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とりあえずヒーロー

作者: 夕月 星夜

ただのギャグです。連載にしたいけど、これ以上増やすものどうかと悩み中。ただでさえ溜めてますからねぇ。

ただ、書いてて楽しかったです。


元々戦隊モノには興味なんてなかった。

だって複数人で敵を囲み打ちだよ? なんで楽しいの、あれ。


とか、思っていた当時の私に言いたい。


「雑魚でもわらわらするとそれはそれで暴力だよね」


人海戦術って立派な武器だよね、よく考えたら戦隊モノって雑魚的は異様に多いんだもの。

そりゃ複数で戦隊作る事にもなるか、いやでもボスは基本一人で向かって来るんだけどさ。


「おい、イエロー!! なにボーっとしてるんだ!!」

「ちゃんとやってるよー」


我ながら気のない返事だなぁ、とは思うけど仕方ない。

胸にハートマークのついた敵を踏みながら、私は深々とため息を吐いた。


私、高坂歩美は半年前からヒーローになった。さっきのでわかると思うけど、戦隊モノの一員だ。

未来を守るフォーチュンテイラーズという長ったらしい名前の正義の味方の、イエローだったりする。

リーダーは熱血で猪突猛進なレッド、相方の知的でクールなブルー、優しいみんなのお兄さんグリーン、それから、可愛くて一途なピンク。それに私を加えた五人組。


他の四人はどうだか知らないけど、日夜人々を邪教ポーカーフェイスから守る為に戦う正義のヒーローに、なりたくてなった訳ではない。

それまで普通の女子高生だった私はとある交通事故で手術をして、その代わりに正義のヒーローとして働く事になってしまった。

まあ、簡単に言えば主治医=長官=弱み握られた、なんだよね。

なんか物凄く面倒な手術だったらしいし、相当お金かかったらしいし。両親に多額の借金と自力返済どっちがいいって、それもう脅迫だから。借金だと金利がトイチって犯罪じゃん。


で、ほぼ強制的に無理矢理ヒーローになった結果、私は自分のすべてを奪われた。

両親から引き離され、学校は長官の息がかかったところ(簡単に言えば出席日数誤魔化し放題らしい)に転校、基地以外から自由に出る権利もない。学校、基地から地下通路で直通とかどんだけよ。

外との接触はほぼ全部シャットアウトされたから、当然ケータイやパソコンなんて使えないし持てないし、本気で軟禁生活だよ、これ。基地の中にショッピングモールみたいなのはあるけどさ、お給料でるし買い物とかできるけどさ、自由ないじゃん。

なんでみんな平然と生活できるのかな。どうしても私理解できないんだけど。


「イエロー!!」

「わーかってるってば!!」


向かってきた敵を腹立ちまぎれに蹴り飛ばす。

ああもう、あんた達が馬鹿なことするから、私がヒーローなんかにならなきゃならなくなったんでしょーが!!

八つ当たり……いや、れっきとした怒りのままに雑魚を殴る。ちなみに私の武器として与えられてるのは杖だったりする。うん、鈍器です。

いや、ピンクなんて鞭だから、使い方としては楽だけどさ。ピンク凄いよ。

そしてブルー、笑いながら銃乱射すんのやめて。洒落にならない怖さだから。電気ショックみたいなもんだってのは知ってるけど。


「そのあたりにして貰おうか、フォーチュンテイラーズ」


ぽかぽかと雑魚を殴ってれば、響き渡るハスキーボイス。

全員が一斉に身構えた先には黒と白の意匠を身に纏い、顔の上半分を仮面で覆った若い男の姿。


「出たな!! 今回はお前の差し金か、ジョーカー!!」


ふっと笑みを浮かべたジョーカーと食って掛かるレッド。

なんでだろう、この、吠える小型犬を見守ってるシェパードみたいな構図。

こんな状況なのに和みそうなんだけど。


「今日が年貢の納め時だ、覚悟しろ!!」

「……ああ、うん、そう簡単にうまくいくと思うなよ」


うわあい、レッド、その台詞は古いわー。ちょっとジョーカーも言葉に詰まったじゃん。

そしてピンク、何故今のレッドに「かっこいい」なんて赤くなれるんだ、いやヘルメットで顔見えないけどさ、雰囲気でわかるよ?

そして「やれやれ仕方ないな」って言いつつ銃打ち続けんなよブルー!! 怖いって!!

グリーンはグリーンで周りの避難誘導に行っちゃってて止めてくれないしさ、いやその行動一番偉いけど。


もうやだ、このカオス。監禁されるは戦わされるわ、うんざりだ!!


「あーもー!!」


思わず大きな声を上げれば、なんかかっこつけてたレッドがビクンって振り返る。てかブルーとピンクも何怯えてんのよ。ちょっと大声あげただけじゃん。

というか。


「本当にめんどくさいから、帰ってくんない?」


堂々と、ええもう本気でどうしようもないほどうんざりしてるから怖いものないわーって感じでジョーカーに言う。


「手ぶらで帰れと?」

「手ぶらも何も、そもそも今日の襲撃目的何よ。なんか納得できる理由あるのか? あ?」


ちなみに本日の襲撃場所=現在地は港です。しかもさびれた港。海藻取るちっちゃい船とお年寄りの漁師さん達しかいないみたいなね。

うん、理由がわかんないんだけど。


「あんたらがなんかやるたんびに呼び出されて戦いたくもないのに戦わないとそこの熱血猪突猛進馬鹿な赤いのとかクールぶってるけど単に人付き合いへたくそなだけの頭の固い青いのに責められて嫌でも人殴んなきゃならないとか過去の失敗全部人に押し付けてるけど証拠握ってるの忘れてんのか全部ぶちまけてやろうかとか上から二番目の引き出しの中身捨てられたいのかそれともこの前うっかりやらかした失敗ばらされたいのか聞きたい程度に腹立つしそこの桃色には恋のライバルとか言われて一方的に敵視されるわ女の子の悩みは女の子にしかわからないよねとかいきなり態度変えられるわお前の好きな人に隠し事全部ばらしてやろうかって思う程度に面倒なんだけどやめたくてもあんたらがいると私ずっとこのまんま戦い続けなきゃならないんで本気で嫌なんだけどどうにかしてくれない?」


おっと、つい味方に対する不満もぶちまけちゃった☆

いやー、鬱憤に任せて想いの丈をマシンガントークしちゃったよ……って、あれ、何頭抱えてうずくまってんのレッド、なんで土下座してんのブルー、そしてガタガタ震えてるピンクどうしたの?


「……な、なんか、すまん」


わぁーい、ジョーカーにも謝られちゃった☆


「いや、謝罪とかいらないからさ」


とりあえず、帰って?




「……あれ、どうしたんですか、みなさん」


戻ってきたグリーンが首を傾げるけど、私も首をひねるしかない。

あっさり帰ってくれたジョーカーたちにも拍子抜けだけど、ね。


「「「本当にすみませんでした!!」」」


なんで全員私に向かって土下座なの、ねえ。

とりあえず、帰りたいんだけど帰っていい?




後日、隊訓に「イエローを怒らせてはいけない」が追加されて、時間さえ守れば自由に外出できるようになりました。あれ?




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