第89話:逃れられない真実!
ルシアンと衛兵たちが証人を連れて国王の執務室を訪ねた。
コン、コン、コン!
「ルシアンです。急ぎ、陛下に報告がございます。」
そう言って国王からの返事を待つ。
国王の側近が扉を開ける。
「陛下…。重要な証人を連れてまいりました。お目通り下さい。」
「……………。」
王は無言のまま、ルシアンに近付いた。
「このような時間に連れてきたと言うことは、〝間違ってました〟では済まないぞ?」
「お越し下さればわかります。」
そう言ってルシアンは父を謁見の間に呼び出した。
そこにはシャルルとファモアーゼ侯爵がスペードと侍女テリーヌを捕獲した状態で待機していた。
「父上、これよりこの二人に尋問を行います。」
「うむ。」
そしてルシアンは二人の前に立った。
スペードは舌を噛み切らないように口には猿ぐつわが巻かれている。
それを外せば舌を噛んで自害するだろうし、外さねば話が出来まいとスペード自身も思っていた。しかし、ルシアンは余裕の笑みを浮かべた。
ルシアンはスペードの顔を真っすぐに見据え、彼の瞳をジッと見つめる。そして自身の手の平からは〝ポォッ〟とぼんやりと光が宿り始めた。その光は徐々に大きくなり、そのままスペードの顔を囲んだのだ。
するとそこにはスペードの記憶が映し出されたのだった。
国王は驚いた!ルシアンにこのような力があると思っていなかったからだ。シャルルはルシアンが魔法を使えることを知っていたので特に驚く様子もなく、まして育ての親のような存在であるルシアンの祖父、ファモアーゼ侯爵も知っていたので堂々とその様子を見守っていた。
そしてそこに映っていたものとは…。
側妃ドロシアがスペードに対して毒を入れさせた侍女を始末するようにと命じていたシーンが映されていた。更に過去を遡ると、いつぞやの町中での暗殺未遂も、ポツトマ子爵領での暗殺未遂も全てドロシアの命令を受けるところから再現されたのだ。
「こ…!これはっ‼」
流石に王も動揺していた。あれだけ信頼していた側妃が…、裏でこのようにルシアンの命を脅かしていたと知ったからだ。しかも、先ほどのスペードを捉えるシーンも再現させたので
「ええ、この再現には間違いありませんね。」
と、ファモアーゼ侯爵も同意したのだった。
そして出せるだけの記憶を形にしたあと、ルシアンは侍女のテリーヌにも同じように記憶の再現を行った。
「おぉぉ…、確かに、側妃がお主に毒を入れよと命じておるな…、それもただ脅かすためだけに…。それにルシアンが小さい時の毒もお主がしておったのか…!」
国王は侍女のテリーヌに怒りを覚えた。テリーヌはひたすら「申し訳ございません。」と繰り返し、土下座して謝った。
「陛下、恐れ入りますが、この侍女とはあの影を捉えるために取引をしたので極刑は避けて下さるよう願います。」
「……………。それ以外の罪を償うといのか?!」
「はい、どんな罪でも頑張って償ってみせます!」
テリーヌは必死だった。
「では即刻荷物をまとめて隣国へ逃げ述べよ。きっとこの影が捕まったと聞いたら別の人間にお主を殺させようとするだろう……………。暫くの間、お主はまだあの塔の中におると言う事にしておこう。」
「陛下…!ありがとうございます!」
「さて、そちら!側妃、ドロシアを捉えよ!そしてその元凶となった第一皇子、パドルも捉えてまいれ!早急にだ!」
「はっ!」
こうしてようやく国王命令によって側妃ドロシアを捉える事が出来るのだった。
その頃、何も知らないドロシアは自身の部屋でくつろいでいた。
明日は貴婦人集会がある。主催は自分なのでより一層お肌の手入れなどに力を入れて準備していた。
そんな時、何やら廊下から騒がしい声が聞こえてくる…。
「……………?何事だ?騒がしい。」
ドロシアは立ち上がり、廊下に出ようとした時、扉が〝バ────ン!〟と開かれて
「側妃ドロシア!お主を即刻捉えよと陛下の命が下った!観念せよ!」
そう通告したのはファモアーゼ侯爵だ。公爵の中ではドロシアの存在が自身の娘であり、ルシアンの母、フラシアを死に追い詰めた人物だと睨んでいた。
「な…っ!何のことだ!?陛下から私は何も聞いておらぬぞ!」
ドロシアは護衛兵たちに腕を掴まれるが、逃げようと暴れている。
「ちゃんと証人もいる。お主はもう廃位となったのだ。諦めよ。さあ!連れて行け!」
ファモアーゼ侯爵は胸が熱くなった。
〝────フレシア。これでお前の無念は少しは晴らせたのであろうか…。〟
そしてファモアーゼ侯爵はドロシアの専属侍女たちに、ドロシア側妃は廃妃となったため、所属移動が近々行われるため、それまで家で待機するようにと述べたのち、部屋を出て行った。
ご覧下さりありがとうございます。とうとう、側妃ドロシアが国王の命令により、捕らわれることとなりました。王族を殺害しようとした罪は命を持って問われる…。




