5/9
三途の川で後輩と再会する
三途の川に、後輩がやってきた。
俺にドロップキックを放った、あの後輩だ。
やつも昇格したのか。しかし早い。早すぎる。
俺は奴のスピードに戦慄を覚え、そして嫉妬した。
俺に足りないものは何か?
同じだけ石を積んだ。
やつより鬼に抵抗した(それが不味かったか?)。
やつより他人の積み石を蹴倒した(ん?)。
模範的な石積みだったはずだ。
やつは石を積み始めた。
俺と同じ大きな石。
そうだ、悩め。
そして崩されろ。
ぽんっ
肩に手が置かれた。赤い。
振り向くと鬼がいた。
「顔色が悪いぞ」
鬼が心配? 俺はパニックだ。
そんなバカな。あの鋼のメンタルで俺たちのことなどどうでもいいはずの鬼が?
「目つきが、鬼のようだぜ」
愕然とした。何てこった。
「どぉりゃああああ」
鬼のドロップキックが俺に炸裂した。
耐えられるハズもない。
俺は川を流れていった。
いつのまにか、
俺の心は鬼になろうとしていたのか。
河岸には、石を積む人々、それを崩す鬼たちが見えた。日常だ。
そうだ。
俺の望むのはあれだった。
俺は職場にもどり、
また石を積み始めた。




