第82話:ルルに振り回されるララ
「えっ?!それは本当なの?ルル!」
ルルは部屋に戻ってから早速ララに話した。勿論そんな返事が返ってくるとは思ってなかったララはとても驚いた。
「じゃあ、あなたは本当にそれでいいの?このままだといずれ王妃になるのよ?パドル様とこの国を背負って行かなくちゃならないのよ?」
「ララ?何を硬いこと言ってるの?そんなの男性の仕事でしょ?私はこの子を世継ぎとして産んだらあとは悠々自適に暮らして行けばいいだけなの。」
何とも危機感がないルル。
「じゃあ私は?これからあなたとして生きていけと?」
「そうなるわね。」
淡々と返すルルにララは怒りが込み上げてきた。
「じゃあ!私はダンテ様と婚姻しろって事?!」
怒りながら言うララに向かって向き直ってルルは言う。
「そういう事になるわね。妊娠の事は間違いでしたとか、流産したとか、いくらでもいあようがあるでしょ。」
その言葉にララは怒りと嫌悪感しかなかった。
「ルル…。あなた、私にだけ我慢させてるつもりたろうけど、ダンテ様の気持ちはどうなるの?あんなにあなたを愛しているじゃない…。」
「ダンテ?………はん、きっと私たちが入れ替わったところで見抜けもしないじゃない。それだけってことよ。」
「ルル…。私たちが双子だから仕方ないわ。それでも彼の気持ちを蔑ろにするのはまた違うと思う。」
「説教は充分よ!私は妊婦なの!もう疲れたから休ませてもらうわね!」
そう言って勝手にベッドになだれ込んだ。
「もう!相変わらず勝手ね!」
ララは怒りながらも妊婦であるルルの身体を心配していた。幸い、いい部屋を用意してくれており、ベッドは他の部屋にもあったのでそっちを使うことにした。
〝そりゃ…。私もこんな所から出られるならその方がいいわ。やっぱり婚姻は好きな人としたいし…〟
そう思った時にふいにルシアンの顔が思い浮かんだ。
〝え?やだ…、私ったら…。彼とはまだ知り合ったばかりなのよ?いくら彼がシアンだったからって…シアンだった、のよね…。〟
知らなかったとはいえ、シアンを助けるために人工呼吸をしたララ。
思い出すたびに今は恥ずかしくて堪らない。
〝じゃあ、あれが私のファースト…!キャ!!〟
枕に〝バフッ!〟と顔を埋めるララ。
〝そりゃルシアン様は紳士的で話もトントンと弾むように楽しいし、何よりもあのルックスに服の上からでもわかる鍛えられた身体…。その上皇子様だなんて…!こんなの皆が知ったら絶対放ってないでしょ?!〟
ララはルシアンのことを考えると身体中がポカポカするような気がするし、心臓がドキドキとうるさいくらいに早鐘を打って中々寝付けなかった。
〝それでも私はパドル様と婚姻しなければならないのよね…。〟と、現実を見据えた。
〝ルルはパドル様と直接話をしてルルのあの突拍子もない話を承諾させただなんて…!〟ララには不安でしかなかった。
〝そう言えば明日、側妃様にお茶会に誘われていたんだったわ。確かルルも一緒にって言われてたのよね。ルルは……………どうするのかしら。〟
翌朝、ルルに側妃からのお茶会の事を話した。
「え?もちろん行くわよ。」
ララは驚いた。てっきりルルは面倒臭がって行かないと言うかと思ったのだ。
「ドレスはララのを貸してくれるんでしょ?私持って来てないんだもの。」
「そうね、どれでも着ていいわ。」
ララは憂鬱だった。ルルが側妃の前でどんな事をしでかすのかと不安だからだ。
〝おかしいわね…。確かあのあと凄く勉強して成績も良かったはずなのに、どうしてこう先を読まないのかしら…。〟
そう思い悩むララとは対照的にルルはお茶会が楽しみでならないようだ。
「あ、そう言えばルル。つわりはどうなったの?大丈夫なの?」
「ああ、つわりね!軽いから平気!平民になって気分が落ち込んでたからちょっと大げさにしてみたの。」
「え…」
ララは呆れた。きっとダンテのことだ。かなり心配しただろうに…。
〝本当にルルはわがままで自分勝手すぎるわね…。〟
それからほどなくして宮中執事がやって来て二人を側妃のお茶会に誘いに来たのだ。
執事の案内で側妃の庭園に案内された二人。さっきからはしゃいでいるルル。そしてこれから側妃と対面する事に対するプレッシャーを感じるララ。対象的な二人だった。
「側妃様、お二人をお連れしました。」
そう執事が声をかけると花を見ていた側妃が振り向いた。
「───────!!」
この前デビュタントの時に一度会ってはいたが、こうして会う側妃はまた違った。
〝あの時とは違う威厳があって、それでいてとても品のあるお方だと感じるわ…。失礼のないようにしなくちゃ!〟
側妃は二人を見て(特にララを見て、ララが自分を見て緊張しているのを感じた)
「今日は楽に過ごしてちょうだいね。クレハトールの双子が揃っていると聞いて会ってみたかったのよ。」
と声をかけた。
「光栄にございます。本日はお招き頂きありがとうございます。」
そう言ってすぐさまララは側妃に対してカーテシーを披露した。そのララの様子を見て流石のルルも
「私までお招き頂きありがとうございます。側妃様。」
と言ってカーテシーをした。
「さあ、二人とも、こちらにかけて。」
そう言って側妃は庭園に設置されたテーブルに二人を案内した。周りは色んな花が咲いていてとても綺麗だ。しかもとてもいい香りがする。どれかの花だけが主張しているのではなく、それぞれが上手く、まるで調合したかのようにいい香りを放っていた。
二人は緊張しながらもその香りのおかげか、少しリラックスした。
ご覧下さりありがとうございます。書いてはいるものの、相変わらずその先が全くわからずに書き進めています。大筋はありますが、そこに行くために行動を一つ一つ入れて行くと思わぬ行動をするので軌道修正も大変です。




