぃ呼ばわりしていたからね。俺しっかり聞いたからね。

 今こそ脱チキン日本人(父上の前だとやっぱりチキンになると思うから、今限定だけど)をして、神様の目をしっかり見る。

「……はぁ」

 ため息ばっかだと幸せ逃げるぞコノヤロー。言わないけど。

「サナル」

「え、」

「二度は言わん」

「……アリガトウゴザイマス」

 神様は棒読みの言葉が気にくわなかったのか、鋭い視線をこちらへ向ける。

 Please wait a minute.Just a minute.どちらも同じ意味だけど、正確には丁寧度が違うけど。

 駄目もとだったから、ちょっと頭がフリーズしている。神様ツンデレ?いやいや神様じゃなくて、

「さなる……ってどういう字?」

「…漢字じゃこうだな」

 宙に字を書くと、『佐鳴』。

「ふーん…いい響きだな」

「変わったほめ言葉だな」

「いい名前かなんて、わかんねぇ」

 でも、俺の好きな感じの響き。



 というわけで、

「パシリ上等…とはいかないが、佐鳴に頼んなきゃ世界の歪みなんてわかんねぇし、いっちょよろしくお願いします!」

 礼儀正しい元日本人根性で、がばりと上半身を倒す。


   、、、

「……イゼア、せいぜい俺の手を煩わせるなよ」

「!」

 名前で呼ばれたと、ふと頭を上げようとしたら、立っていた場所が突如無くなった。

「はぁ!?」

 まるで、ハ○ルと動く城で、○フィがハウ○の過去に行って、「未来で待ってる!」みたいな時の状況。つまり、…落ちる!つか落ちてるぅ!?

「じゃーな」

「…くっそ、しばらく呼ばないでください!」



 俺の夢はそこで終わった。




いやぁ、やっと神様出せた。

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