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三途の川で工夫をする
僕は鬼と腹を割って話をすることにした。
「どうしても、向こう岸に行きたいんだ」
「お前についてる手足は飾りか?」
そっけない返事だった。
そういうことだったのか。僕の手を汚せということか。鬼か!……鬼だ。
作戦①を決行した。
川の渡守を襲撃した。積み石で殴りつける。どうせ死人だ。問題ない。
川岸では順番待ちの人たちで騒ぎが起きていた。しかし関係ない。
渡守を撃破し、さぁ、この船は俺のものだ。と思った瞬間、
「とりゃああ」
鬼のドロップキックが飛んできた。さすが、やるぜ…僕は川に落ち、下流へと流れていった。
作戦②を決行した。
泳ぐのだ。
準備運動をする。
ガシっと、手足に何かがつけられた。急激な重量感。
「オモリだ。がんばっていけよ」
鬼の励ましは心に響いた。
体にはもっと響いた。
僕は三途の川を流れなかった。
ただ、ただ、川底に沈んでいた。
川の側では、誰かが今日も石を積んでいた。




