第83話:側妃ドロシアの主催するお茶会で…
ララはルルと一緒に王宮の側妃専用の庭園にいる。側妃からお茶会に誘われたからだ。その場には側妃と専属侍女数名、そしてララとルルの二人だ。
テーブルには王宮シェフが腕を振るって準備したというお菓子がズラリ!と並んでいる。侍女たちがとても上手にお茶を淹れる。
「さあ、遠慮なく好きなものを食べて。」
「はい、頂きます。」
そう言って二人はケーキスタンドからケーキやらクッキーやらのお菓子を取り皿に取って少しずつ食べた。
「ララ嬢は今は身体に何も問題はないのね?」
「はい、もう万全に。」
「そう…。表向きはそういうことにしてるのね。本当のところ、あなたも〝双子〟だからという被害を受けていたのではなくて?」
────ドキッ!!
「……………。」ララが即答できなかったため、側妃はニヤリと笑った。
「大変だったでしょう。」
「いいえ、何も問題なく…。」
「そういうことにしといてあげるわ。ねえ?ルル嬢。」
「もう側妃様っ、本当に我が家は皆とても仲良しなんですよ~。」
ルルはかなり度胸が据わっている。側妃を目の前にしても一切表情を崩さなかった。流石「社交術」を学んでいただけはある。というか、元々の性格なんだろう。
「とろこで、ララ嬢。息子パドルとはどうです?上手くやっていけそうですか?」
「あ…。はい。ありがとうございます。パドル殿下は私にとても気を遣って下さっております。」
ララがそう答えると側妃は一瞬嬉しそうな顔をした。ララはそれに気づいて〝あぁ、やっぱりお母様なんだわ…。〟と思った。
「そう、それはよかったわ。」
「お気遣いありがとうございます。側妃様。」
「式を挙げたら〝お義母さまと呼んでと呼んで頂戴ね。」
「はい。ぜひ。」
そして側妃はルルに対しても声をかけた。
「ルル嬢、そなたも体調はどうだ?」
「はい、側妃様。ありがとうございます。」
「ほほぉ、そなたたち、声もそっくりなのだな。」
その言葉に二人が一斉に側妃を見た。
「ははは!その仕草まで似ているとは!双子とは面白いものだ!」
側妃は終始ご機嫌だった。そしてそこに二人の皇子が現れた。
第一皇子のパドル殿下と第二皇子のルシアン殿下だ。
「あぁ、二人とも来たか。紹介しよう、パドルの婚約者のララ嬢とその姉君、ルル嬢だ。」
ララとルルは席を立ち、そっとお辞儀をした。
「ああ知っています。」「僕も存じております。」
二人の皇子の返事に側妃は
「なんだ…。知っておったか。」と面白くなさそうだった。
「まあ良い。お主らも座るがよい。」
そして二人もララ達の席に着席した。
〝側妃様は一体何を考えているのかしら…。〟ララはジッと側妃を見た。侍女たちがパドルとルシアンに対してお茶を淹れた。
「特別に南の国から取り寄せた茶だ。よく味わって飲むように。」
「……………。」
皇子たちは側妃に対して返事をしなかった。
「まあ側妃様。このお茶は南の国からのものでしたの?」
ルルがそう側妃に切り出した。この時ばかりはルルに感謝するララ。
「そうだ。パドルの妻になる大切なララ嬢をもてなす為に特別に取り寄せたのだ。」
「ララ、良かったわね、すごく大切にして下さっていて私安心だわ。」
これはルルの本音ではないだろうということはララが一番よく知っている。だが、ルルのことだ。ここで側妃に自分のことを売っておこうと考えたのだろう。
「そうね、ありがとう。ルル。」
ララはこう答えるしかなかった。
どうやらルルの持ち上げが側妃には心地良いのか二人は上手く会話をしていた。
そんな時、
〝ゴホッ!〟と突然ルシアンがむせた。
そして次の瞬間、
〝ポタ…。ポタタ……………。〟と、口から血が出ていた。
「キャァー!」まずルルが悲鳴をあげた!ララは驚きすぎて声すらも出ずにその場から動けずにいた。
隣に座っていたパドルが「どうしたんだ!ルシアン!」と言って声をかけている。そしてララはふと気付いた。
〝側妃様は……………こういう時どういう対応をなさるの?〟そして恐る恐る側妃の方を見た。
────バチッツ!
側妃と目が合った。驚いて咄嗟に視線を逸らすララ。
そう、側妃はニヤリと笑っていたのだ。
〝まさか側妃様が?!〟ララは恐ろしくなった。この前ルシアンから聞いていた側妃主導による暗殺未遂事件の数々……………。これが…この状況が日常茶飯事だったの?
「皆そんなに騒ぐ出ない。ルシアン、どうした?」
側妃がそう声をかけた。
「はい…。すみません。大丈夫です。少し口を切ってしまっただけでございます。」
「何だと?!口を切った?カップに何かあったのか?」
「いえ…お菓子が美味しすぎて慌てて食べたせいで舌を噛んでしまったのです。お恥ずかしい限りで。お騒がせして申し訳ございません。」
「本当に…。驚いたぞ。」
「……………。」
「さあ、皆の者、席に着いて続きを楽しもうではないか。ルシアン、辛いなら戻ってもよいぞ?」
「はい、ではそうさせて頂きます。」
そうルシアンは答えて側妃にお辞儀をしてその場をあとにした。
ララはルシアンはああ言ったものの、本当に口を切っただけなのか心配だった。
ご覧下さりありがとうございます。とうとうルシアン、ララ、側妃、パドルの四人が揃いました。ここではルルはおまけです。そしてこのルシアンの件は本当にルシアンの言う通りだったのでしょうか……………。




