~どっちが本性?~
ドアを開けると、いつもどおり可愛くて完璧な拓斗が立っている。
キュン
この可愛い拓斗を見てると、胸がキュンキュンする。
「心、遅い!」
あっ、やっぱ遅かった?
まぁね、着替えとメイクしたんだもんね。
でも、女の子なんだし、準備に時間かかるのは当たり前じゃない?
でもまぁ、待たせたのは事実だし、謝っとこう。
「ゴメン」
私が俯いて謝ると、
「うん、分かればよし。これからは出来るだけ早く起きてね?」
って言いながら私の頭をなでる。
頭をすぐになでるのは、拓斗の小さい頃からの癖(?)みたいなもの。
拓斗は笑顔がスゴイ可愛いけど、やっぱり男の子。
頭をなでる手が大きくて、ゴツゴツしてる。
でも、痛くないように優しくなでる。
私は小さい頃から拓斗のこのなで方が好き。
大事にされてる感じがして、顔がニヤける。
「いってきます。ってうわ!姉ちゃんなにニヤけてんの?」
幸せな時間を一瞬で壊す弟・紘。
「ニヤけてないよ!!!」
そうだ、紘もやっぱり男の子だし、手大きいのかな?
頭なでてもらおっかな?
イヤイヤ、嫌がられるよね。絶対に。
手の大きさ比べでいっか。
さすがにまだ中学生だし、私の方が大きいに決まってるよね。
「ねぇねぇ紘。手の大きさ比べしよう」
学校に行こうとした紘を止めて言うと、紘は一瞬[は?]みたいな顔をした。
「別に良いけど、何で?」
「んとね、紘って男の子じゃん。手って大きいのかなって」
「俺が男じゃなくて女だったらキモイし(笑)」
まぁ確かに言われてみれば、キモイw
手を合わせると、驚いたことに、私より紘の方が大きかった。
え?なんで?紘の方がデカイ!
てか、手の大きさの差がスゴイw
紘の第一関節(?)より私の手って小さい!?
「フッ姉ちゃんって手小さいな」
ムカッ(怒)
私が小さいんじゃなくて、アンタがデカイだけじゃないの~?
「悪かったわね!小さくて!でも私の手が小さいんじゃなくて、紘の手がデカすぎるんじゃないの?」
紘に怒りながら言うと、紘は私の手を握った。
「でもまぁ、女は小さい方が良いんじゃねぇ?俺も小さい方が好きだし」
そっか、小さい方が良いんだ!そうだよね!
「っとに姉ちゃんって単純」
1人で喜んでいる心を見て、紘は微笑んだ。
そう。いつもの冷たい笑みでもなく、鼻で笑うときとも違う。
優しい、笑みを心に向けた。




