表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三途の川  作者: 活呑


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/9

三途の川で鬼の代わりをする


鬼が突然やってきた。


「人手が足りないんだ。ちょっと来い」


僕は鬼の休憩所に連れて行かれた。


喫煙所と札のかかった小屋だった。

部屋の中はタバコの煙で靄がかかっていて、息がくるしい(気がする)。

そこには、今まで見たことのないくらい、鬼がいた。みんな赤い肌をしていて、虎柄のパンツ。緑のもじゃもじゃ頭からは角がのぞいている。典型的な鬼だ。それが、小さい小屋に、20人ほどか。


「足りてないようには見えないんですが…」

「これから足りなくなる。出張でな。その代役をお前がやれ」


な、なんですと。


「お前は要領がいいから、うまく人間の気持ちを折っていけるだろう。任せたぞ」


「あの、いえ、俺、人間なんですが…」


鬼は何かを差し出してきた。


手に取ってみる。


虎柄のボクサーパンツ。

……なんか生暖かい。


「それを履いていれば誰も気づかないさ。管理区域は地図をやるから、今から行ってこい。

サボるなよ」


俺は躊躇した。

そんな簡単に…


しかし、鬼の仕事を理解すれば、俺の戦いもより楽になるのでは?


俺は勇気をだした。

鬼のボクサーパンツをはいた(パンツは少し湿っていた)。

見た目は俺が虎のパンツを履いただけだ。

何かちがうのか…?


地図を見ながら、新天地の巡回を始める。


人間どもは真面目な奴もいれば、石を積む気もなくサボっている奴もいる。なんと嘆かわしい。

俺はサボっている奴に拳骨を落とす。

「ほら、さっさと石を積むんだよ」


なるほど、こんな気持ちなのか。


「う、うわー」


ガツン。

石で頭を殴られる。

多分割れただろう。

しかし鬼はそんなことで倒れない。


しっかり足を踏みしめ、

「いい度胸だ。その心意気があれば石、積めるよな?」


俺は石の塔を蹴倒し、やつを川へ放り込んだ。



3日ばかり、巡回を終えた頃、聞き慣れた雄叫びがきこえた。



「どりゃああああ」



あれが来た!

俺は振り返った。渾身のドロップキックだ。


俺の胸筋はまだ薄い。

筋肉だけでは跳ね返せない。

しかし負けられない。

俺は鬼なのだ。

こいつらにとっての壁なのだ。


全筋力をもってして、なんとか跳ね返す。


「いい、キックだったな」


俺はやつの石の塔を蹴倒した。

立っているのがやっとだ。


しかし、鬼はそんな姿は見せない。


ゆっくりと休憩所へと戻った。


休憩所の入り口には、いつもの鬼がタバコをふかして立っていた。

「だんだん様になってきたじゃないか」


俺は気が緩んで膝をついた。


「今日までごくろーさん。明日からは元の場所で石積みな」

タバコをポイ捨てして、休憩室へと入っていった。


俺はタバコの火を消して、

虎柄のボクサーパンツを脱いだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ