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月のゆうびんきょく

月のゆうびんきょく

掲載日:2025/12/13

未来の町では、夜になると空にポストがあらわれます。


雲のすきまから、白い三日月が降りてきて、小さな郵便局が開くのです。


看板には「月のゆうびんきょく」。

星の粉がきらきらと舞っていました。


ある晩、女の子が手紙を書いてポストに入れました。

「お友だちとなかよくなりたい。こわがらずに話したい。」


手紙が吸いこまれると、月の局員の小さなウサギがぴょんと飛び出し、

「たしかに、おあずかりしました。朝までに配達します。」とおじぎしました。


月のゆうびんきょくは、ふしぎなところです。


風の便せん、光の切手、星明かりのインク。

どれも静かな夜にしか見えません。


ウサギたちは、夢の列車に手紙を載せて、空の駅をゆっくり走らせます。


次の夜、女の子が窓を開けると、ポストには返事が入っていました。

「話す前に、にっこりすること。話したら、ゆっくり待つこと。大丈夫、月が見ているよ。」


星の切手がきらりと輝き、女の子の胸はすこし明るくなりました。


またある晩、男の子が手紙を書きました。

「ぼくのロボット、うまく動かない。どうしたらいい?」


返事は、光の紙に書かれていました。

「失敗は、夢の地図のしるし。ひとつずつつないでいけば、きっと動くよ。」


男の子は眠る前に、小さなねじをひとつ回しました。

朝になると、ロボットはゆっくりと手をふりました。


月のゆうびんきょくは、魔法のようで魔法でない。

「未来の約束」を運んでいます。


手紙を出すと、返事はいつも「今できる小さなこと」を教えてくれます。

その小さなことを積み重ねると、未来で会える笑顔が少しずつ増えていくのです。


時がたち、女の子も男の子も大きくなりました。


昔もらった返事の束をひらくと、紙のすみに小さく書いてありました。


「あなたが誰かに手紙を書くとき、あなたも月のゆうびんきょくの局員なんだよ。」


ペンを取り、遠くの誰かへと一枚の手紙を書きました。


「話すまえに、にっこり。」


「失敗は、夢の地図のしるし。」


書き終えると、窓の外の空にポストがふんわり光って、手紙をすっと受け取ってくれました。


夜空は静かに深くなり、星の粉がゆっくり降りてきます。

月のゆうびんきょくは、今日も開いています。

誰かの「今」をそっと照らし、その光をやさしく未来へと運ぶために。


そして、あなたが窓を開けたら、ほら。

小さな返事が、もう届きそう。


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